ep10-7 愚者の救出
ツイストは仮眠のつもりでいたが、
つい本気寝をしてしまったみたいだ。
「疲れてるのかな?」
気分転換に外をみたら、見慣れない光景が
見えた。
「あれ?何か壁に覆われているけど⋯
どういうこと?」
ノアが眠そうに起き上がってきた。
「ん?どうしたの?」
「なんか知らんけど、壁に囲まれてる。」
ノアも窓を開けて見たが、空は真上に
しか見えない。
ノアは考え込んで、
「う〜ん?夢?」
「いや、現実から逃げるな。」
ツイストがすかさず突っ込む。
ツイストは、状況を確認するため下で待機
している侍女たちのところに行った。
侍女たちは、暗い顔をして俯いている。
「おい、どうしたんだ。何が起きた?!」
「ツイスト様、お目覚めですか⋯
実は夜中に大陥没が発生して、這い上がれる
かどうか今調査中です。」
ツイストは耳を疑った、どうみても人力で
上がれる高さじゃないし、普通に考えて
ダメだろう。
「無駄だろう?這い上がるなんて。助けは
呼べないのか?」
「一応、SOSは打っていますが、
来てくれるかわかりません。」
ツイストは、外の状況を見るため宿屋の
ドアを開け、外を見るとありえない景色が
広がっていた。
「波が⋯。」
「はい。沈下し、海水が入ってきています。
恐らく海に沈むと思われます。」
ああ、そうか。
キサラが言ってた通りこの大陸は沈むんだ、
俺達も一緒に沈むのかな。
ツイストは、落胆しながら部屋に戻った。
部屋に戻るとそこには怒りの形相のキサラ
と涙目になっているノアがいた。
「貴様ら!一体ここで何をしている!」
ツイストはキサラの怒りの形相は目に
入らず、助けに来てくれた現実に感動
して抱きつこうとした。
近づいて、きたツイストに速攻急キサラの
ケリが急所に入った。
「ノア!ちゃんとしつけておけよ。
全く見境なく、抱きつこうとするな。」
キサラは、まず2人の置かれている状況を
説明してくれた。
ホワイトストーン周辺は、そもそも地盤が
弱く崩れ易い地域であるため避難が優先
された地域で、そんなところに宿泊する
なんて、
「頭がイカれてるとしか思えない。」
と吐き捨てた。
そして、この地域はしばらくすると完全
に水没するから直ぐに脱出しないといけない
ということだ。
加えて、スモールレイクの国民が非常に
心配しているとのことらしい、なんでも
噂に羽が生えて2人は国民を優先させ
最後に国を脱出した国民思いの王と
いう評判らしい⋯
単に逃げ遅れただけなのに。
「カレンが用意してくれた、空中機動兵器に
早く乗るんだ、下の侍女は先に避難したぞ。
あとはお前等だけだ。」
ツイストとノアは持ってきた荷物を持って、
空中機動兵器に乗り込んだ。
荷物が多いため、ぎゅうぎゅうに詰め
込んだようになっている。
「だから荷物は最低限にしろって
言ったのに。」
キサラが、愚痴っぽく呟いた。
キサラが、カレンに指示を出した。
「すまんが、やってくれ。」
カレンはツイストとノアを自動操縦で
離陸させた。
ツイストは上空から大陸を見渡したが、
酷い惨状だった。
ホワイトストーン周辺は特に陥没が酷く
既に水没している印象だった。
他の場所もホワイトストーン程ではないが
大規模な亀裂もしくは領土が分離して
もはや一つの島と化しているところもあった。
サンドダストに近づくと、たくさんの船が海に浮かんでいた。
「見ろよ!ノア。俺達もあんな船に乗れる
んだぜ、国は沈んじゃうけど、なんか冒険
の始まりみたいでカッコイイな。」
ノアも頷いて、
「私も船旅ってしてみたかったの。なんだかわくわくするね。」
そんな話を後ろからやってきているキサラとカレンは聞いていた。
「あいつら⋯。そんな呑気な旅のわけないだろ!」
カレンは笑いながら、
「なかなか、楽天的な方達で楽しそうですね。」
キサラは、それを聞いて深いため息をついた。




