ep10-5 封印の行方
グレンは、みんなに取り囲まれてちょっと
困惑している。
最初にゼノンが、口火を切った。
「グレン、オレはわかるな?」
グレンは笑いながら、ゼノンに言った。
「親友を忘れたら終わりだろ。」
「そ、そうだよな。たった6年だろ。
俺達には関係ないか。」
ミアが真剣な眼差しでグレンを
みつめている。
グレン様が私のこと知らないって
言ったら、どうすれば⋯ナギのことは
わかるのよね?
きっと大丈夫だわ、大丈夫、勇気を出そう。
「ぐ、グレン様?私のことわかりますか?」
「う〜ん。」
「え?」
横でナギが笑いを必死に堪えている。
「ナギ!何が可笑しいの!」
「あ!わかった。ミアだ。おしとやかに
するとわかんないな、ミアも大人になった
んだね。」
ミアは真っ赤になって恥ずかしそうに小さく
なっていた。
「あ、ゼノン。キールはどうした?なんで
いないんだ?」
場が静かになってしまった。
今のグレンは知らないんだ。
ナギはどうやって声を掛ければいいか
分からずにいた。
エルが厳しい口調で、
「キールは、わが娘キサラを救うために
戦死した。」
グレンは頷いて、
「そのキサラさんは元気かい?」
エルは驚いて
「あ、ああ。元気だ。」
グレンは、遠い目をして
「じゃあ、奴は立派に死んだんだな幸せな
やつだ。」
「それだけか?恨み事とかないのか?」
「戦士が戦場で死ぬのは当たり前⋯
もしくは、幸せなこと、そしてその死が
無駄にならず生きているものの幸せに
繋がれば最高だ、奴は最高だったんだろ。」
エルは少し涙ぐんで、
「ああ、最高の漢だ。」
と言ってグレンの肩を叩いた。
ミリネが恐る恐る、グレンに近づいて
「私のことは覚えていますか?」
「う〜ん。みんな、なんだろうな大人に
なっちゃったからなわかんないんだよな。」
「そ、そうなんですか。」
ミリネは残念そうに肩を落とした。
「残念だったね、ミリネ。ヒッヒッヒ。」
「殺すぞ!ミア。」
グレンが何かを思い出したように言った。
「あ〜!思い出したよ。お前等。
背の高いミリネ、口の悪いミア、
すばしっこくて泣き虫のナギ。
3人とも立派なお姫様になれたのかな?」
3人とも、下を向いて黙ってしまった。
ゼノンが小声でグレンに教えた。
「今、この大陸は人外の襲撃を受けて、
スモールレイク国以外は壊滅した⋯
2人の国は滅んだ。」
グレンは下を向いて下唇を噛み、
「軽率な発言だった。申し訳ない。」
ミリネが明るい声で、
「でも、昔の先生が戻ってきたみたいで
私は嬉しいよ。」
ナギの後ろからヘイズがやってきて、
小声で話し始めた。
「お取込のところ、申し訳ありませんが
あまり時間はありません。早く手を打たない
と手遅れになります。」
ナギはヘイズを睨みつけて、怒鳴った。
「そんな事わかっておるわ!」
言葉を発してから慌てて口を抑えたが
時既に遅く、
「ナギ?何かあったか?」
先生に嘘を言う訳にもいかないしな。
「実はこの大陸は封印で維持されていたの
ですが、2つの封印が解除されてしまった
今では⋯暫くすると海に沈みます。
早急に手を打つ必要があります。」
全員顔を見合わせていたが、ミリネが
手を上げて
「船があればいいんでしょ、なんとか
なるわよ。」
ミリネが言うには、サンドダスト国の
王城の地下には沢山の船が貯蔵されていて、
それに乗れば危機を回避出来るという話だ。
幸いというかなんというか、
サンドダスト国の国民は人外の襲来を
受けて全滅してしまっているので
スモールレイク国の国民も全て救うことが
出来るくらいの船が貯蔵されている
ということだ。
ヘイズが、
「では、直ぐにキサラ殿に動いて貰い
全国民を移動させます。」
と言って、直ぐに通信機を取り出しキサラ
に連絡を取り始めた。




