カーバンクルを保護しよう
私は三日ぶりにギルド会場に来た。
前にクラーケンを倒したお小遣いで買い物をしたり、
遊んだり、のんびりと生活をしていたのだ。
そろそろ身体を動かしたくなり、ここに来たのだ。
私は掲示板に向かおうとすると、
レイクさんとソーラさんに声を掛けられた。
『おうっスフィア!やっと来てくれたか、待っていたぞ!!』
あれ?待ち合わせはしていないと思うけど待っていたとは?
疑問に思った私だかソーラさんが説明をしてくれた。
『この町の近くにある森でカーバンクルが出没したから、
俺たちはカーバンクルを保護をする依頼を受けているんだ。
だけど全然見つからなくて・・・それで、
スフィアちゃんにも手伝ってほしいだ』
カーバンクルを保護する理由は絶滅危惧種になっているからだ。
どうして絶滅危惧種になったかというと、
カーバンクルの額にある宝石が金貨100枚以上の値段が付き、
討伐をして売る輩が多いのだ。
つまり、それを防ぐために保護をしている。
私は少し迷ったがちょっと変わった依頼だったので、
レイクさん達の手伝いをしようと思った。
『はいっ、手伝いますよ!』
『本当かい!?ありがとう助かるよ!!』
『二人で探すのはきつかったからなー』
三人で森に行くためにギルド会場を出ようと思ったら、
外から三角帽子を被り、ローブを着ている女の子が現れた。
そう、エリナだ。
『あ、スフィア!』
『エリナ!』
『三日ぶりだねー、元気にしていた?』
『ああ、元気だよ。エリナはこれから依頼を探すの?』
『うん!そうだよ!ところで、後ろのお二人方は?』
エリナが首を傾げて不思議そうに見ていた。
そういえば、二人に会ったのはこれが初めてだったか。
紹介をしないといけないな。
『ああ、こちらがレイクさんとソーラさんだよ』
エリナは深々とお辞儀をして、挨拶をした。
『初めまして!私、エリナって言います!』
レイクさんとソーラさんも挨拶を交わして、自己紹介をしていました。
『僕はレイクだ』
『ソーラだ、よろしく。そうか、君があの有名な魔女か、逢えて嬉しいよ』
『えっ?有名?私がですか?』
エリナはキョトンとしていたのでレイクさんが話をしてくれた。
実はこの前、私達がクラーケンを討伐した事が噂になり、
エリナの知名度が上がったようだ。
なるほど・・・という事は、私もって事かな?
これ以上有名にはなりたくないが・・・。
それよりも、カーバンクルを保護する依頼は人数が多い方が
良いかもしれないので、レイクさん達に聞いてみた。
『レイクさん、ソーラさん。
カーバンクルを保護する依頼は人数が多い方が良いんですよね?』
『ああ、そうだけど・・・』
『報酬は分ける事になるが、人数が多い方が助かるよな』
『では、エリナも一緒に行ってもいいですか?』
エリナは何の話をしているかが分からずにいたので、
依頼の内容を説明をすると、エリナもパーティに入ってくれた。
『ありがとう、助かるよエリナちゃん!』
『いえ、お役に立てれて嬉しいです!』
『じゃあ、みんなで行こうか』
『そうですね、行きましょう』
町を出てから数十分が立ち、森まで辿り着いた。
森の中にはキラービーやウルフ、
オークも出る事があるので注意が必要みたいだ。
意外と大変そうな依頼を受けてしまったようだ・・・。
しかし、キラービーやウルフくらいなら、
ソーラさんが一撃で仕留めてくれるはずだ。
カーバンクルを探しながら歩いていると、
ガサガサと草木が揺れる音がした事に気がつき、
振り向くとウルフが私達を狙って襲ってきた。
『ガァルルル!!』
『俺に任せろ!』
ソーラさんが弓矢を取り出して矢を放つと、
見事にウルフに矢が刺さり、一撃で倒す事が出来た。
エリナがそれを見て、はしゃいでいた。
『凄い!一撃で!』
『フッ、まぁ、こんなもんかな』
『あいつ、女の子が二人もいるからいつも以上にカッコつけているな』
『そうですね、レイクさん』
『おい、ちょっとは褒めろ!』
やはり、四人もパーティがいると賑やかで楽しい、
エリナも楽しそうで何よりだ。
意外とレイクさんとソーラさんとも仲良さそうだし、
またみんなで、パーティを組むのもいいなーと思った。
森の中に入ってから数時間探しているが、
未だにカーバンクルを見つける事が出来ない、
