ep10-8 船出
ブルー・シーでは、キサラからの連絡を
全員が待っていた。
「最初の一報は助けてくれだからな、
今度が避難完了かわからんぞ。」
と、キサラにはあまりいい感情を持って
ないブラットが言った。
「今回の一端はお前にも責任あるんだ
偉そうにするな!」
ナギが鋭い目つきで、ブラットを一喝した。
不意にヘイズの通信機が鳴り響いた。
リーン♪リーン♪
「ヘイズだ。完了か、良かった。
ではこちらも避難を進める。」
ヘイズは、改めて全員に報告した。
「聞いての通りだが、スモールレイク国民
の全員避難完了だ。我々もここから船に
移動する。」
ミリネが、ソロリと手を上げた。
「あの〜、船に乗るのはいいんですが、
行き先とか船の操舵とか食料・飲水とか
大丈夫なんですか?」
コホン。ヘイズが咳払いをし、説明を始めた。
「食料、飲料水は、四国の備蓄をあつめて
役3か月分はある。しかし、船というか大陸外
に行ったものなどいるわけがない⋯行き先は⋯。」
ヘイズは、ナギに視線を送る。
ナギが全員からの期待の目線に晒されている。
「に、西に行けばいいのだ。」
バン。世界地図を机の上に置き、
「ほれ、西に行けば、同じくらいの大陸が
ある。」
クリフがボソッと呟いた。
「不安しかないな。」
「ま、行くしかね〜だろ。」
ゼノンが楽観的にみんなを鼓舞した。
全員、船に乗船し、これからの役割を話し
合った。
話し合いは、ヘイズが取り仕切った。
「まず、操舵・エンジン制御はエル達に
任せよう、
色々な知見が多いからな、次に警備は
ゼノンとグレン。
周辺の監視は、ブラット、グリフ。
調理はミア、シープ。
ドリは装備研究を続けてくれ、
王女とサンドダスト国の姫達は
私と一緒にいて下さい。」
ほぼ、みんな妥当と判断して各自の役割を
こなし始めた。
「ちょ、ちょっとなんで私は姫として
扱われないの?!」
ヘイズは、無表情に
「それは、そうでしょ。今はグリーン家配下
の方でしかないですから⋯、
七大貴族だって特別待遇されてませんから、
あたりまえです。」
と、淡々と言った。
ナギはチラっとヘイズを見てため息をついた。
「私も警備がいい。」
「王女が外の世界に1番知見を持ってますから」
ナギは嫌そうな顔をして、ヘイズを見た。
「知ってたんだ。」
「はい。先代王から聞いております。」
「どこまで聞いてる?」
「聖域の辺の話でしょうか?」
ナギはため息をついて、
「だったらほとんど知ってるだろ⋯
私に聞く話はないだろ。」
ヘイズは頸を振って、
「いや、聞いただけと、実体験は全く
異なります。」
と言って、ナギの意見に反論した。
「わかった、わかった。その時なったら
なんでもするから、今は先生のとこに
行くから。」
と言って、ナギはグレン達の方へ行って
しまった。
ナギはグレン達を見つけて、
「私もこっちでいいって了解を貰った。」
ゼノンが疑いの目で、
「本当か?無理矢理言わせたんじゃない
のか?」
「いいえ、ちゃんと承諾を得ました。」
ゼノンは、ナギに鋭い目で睨まれて、
納得せざるを得なかった。
グレンが、ナギをみてあきれた顔で言った。
「こっちは大変だと思うけどな⋯ヘイズ殿
の下の方が楽なのに物好きなもんだな。」
ナギは、自信満々に、
「こっちの方が一万倍楽しいです。」
ナギが走り去った後、ミリネがヘイズに
疑問をぶつけた。
「私達に何かあるんですか?待遇はミア
と同じでも構ません、どうせ同じ様なこと
になるんですよね?
もう、サンドダストはないのですから。」
ヘイズは苦笑いで、
「まぁ、否定はしませんが、そんなに
構えないでください。
私はね、実はサンドダストの王室の出身
なんですよ、言わばあなたたちの叔父です。」
そんな時、船内放送でエルから出発の
アナウンスが聞こえた。
『これから、本船、及び本船団はサウス
ウェスト大陸に向かう!』
「で、今のが君達の叔母さんにあたる人だ、
意外と頼りになるから憶えておいて欲しい。」




