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春。
あたしは、受験勉強など一切せずに高校生(JK!)になった。
別に、成績がいいからとか推薦だからとか言うわけじゃない。あたしのまわりはみんなそうだし、文章そのまんまの意味。つまり、する必要がなかった。
なぜなら、あたしの学校は中高一貫校だから。受験して外部に行く子もいることはいるけど、基本的に六年間ずっと同じメンツで代わり映えしない。しかも、
(見事に女の子しかいない……)
所謂女子校だ。
たまに幻想を抱いて憧れてる人がいるけど、通ってるあたしからすると何もよくない。むしろ最悪だ。受ける悪影響があまりにも大きすぎる。
まず、
「ちょ、お前その上靴黒すぎでしょ!」
言葉遣い。
「マジ?まーしょうがないよね、一年洗ってないし」
女子力の著しい低下。
それから、
「やっぱあまりにも可愛すぎる受けはビミョーだね、有る程度はりりしくなき「あ⁉︎受けなんて可愛くてナンボだろ!かっこいいのは攻めだけで十分だわ!」
「お前ら浅いな、冷たい受けにワンコ攻めが至上だろうが」
腐女子化だ。
実を言うと、あたしもかなり発酵している。おじさんが二人並んで歩いてるだけで、ラクラク妄想できるくらいには。
普通ならこれだけでもだいぶ悪いけど、女子校はこんなものじゃない。
一番やっかいなのは、
「もーゆりりんカワイイ!いやカッコイイ!」
「そんな好きなら告れば」
「だよねー、てか絶対両想いだし〜」
「すごい自信だな」
「そりゃあもう!だって好きでもない子とキスしないでしょ!」
「……え」
まわりのリアルガールズ•ラブ。
これだけはどうしても受け入れられない。いや、綺麗な子ばかりだからすごいお似合いだし。良いんだけど。
BL小説を読み漁るあたしでも、リアルの同性愛には少し戸惑ってしまう。
でもまぁあたしには関係ないし、適当に応援しておけばいいだろう。
あたしは二次元の美少年を愛で続けるだけだ。
そう、関係ない。