みんなで諦めて帰ろうとした時だった。
森の中から数人の声が聞こえ、何だが騒がしいのだ。
段々とこちらに近付いて来たのが分かる。
私達は武器を取り出して警戒をすると、草木から緑色の獣が現れたのだ。
耳は兎の様に長く、額にはキラキラと輝いている宝石があった。
そう、カーバンクルだ。
カーバンクルは私に駆け寄り、飛び込んで来たからさらに驚いてしまった。
『わっ!どうしたの!?』
『スフィアちゃん、カーバンクルに懐かれたのかな?』
『いいなー、羨ましい・・・』
『おい、何だが様子が可笑しくないか?』
ソーラさんが言う通りに、とても震えていて怖がっていたのだ。
まるで助け欲しいと言っているみたいだ。
誰に?考える前に原因が分かった。
カーバンクルが出てきた草木から次々と男性達が現れ、
物騒な武器を持っていた。
男性達は頭にバンダナを巻いていて、
同じ黒尽くめの格好をしていた。
真ん中にいた髭を生やしている男性がこちらに向けて叫んだ。
『お前ら!カーバンクルを渡して貰おうか!!』
そう、盗賊達だった。
『貴様らは盗賊だな。盗賊なんかにカーバンクルを渡すもんか』
私の態度が気に食わなかったのか知らないが、盗賊達は激怒をしていた。
『ほう、俺達に喧嘩売るとは・・・痛めに合わすしかないようだな。
お前ら!手加減はするな!やってしまえ!』
どうやら戦うしか無さそうだ・・・。
盗賊くらいなら余裕で勝てるから、早く終わらせよう。
カーバンクルをエリナに預け用とした時に、
レイクさんとソーラさんが武器を取り出していた。
『お前ら、好き放題言いやがって!!
ここは任せろ、スフィアちゃん、エリナちゃん』
『雑魚くらいなら、俺達に任せてくれ』
『はい、分かりました』
『うん!お願いします!』
ソーラさんの言葉に盗賊達はさらに怒り出して、
狂う様に攻撃を一斉にして来た。
『舐めやがって!!!!』
ソーラさんは冷静に弓矢を構え、矢を射つと、
一番前にいた盗賊の太ももに矢を刺して、相手を転倒させた。
二人の盗賊はレイクさんを狙って剣を振り下ろすが、
レイクさんが大剣を横に振ると、
盗賊が持っていた武器を破壊して二人に蹴りを入れた。
残るはあと二人。
二人はソーラさんとレイクさんに向けて斧を振るが、
簡単に避けた二人は相手の顔面を蹴った。
勝負はあっと言う間に終わり、レイクさん達は余裕の笑みを浮かべた。
『ウルフよりも弱かったよ』
『僕的にはゴブリンよりも弱かったな』
『さてと、みんな帰るぞー!』
『盗賊達はこのまま放っておこう』
今日はレイクさんとソーラさんが改めて強い事を確認出来た。
あ、でも、これだけ私とエリナは今日何もやっていない?
カーバンクルを抱えながら、森を抜け出した。
森を抜けた後は、エリナがカーバンクルを抱いてみたいと言ったので、
私はそっとエリナに渡しました。
『んーふかふかで気持ちがいいー』
『あ、僕も触りたいな』
レイクさんがカーバンクルに触ろうとすると、指を引っ掻かれました。
『いたっ!』
『はははっ。嫌われているなーレイクよ!俺なら触っても大丈夫だろう・・・』
ソーラさんがカーバンクルを触ろうとすると、指を引っ掻かれました。
『なぜだっ!』
多分、このカーバンクルはオスなんだろうか?
私達はいくら撫でても怒らないのでそうかもしれない。
ギルド会場に戻ってカーバンクルを連れてくると、
ギルドにいた人達はみんな驚いていた。
『おー!カーバンクルだ!』
『初めて見た!!』
『以外と小さくて可愛いんだな』
こうして、カーバンクルの保護を依頼を無事に終了させ、
依頼の報酬を貰った。
『金貨10枚になります!』
カーバンクルの額にある宝石の値段の十分の一ですが、
こんなに可愛いカーバンクルを殺してまで宝石売る奴は本当に許せない。
報酬は四人で均等に分けれないので、
レイクさんとソーラさんが活躍したから3枚ずつ分けて、
私とエリナは2枚ずつ報酬を貰った。
『二人共、手伝ってくれてありがとうな』
『また組む機会があれば、その時はよろしく』
『今日は楽しかったです!また誘って下さい!』
『さよならです、レイクさん!ソーラさん!』
レイクさん達と別れた私達は、
お小遣いが手に入ったので喫茶店に入り、二人で満喫した。