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思い出話をしよう

今日は皆でスフィアの家に遊びに来たけど、

大雨が降っているのでお出掛けをするのは大儀です。

なので、部屋で紅茶を飲みながらのんびりと話し込んでいました。


『もー!なんで雨止まないのよー!!』

『仕方が無いだろう、エリナ』


エリナが私のベッドの上でクッションを抱きながら暇そうに転がっていると、

アインとネイが紅茶を置いてエリナに言い聞かせていた。


『偶にはこうしてのんびり話しをするのも良い事よ』

『うん!お姉ちゃんの言うとおりだよー』


姉妹がそう言うと、エリナは転がるのを辞めてテーブルに戻ってきた。


『むー・・・確かに偶には良いけど・・・

それなら盛り上がる話を誰かしてよー』


エリナがテーブルに顔を付けて不貞腐れていたが、

不貞腐れているエリナがちょっと可愛いと思った。

そんな時、私はある事を閃いた。


『あ、それなら私が初めてギルドに行った時の話をするか?』


そう言うと、エリナがガバッと起き上がった。


『・・・もしかして!!スフィア伝説の話!?』

『スフィア伝説の話?』

『なにそれー?』


アインとネイが首を傾けて不思議がっていた。まーそうなるよな。

知らないアインとネイにエリナが自慢するように話をすると、皆が興味を持った。


『スフィアが初めてギルド会場に行って、

キングコブラを倒して有名になった話しなのね』

『えっ?何それ何それ聞きたーい!!』

『私も詳しくは知らないから今話してほしいわ!!』


皆・・・顔が近いんだけど?まあ、思い出を話すのもいいだろう。

私が顎に手を付け、思い出すように考えてから口を開いた。


『では、私が初めてギルドに行った時の話をしよう』



私が騎士になって間もない頃、初めてギルド会場に訪れた。


『ここがギルド会場かー・・・』


周りを見ると厳つい大人の男性が多く、

一目で戦士と分かる大剣を背負っている人や、

大きな弓矢を持っている人もいた。


女性も何人かはいたが、みんな大人の女性だ。

しかし私は形振り構わず、依頼書が貼ってある掲示板の所まで足を運んだ。

依頼書の貼ってある内容はゴブリン退治、スライム退治、薬草探し、以下略。


『何を受けようかなー・・・』


迷っていた時に4人組のパーティに声を掛けられた。


『君っ!ギルドの依頼を受けるなら、俺達のパーティに入らないかい?』

『えっ、私ですか?』


初めはなんで私を誘ったのか分からなかったが、

理由を尋ねると引き受けたい依頼があるけど、

5人組以上ではないと引き受けれないので、その数合わせだとか。


私はパーティのリーダーと思われる男性に

『危険なモンスターと戦うけど危ないから後ろで何もしなくていいよ』

と、言われた。


初めは迷ったが、何もしなくても報酬はちゃんとくれるみたいだし、

勉強にもなると思ってパーティに入る事にした。


『良いですよ、入ります』

『本当かいっ!ありがとう助かるよ!

じゃあ、まずは初めに自己紹介をしないといけないな。

僕の名はレイクだ!で、こいつらが・・・』


金髪に背丈が大きくて優しそうな方がレイクさん。

筋肉が凄い方はガイさん。斧を背負っている。

それから、弓矢を持って全身緑色の服を着ているのがソーラさん。

もう1人はちょっとだけ太り気味のブランさん。お腹が出てますよ。

みんな個性的だから直ぐに顔と名前を覚えられた。


『私の名前はスフィア、よろしくお願いします!』


こうやって私は彼等に付いて行った。

依頼の内容は町外れにある洞窟でキングコブラが住むついてしまい、

それを討伐してほしいという依頼だ。


報酬は金貨50枚で多額だが、多額すぎて不安になった。

そう、それだけ危険度も高いという事だ。

後ろで何もしなくても良いからとは言われたが、

無事に討伐が出来ればいいんだけど・・・。

しかし、その予感は的中してしまった。


『おい、あれがキングコブラだぞ』

『無防備に寝てやがるぜ、今の内に討伐するか!』


ブランさんとガイさんが武器を取り出し、

寝ている隙に仕留めようと思ってキングコブラに近寄ると、

気が付かれて目覚めてしまった。


敵が起き上がると高い洞窟の天井だが、

頭が付きそうなくらい体長が大きくて威圧感があり、とても不機嫌そうにして私達を睨んでいた。


『くそっ!起きてしまったか!まぁいいや、こんな奴簡単に倒せ・・・』


その瞬間、キングコブラの尻尾がブランさんの腹を突き刺して、

一瞬で殺されてしまった。


『ひぃっ!!逃げるぞ!!』


ガイさんが私達に叫んで逃げようと思ったが、逃げる時間は与られなかった。

ガイさんは肩から噛まれて食い千切られた。

余りにも一瞬の出来事で、残酷な光景に言葉を失った。


『スフィアちゃんだけでもいいから逃げろ!!』


レイクさんが注意を引いて武器を構え、

ソーラさんはキングコブラに向けて矢を射ち、反撃をしていた。


『巻き込んでしまってすまないな。

君だけでもいいから逃げてくれ・・・』


『そんな事出来るわけないじゃないですか!!』


私だけ逃げるなんて出来るはずがない、

助かったとしても後味が悪いだけだ・・・。


『レイク余所見をするな!来るぞ!』


キングコブラが鋭い牙を剥けて襲ってきたが、

レイクさんは大剣を盾代わりにして辛うじて攻撃を防げた。

キングコブラは大剣を噛み壊そうとしているので、

少しだけ動きが止まったようだ。


『さあ、今のうちに早く逃げな!!』


動きが止まっているなら、チャンスは今しかないはずだ・・・。

私は逃げるのでは無く槍を取り出して、

キングコブラに向かって駆け走った。


『スフィアちゃん!?』

『何をする気なんだ!?』


私は首元を狙って槍を振り落とした。


『はあぁぁぁ!!!』


キングコブラの首元からは大量に血が溢れて、

とても苦しそうに悶えていた。


『今がチャンスです!レイクさん!ソーラさん!』

『全く・・・無茶しやがる女の子だな!』


レイクさんはとどめの一撃を刺そうとしたが、

キングコブラは悶えながらも尻尾でレイクさんを刺そうとしたが、

ソーラさんの射った矢が尻尾に刺さって攻撃を阻止した。


『助かったぜソーラ、これで終わりだあ!!』


大剣を振り回して攻撃をし、真っ二つにして見事に仕留める事が出来た。


『やりましたね、レイクさん!凄いです!!』


安心したと思った束の間、私はレイクさんに説教をされた。


『上手くいったから良いものの、

取り返しの付かない事が起こっていたらどうするんだ!!!』


余りにも怒られたので驚いたが、

その中には本当に心配したんだぞという優しさならではの怒りだろう。

ソーラさんは『まぁその辺にしときなよ』と止めに入った。


『まぁ、けど、君のお陰で助かったよ。

本当にありがとうな・・・だけど・・・』


死んでいる仲間を見て、とても辛そうにしていた。

そう、それは2人とも同じ気持ちだろう・・・。

そして、当然私も辛かった・・・。

まだ会って数時間だけど、

人が死んだらこんなにも辛くて、悲しいなんて・・・。


私はレイクさんに討伐した事をギルドに伝えて欲しいと言われて先に戻り、

2人は死んだ仲間を墓地に埋める為にと、全身に布を巻いて墓地に運んで行った。


しばらくしてから2人はギルド会場に戻って来て、3人で報酬を貰った。

普通なら、金貨50枚の大金が入ったら嬉しいが、

喜ぶ事が出来なかったのだ・・・。


『金貨30枚は君にあげるよ』


そう言いながら、私に手渡しをした。


『こんなに受け取れませんよ』


初めは断りましたが、

『君に怖い思いをさせて悪い事をした』とレイクさんが謝り、

ソーラさんも『君のお陰で僕たちは生き残れたから、

受け取って欲しい』と言われて受け取る事した。


『あ・・・ありがとう、ございます』


レイクさんは辛そうな表情をしながらも、私に向けて笑顔で話してくれた。


『これで好きな物をなんでも買いな!!

鎧とかオススメだぞ、危ない時は守ってくれるからな』

『ああ、それが良いよ!!』


2人が笑顔で接してくれたので私も笑顔で応えた。


『はい!!』


そう、この時の金貨で買ったのが今着ている青い鎧なのだ。



『まぁこんな感じかな。話が長引いてしまったな・・・って、皆?』


三人の顔見ると、皆泣いていた。


『そんな出来事だったんだ・・・』

『うぅぅ、相当大変だったよね・・・』

『悲しいよー・・・』


私は皆の意外な表情に驚いてしまった。


『えっ!?そんなに泣く話だったか!?』

『だってー・・・』


この雰囲気をどうにかして元に戻さないと・・・。

ふと窓を見ると、いつ間にか雨が止んでいて晴れていた。


『みんな!雨が止んだからお出掛けしよう!』


三人は涙を拭きながら窓を見て、晴れている事に気がつくと、

エリナが『お出掛けをしよう!』と元気が戻り、

皆で家を出て遊びに出掛けた。

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