ep10-4 瀕死のグレン
小屋の中にいた、カインはエルに小言を
言い始めた。
「ほら、やっぱり怒ってるじゃないですか?
止めたら方がいいって言いましたよね?
いまもこうやって覗くのも良くないと
思いますよ。」
エルが耳を押さえながら、
「そういうお前だって覗いているじゃないか。」
カインはちょっと恥ずかしそうに、
「僕は、心配だから見てるだけです、
覗いているわけじゃないです。」
ミアが不満そうに2人に割って入ってきた。
「なんで私がグレン様の近くに入れなくて、
十六夜がOKなんですか?意味が分かり
ません!」
「しょうがないだろ、二流以下なんだから。」
ミアは激昂して、エルに抗議した。
「な、何なんですか!二流以下って!!」
「古の力を引き継ぐのは一流、それ以外は
二流以下だよ、いいからまずはあの2人の
様子を見るんだ。」
カレンは、熱り立つ十六夜を抑え込んで、
「ま、待って下さい。全くの嘘では
ありません。
このままでは、持ってあと1日程度です、
時間がありません。今はグレンさんの驚異的
な防御力で耐えてますが、刻々と消耗
しています。」
十六夜は、頷いて、
「わかった、なにをすればいい?」
「王家の古の力、グリーン家の古の力を
解放して下さい。」
十六夜は下を向いて、少し悩んだが
「やることはやるが、条件がある⋯。」
十六夜は、顎に手を掛け変装の面を取り、
本来の王女ナギの顔に戻った。
「事が終わったら元に戻して欲しい。」
カレンは少し笑って、
「畏まりました。」
と言った。
「笑い事ではない、私にとっては死活問題だ。」
ナギはそういうと、グレンの元に行き、
自分の額とグレンの額を合わせ、
「王ナギの名において命ずる、剣神の封印を
解き全能力を解放せよ!」
ナギは言葉を発したあと、頭を勢い良く
起こしそのままグレンの額にぶつけた。
ガチン!
「起きろ!グレン!」
グレンの目が白目から金色に変化し、
体中から黒い血が噴き出した。
そして、魔法剣を持ち自らの腹に突き刺した。
剣に魔気が溜まっていくのがみえた。
カレンは目を見開き、呟いた。
「直接刺すことで浄化が可能なのですね。」
グレンは、近くの石につまづき倒れてしまった。
「グレンさん⋯ひょっと目が?」
「ああ、力を使いすぎたみたいだ。」
ナギはグレンに抱きついて、
「先生、ゴメンなさい。私、助けようと
頑張ったんだけど⋯ごめんなさい。」
「ん?君は⋯ナギか?」
カレンはちょっと考えてから、グレンに
質問した。
「あの、ここまでのこと覚えてますか?」
グレンは少し考え込んで、答えた。
「ん?道場が閉鎖になって気がついたら
ここにいたが⋯。」
カレンが深刻な顔をしてナギに質問した。
「ナギさん道場って?」
ナギは俯きながら、涙声で絞り出すよう
に答えた。
「それは、もう6年前の話しです。」
カレンが状況を整理しながら話し始めた。
「一次的な衝撃によるものか、人外の攻撃の
ダメージによるものなのかはわかりませんが、
記憶が欠落しているようですね。」
ナギが、カレンの話に異を唱えた。
「それはちょっと違うかもしれません、
先生は、道場の閉鎖周辺の記憶がないって
おしゃっていたのに今は覚えているみたい
なので、記憶が入れ替わったようなこと
が起きているかも知れないです。」
カレンは、小屋に隠れているエルに
視線を送った。
エルは渋々、小屋から出てきてグレンを見た。
「ま、傷だらけだけど大丈夫そうだね。
記憶の件は想定外だったけど、色々収穫は
あったね。」
エルは満面の笑みで、満足している様子だった。
隣りにいたナギは、我に返って、
「お前!とんでもない嘘で私を騙したな!」
「あ〜。そんなに怒ると先生に嫌われるよ〜。」
と言って、エルはその場から逃げ出した。
でも、良かった、先生が無事で生きていて
くれるだけで⋯私はそれだけでいい。




