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「……でもさぁ、何で叩かれなきゃいけなかったのかねー。短気なのかな。確認しただけだったのに」
「あ?」
一通り昨日起こったことを話すと、栞の顔までみるみる赤くなった。
何だろう。
「ちょっと栞ー、何怒ってんの」
「……これが怒らずにいられるかっての。あー、その子可哀想」
「はぁ?」
「はぁ?じゃないし。あんたさいてー。全力の告白にそんな間抜けな質問して、おまけに平手打ちの文句ばっかとかほんとないわ」
珍しく栞がおこだ。
「さすがにあれは悪かったと思ってるよ」
「当たり前!……てかさ、」
栞が、あたしの耳に口を寄せる。
「誰なの」
「誰って、告ってきた子?」
「そう」
「西城詩子ちゃんだけど」
「……はっ⁉︎」
彼女が大きく目を見開く。
「あのエンジェルに告られて一発OKしないなんて信じられん!」
「エンジェルねー」
冷めた声で呟いたあたしを見て、栞が呆れた顔をした。
「まさかとは思うけど、あんたの人生最大の悩みって……」
「どうやって断ったらいいかなー……」
「やっぱりそれか!ありえん!却下!許さん!」
「はぁー?」
あたしは栞を軽くにらんだ。いくら仲良い友達だからって、そこまで干渉される筋合いはない。
あたしの顔を見てふぅっ、と息を吐き、栞は言った。
「だって月、全然真剣に考えてないんだもん」