ep8-7 出発前夜
サンドダスト国で寛いでいた、
ゼノンの通信機が鳴っている。
リーン♪リーン♪
「あ〜。嫌な予感しかしない。」
ゼノンは苦悶の表情で通信機を取った。
「はい。なんですか?」
『ヘイズだ。急で悪いが、ブルー・シー国
に向かってくれ。』
「それは、進軍ということですか?」
『無論だ。ブルー・シー国も人外に
大部分占拠されてるということだ。
他の七大貴族は既に入国済みだ
君達も急いでくれ。』
「了解です。」
ゼノンは横目で、グレンを見て
「聞こえた?」
「聞こえる様に喋ってたろう?」
グレンは立ち上がって、
「ゼノン、十六夜出発だ。明朝に出る、
支度をしてくれ。」
ゼノンと十六夜も立ち上がって、
自室に戻ろうとしたが、十六夜だけミアに
呼び止められた。
「十六夜さん、ちょっとよろしいかしら。」
十六夜は、嫌な予感しかしなかったので、
振り切ろうとしたが、
「冷たいくないですか?ナギさん。」
ピタ。
コイツ、見破りやがったか。
「ミア様、人違いです。私は十六夜です。」
ミアは苦笑いで、
「ホント、5才の頃の夢を今実現する
馬鹿がいるとは思いませんでしたわ、ホホホ。」
十六夜は、真顔で
「何のことがわかりません。」
と、白を切った。
ミアは、十六夜の胸ぐらを掴み
「私、覚えてます。『大好きな人ができたら
私のこと、十六夜って呼ばせるの』って
絶対いいましたよね!
まさか、こんな方法を使うとは
思いませんでした。」
「ふん。何が目的だ。」
ミアは、頸を振って
「何もありませんわ。
ただの宣戦布告ですわ、グレン様は簡単に
渡しませんわ。」
そう言ってミアは自室に戻って行った。
な、何なんだアイツは。
十六夜も、自室に戻ることにした。
しかし、他の7大貴族が既にブルー・シー国
にいるとは驚きだな、あいつらが自発的に
動くわけじゃないだろうし、
ヘイズがやってる感じでもなさそうだ、
ノアが単独で考えるとも思えない。
「謎だな。」
十六夜は、自室に着くと睡魔が襲ってきた、
イカン⋯寝てしまうとあの悪夢が⋯。
十六夜は、白い煙の中にいた。
「悪夢の中だな。」
十六夜は、ボソッと呟いた。
ふらふらになったグレンが近づいてくる。
十六夜をみつけると、安心した顔で寝ころんだ。
ここから先は、見たくないな。
グレンが、急に苦悶の表情になり、
腹から人外が湧き出てきて、
グレンを食い殺そうとしている。
やっぱり、それを見ると私はいても
立ってもいられなくなり、
泣きながら人外を排除する。
悪夢が覚めても、私の涙が止まらなくなる。
これが、辛い、辛すぎるから寝たくないんだ。




