表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/248

吸血姫と国落とし2

 イスズ様の眷属となり、幹部会議でヨミの出身地が判明してから、二週間後。

 私が転移してきたのは、ハルトレン共和国.......次に私達が落とす国の首都。

 他の街とかはって?以前からちょっとずつ崩していって、この二週間で残りを全部滅ぼしたけど?

 イスズ様の加護で強化された私は、結界なんか火力ゴリ押し出来るし。

 まあ勿論、私だけの力じゃ無いけどね。


「ふぅ、到着っと.......ありゃ、私が最後ですか」

「.......遅かったな.......リーン.......」

「何かあったかと心配したぞ。どうしたんだ」

「なんでもないですよ。ただ、チェックしきれてなかった村を一つ発見したので、そっちを滅ぼしてただけです。すぐ終わると思って連絡を入れなくてすみませんでした」


 今回の作戦は、幹部第五位の『荒廃将』フェリアさんと、四魔神将第四席、『武神将』グレイさんが一緒だ。


「.......無事だったなら.......良い.......」

「そうだな。まあ見ての通り、現在は結界を破壊中だ。先程からずっと、結界術師や高威力魔法を使える術師を集めているのだが.......」


 首都の方を見ると、なるほど、既に結界の破壊作業が始まっている。

 .......けど。


「.......ビクともしてませんね」

「流石は.......聖神国から.......近い国だ.......」

「聖神国に近ければ近いほど、結界は強固になる。分かりきっていたことだ」


 メルクリウス聖神国は、ミザリー教の総本山であり、人間にとっては最も守るべき場所だ。

 聖神国の神都自体が超強固な結界で守られているとはいえ、周囲も固める必要はある。

 故に、メルクリウス聖神国に近ければ近いほど、結界は強くなっていく。なんて面倒な。


「どうしますか?このままじゃ、破壊しきれませんよ?というか、破壊する前に首都の連中の避難が終わってしまったりしたら、蹂躙の意味が半減しますし」

「そうなのだ。なので、速やかに結界を破壊してしまいたいのだが.......そういえば、今は何時だ?」

「午後四時、ついでに日の入りは五時半です。付け加えるなら、今日は十日夜の月、強化率は五倍です」

「言いたいことを察してくれて助かる。イスズ様の加護に加え、月の加護によって強化されたリーンと、それにグレイ殿がいれば、火力であの結界を破壊出来るのではないか?」

「.......出来ることには.......出来るとは.......思うが.......」

「それでも時間はかかりますね。三十分くらい」

「三十分で済むのか.......。本当に恐ろしいな、四魔神将は。では、それでいこう」

「.......異論.......無し.......」

「私もそれで良いです」


 私の月の加護の発動が合図だ。

 フヒヒヒ、楽しみだなぁ〜。



 ※※※



 ―――ドゴオオオオオオオン!!!


 午後五時半。

 その音で、「どうせ破壊なんて無理だろう」とでも言わんばかりに、こちらを舐めていた人間の兵士達が、血相変えて飛び出してきた。

 勿論、音の発生源は私とグレイさんだ。


「なっ、なん.......なんだああっ!?」

「お、落ち着け!我が国の結界は無敵だ、魔族如きに打ち破れるものでは無い!だからっ.......」

「あ、あいつらだ!あいつらが.......げえええっ!?あ、あ、あれは.......!」

「何処だっ!?.......いたぞ、あいつ.......ら.......は.......リ、リーンとグレイ!?『鬼神将』と『武神将』がいるぞぉ!?」

「な、な、な、なんだとおおおっ!?!?冗談だろ、四魔神将が二人もいるなんて.......ひ、引け!引けええ!急いで伝令だ、呑気に荷物まとめて避難準備させてる場合じゃない!!急いで国民を城の転移陣へ!!」


 あーあ、そんな声が聞こえてきたよ。

 無駄無駄、たった三十分で避難出来る人数なんてたかが知れてるし。

 確かに多少逃がすかもしれないけど、どっちみち転移先は、最後に潰す予定のメルクリウス聖神国の神都だ。誤差の範囲だよ。


「.......リーン.......お前は.......上から.......魔法で.......破壊しろ.......」

「分かりました。グレイさんもお気をつけて」

「.......心得ている.......」


 まあ、一方向から攻撃しても、壁に囲まれているこの街じゃ、混乱が伝わらないかもしれないからね。

 上から魔法をぶっぱなして、直に見せてやった方が、人間共はパニくるでしょ。

 そして、パニックが起きれば起きるほど、私達の仕事はやりやすくなる。


「さて、いくか.......《超爆炎(メガエクスプロード)》」


 《爆炎(エクスプロード)》の上位互換魔法が、共和国の結界のてっぺんに炸裂した。

 .......んー、微妙。ヒビは入ったけど、そんだけ。しかも修復が始まってるし。

 ここは高威力魔法を連続で叩き込むしかないなー。


「う、うわあああああっ!?」

「な、なんだよ今のっ!?助けてくれぇ!」

「ちょっと押さないでよ!」

「おい、こっちに来るな!!」


 あははは、醜ーい!

 これを聞けただけで、こっちに来た甲斐があったってもんだよ。

 でもまあ、聞きすぎても耳に毒だし、さっさと終わらせちゃおう。


「《穿つ闇(ダークシューター)》《電撃の雨(エレクトロレイン)》《重力爆裂(グラビティバースト)》《水圧砲(アクアプレッシャー)》《獄炎の槍(インフェルノスピア)》《鉄の殴打(メテオストライク)》《威力増加付与(エンチャント)衝撃波(ショックウェーブ)》」


 .......これでも壊れないか。

 まあ、一応流石と言っておこう。


 五倍化して、平均ステータス『二十五万超え』の私の魔法をここまで耐えきるとは。

 グレイさんは.......まだっぽいけど、割と同じくらいの破壊度だな。

 流石、全ての体術に精通する武人。物の『壊し方』を知ってるんだろうね。

 私もグレイさんに教わって、結構体術の腕は上げてきているつもりだけど、こういう時は魔法にものを言わせてゴリ押しする方が早い。


 さあ、まだまだ。

 早く破壊して、中の人間を全滅させてやらなきゃ。



 ※※※



 ―――パリイイイン!


 おっ、壊れた。

 所要時間二十七分、まあまあのタイムだね。

 グレイさんもほぼ同時に壊して.......うん、空いた穴の大きさに結界が耐えられなくなって決壊した。結界だけに。

 自分で思ってなんだけど、面白くないな。


「け、結界が.......」

「そんな馬鹿な!?」

「い、急げ!急いで逃げ.......」


「総員、突撃!今が好機だ、再び結界が用意される前に突入するのだ!」

「「「うおおおおおおお!!」」」


 フェリアさん達が突入した。

 さて.......じゃあ、私は私の仕事を果たしますか。

 私とグレイさんの仕事は、人間の数を減らしつつ、強者を殺すことだ。

 西側はグレイさんに任せて、私は東側に行きますか。


「そ、総員怯むな!騎士団が到着するまで、我らで足止めを.......」

「《強酸の煙(アシッドスモーク)》」

「.......え?」


 広範囲に、骨まで溶かす程に強力な酸の煙を発生させる魔法。

 レベル60を超えていなければ抵抗(レジスト)出来ない程に強力な酸が、駐在の兵士ごと、パニックに陥っている民衆を溶かした。


「.......この魔法、超強いんだけど.......グロすぎるから苦手なんだよね」


 骨まで溶け、血が溢れ出てぐじゅぐじゅになった人間というのは、人間嫌いの私すら、結構きついものがある。

 まあ、手っ取り早いのは違いないし、文句は言うまい。


「さてと.......ん?」


 .......今の魔法、二人だけ抵抗したな。

 あっちか。


 そっちに向かうと、冒険者風の格好をした二人の男。

 レベルは.......100には至ってない程度かな。


「ぐっ.......!なんてことを!」

「落ち着けあんちゃん、あいつは『鬼神将』リーンだ。四魔神将の中で最も無慈悲で残酷と言われる女.......この女なら、あれだけのことをしても不思議じゃねえ。冷静さを保て」


 私、そんな評価受けてんのか。

 いや合ってるけども。


「初めまして、私の魔法に抵抗するなんてやるじゃん。どうやって殺して欲しい?あ、自殺してもいいけど?」

「.......どっちも、ごめんだ!」

「待てあんちゃ.......」

「えっ、無策に突っ込んでくるとか.......《超熱光線(クリムゾンレーザー)》」

「がばっ.......!?」


 うわ弱っ。

 まあ、そりゃそうか。

 人間の中で私と良い勝負出来るのなんて、聖十二使徒の第三位より上くらいだもの。


「.......で、あんたは?」

「.............こりゃ無理だな。出来るだけ苦しくないように殺してくれると助かるんだが」

「.......潔いいね。まあ、手を煩わせなかったってことで、願いは叶えてあげるよ」


 というわけで、首を吹っ飛ばしてもう一人も殺した。

 .......さて、次はどうするかな、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 寡黙なグレイさんカッコいい。 もっと活躍シーンを見たいです。 やっぱりグレイさんも身体強化魔法を使うときはブツブツ唱えるのかな? [気になる点] 神器を装備したグレイさんのステータスが気に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