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氷像のバジリスク  作者: 栗木下


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第159話「グレイシアン攻略作戦-2」

 グレイシアンに存在しているであろう『軍』の拠点か何かを調査し、可能なら破壊する事を目的とした作戦の会議は、以後この作戦は対外的には『グレイシアン攻略作戦』と呼ぶことを決めて無事に終わった。

 そして俺は会議終了と同時に特務班の面々を集めると、トキさんたちを特務班の寮の俺の部屋に招いた。


「こ、ここがアキラ様の部屋ですの……」

「うわぁ……やっと入れたよ……」

 で、俺の部屋の中に入ったところで穂乃さんとソラさんが目を輝かしながら何処かそわそわとしており、微妙に聞き流してはいけない様な発言も有った気はするが、それはまあさておいてだ。


「『我は氷鱗の巫女アキラ・ホワイトアイス。我が血に秘められし神性をもって、点と点、線と線、面と面を結び凍てつかせて、我が座すこの場を現世から切り離し、外に在りし如何なる者も見れず、聞けず、嗅げず、感じれず、察する事叶わぬ隠世とせよ。巫術・インコフィンノヘヤ』」

 『軍』の側は勿論として、気にし過ぎだとは思うが、やはり『クイノマギリ』の言葉が引っ掛かっている俺は俺に出来る限りの情報漏えいに対する対策を部屋に施していく。

 そしてインコフィンノヘヤの発動と共に部屋の壁、床、天井に薄い霜のような白い靄がかかり、部屋の中と外が物理的な要素以外でも分けられていき、やがて外から入って来ていた光や音と言った物は全て弾かれるようになる。

 まあ、要するに結界を張ったわけであり、これでどの程度介入を妨げることが出来るかは分からないが、神が相手でもある程度は問題ないだろう。

 ……。ちなみにこの巫術が使える様になったのは、つい最近似たような結界を経験したからである。

 感謝の言葉なんて絶対に言ってやらないけどな!あいつのせいで俺は今悩んでいるんだし!!


「随分と厳重ですね」

「まあ、内容が内容だからな。念には念を入れておこうと思ってな」

 俺はトキさんの言葉に何処かばつが悪いものを感じながらも応えると、絨毯が敷かれている床に皆で車座になるように促す。


「さてと、それじゃあとりあえずこれを見てくれ」

 全員が座ったところで俺は『グレイシアン攻略作戦』の概要が書かれた紙を車座の中心に置き、全員がそれを眺め始める。


「どれどれ……」

「なるほど……」

「ふうん……」

「陽動……ですか」

「私たちに出来るのでしょうか……?」

「…………」

 作戦概要が書かれた紙を見たトキさんたちの表情は様々だった。

 トキさんと布縫さんはこんな作戦が出来るのかと言う悩ましげな顔を、穂乃さんと風見さんはよくこんな作戦を思いついたと言うように感心した顔を、ソラさんは何処か不満げな顔を浮かべた。

 俺は無言かつ無表情でそれを眺めていたが、やがてトキさんから先を促すような視線が向けられたので、頷いてから話を進めることにした。


「見て貰った通り、特務班に求められているのは陽動……いや、実際には囮と言った方が正しい役目になる。具体的には、正面からグレイシアンに侵入し、出来る限り多くの敵対者を惹き付けて殲滅することが求められている」

「そして、その間に三理君も含めた少数の精鋭がグレイシアンに潜入し、『軍』に関わる物を見つけて排除する。ですか。作戦としては単純ですけど、効果はありそうですね」

「でもさ、何も特務班を囮にしなくても良くない?と言うかどうして特務班がこの役目なの?」

 俺とトキさんが口頭で作戦の内容について話す中で、ソラさんが疑問を挟む。

 ただその疑問の答えとしては……


「相手が大型のモンスターや『マリス』で、おまけに多勢だからに決まっていますわ。そんなものが押し寄せる中で生き残れる可能性があるのはアキラ様率いる私たち特務班ぐらいです」

「そもそもとして、モンスターや『マリス』が死んだ人間を再利用している事が分かった時点で、可能な限り死人は少なくしなければならないと言うのは既に治安維持機構全体の見解になっています」

「だからこそ潜入する側も可能な限りの少数精鋭でどうにかしようとしているようですね。それに例の人に化ける『マリス』の問題もまだ残っているようですし、特務班が陽動役になるのはしょうがないと思います」

 穂乃さんたちが言った通りだ。

 実際問題として、仮に『マリス』が出てきた場合、他の班では逃げるのが精いっぱいで倒すと言うのは難しいと思う。

 こればっかりは奉納の舞の件ではっきりしている事だからしょうがない。


「それに俺にはイースが居るからな。資料を見る限りだと、基本的な建物の配置や地形なんかは変わっていないようだから、イースに聞けばこっちで独自に調査を進めながら陽動役もこなすと言う事は十分に可能だと思う」

『ああ、道案内なら任せてもらって構わない』

 ついでに言えば、特務班が陽動訳になった要因としてはイースの存在が大きいだろう。

 イースは元々グレイシアンに住んでいた。

 故に、グレイシアンについてはもしかしたら現在拠点としている『軍』たち以上に詳しい可能性もある。

 現にイースの指示通りに俺が書くと言う形でグレイシアンについての地図も会議中に書かされたし。


「調査……そう言えばアキラさんは前にグレイシアンに行きたがっていましたね。今回の作戦と関係があるのですか?」

 と、ここでトキさんが思い出したように俺に尋ねてくる。


「いや、多分ないと思う。だからその件については勝手に調べるつもりだ。そもそもそんな余裕も無いかもしれないけどな」

 が、『グレイシアン攻略作戦』とイースの力の件について関わりが無いと俺は思っているのでトキさんにもそう答えを返した。

 そして、この後に細かいところまで詰めた所でこの場はお開きとし、俺たちは『グレイシアン攻略作戦』を行うためにジャポテラスを出立する日を迎える事となった。

色々思う所は有ってもやる以外に選択肢は無いのです。

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