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主人公になりたかったキミへ  作者: 夕町 迅夜
第一章 最悪最高の学校生活の幕開け
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第一章2 『行方不明』

「んっ……」


 目が覚めると白い天井が見えた。

 背伸びをして寝ぼけた目を擦りながら周りを見渡す。


 窓からの日差しを遮光カーテンが完全に遮断していて、机の上にあるランプだけが光源の薄暗い部屋。

 床には大量の本が散乱している。

 そこはとても見覚えのある場所だった。


「オレいつ寝たんだっけ?」


 目覚めた場所はオレが何年も暮らした部屋のベッドの上だった。

 いや、一つだけ違う。


「あれ?部屋のドアってあんなのだったか?」


 たしかオレの部屋のドアは白色だったはず……

 なんで黒色のドアになってるんだ?


 オレはしっかり確認するためにベッドから出てドアに近づく。


「ん?なんだこの紙?」


 ドアには一枚の紙がセロハンテープで貼り付けられていた。

 紙をドアからはがして目を向ける。

 紙には……


『直ちに体育館に集合すること』


 と書かれている。

 そして字の下には地図が印刷されていた。


「これどこの地図だよ……脱出ゲームか?てか、体育館ってどこの?」


 地図をよく見ると同サイズの部屋が多数あり、それぞれに理科実験室やら職員室やらと部屋名らしきものが書いてある。

 他にも階段やトイレ・目的地っぽい体育館も記載されていた。


「これ、学校の地図か。は?学校?なんで?」


 なんでオレの部屋のドアに学校の地図が貼ってあるんだ?

 訳が分からない。

 昨日からパニックだらけだな。

 ん?昨日?


「あっ……」


 思い出した。

 たしか昨日、学校の入学式があって、何故か集合場所になっている浜辺で一人で待ってたらいきなり眠気が襲ってきて……

 ダメだ。そこからの記憶が無い。

 じゃあ、オレは浜辺からここに運ばれたのか?

 起きたらドアが変わっていて『直ちに体育館に来い』と書かれた紙。


 バンッ!


 オレは飛び出すように目の前のドアを開けて外に出た。

 涼しい風が頬を撫で、日差しが眩しく目がくらむ。


「もしかしてここ学校なのか……」


 外に出ると知らない景色が広がっていた。

 オレがいつも住んでいるアパートの部屋は2階なのに対し、ここは何階なのだろうか?普段の3倍以上は確実にある高さだ。


「なんだ……これ……」


 オレは自分の目を疑った。

 目の前には見知らぬ建物がいくつも建設されており、立派な一つの街が存在していた。

 そして、ここが全方位海に囲まれている島だということを知った。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 とりあえず、オレはドアに貼ってあった紙を持って記載されている指示どうりに体育館へ行くことにした。

 オレの部屋の横には同じ色の扉がいくつも等間隔で並んでいる。

 ここはマンションなのだろうか。


 さっき、この建物の正面に学校らしきものが見えたので向かうことにした。


 無人のエレベーターに乗ると8階だと表示されていたのでオレの部屋はこの建物の8階に現在あることが確認できた。

 1階へ降りている間に制服のポケットに入りっぱなしだったスマートフォンを取り出し、現在の日付と時刻を確認した。


 日付:4月8日

 時刻:午前5時47分


 !?

 オレが学校の入学式に向かった日から2日が経っていた。

 つまり、丸2日間寝ていたことになる。

どうりで喉が渇いて、腹も減っているわけだ。


 エレベーターを降りて、1階に到着した。

 とても静かで人がいる様子はない。

 不気味に思いながらも建物を出て学校へ向かう。


途中にあった自販機でジュースを買って水分補給をし、わずか200メートル程の道を歩いて学校に到着した。

 ここに来るまでの道中誰にも会わなかった。

 こんなに早い時間なのだから誰にも会わないのは当然なのかもしれないが、車すら見かけなかった。

 変な恐怖感を覚え、冷や汗が出る。


 学内に入り、手に持っていた紙に記載された地図を見ながら体育館を目指す。


「多分ここだな」


 有難いことにわかりやすく『入学式会場』と書かれた看板が扉の前に出ている。


 少し緊張しながら体育館のドアをゆっくりと開ける。

 体育館の中はパイプ椅子が大量に並んでいて、誰もいない異様な光景が広がっていた。

 オレは館内に足を進める。


「誰もいないな……」


 目が覚めてここまで誰にも合わないのが異常に思えてきた。


「いや〜、やけに早かったねぇ」


 !?

 いきなり大人の男声が館内に響いて驚いてしまった。

 声の主は丁度さっきオレが入ってきた体育館の入口の所にいた。

 見た目は50代後半程だろうか。

 不思議な雰囲気がする男がそこに立っていた。



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