ep7-6 キサラ帰還
ヘイズは何も言わずに、キサラの前に立った。
キサラは小刻みに震えている。
寒いのかひょっとしたら泣いているのか
もしれない。
「キサラ、良く頑張ったな。少し休め。」
ヘイズはそう言うと、キサラを場内に
入る様に誘ったが、
「お父様…私のせいでキールは
死んでしまった。」
ヘイズはため息をついて、
「休んでからと思ったが、今会った方が
良さそうだな、お前に客人が来ている。」
ヘイズとキサラは城内の客室に入った。
そこには、目つきの鋭い老人が座っていた。
ヘイズとキサラが入室したのがわかると、
会釈をして2人に近づき、握手を交わした。
「会ったことはあるか?」
キサラは、ヘイズに聞かれると頸を振り、
「初対面だと思います。」
と応えた。
「だと思ったよ。こちらは、グリーン家領主の
ゲイル様、グレン殿の父上だ。」
それを聞いたキサラは深々と頭を下げたまま、
硬直した。
ゲイルは、笑いながら腰掛け、
「堅っ苦しいのは苦手なんだよ、まあ、座ろう。」
キサラとヘイズは椅子に座り、
ゲイルの話に耳を傾けた。
「今日きたのは、キールの訃報を聞いたから
なんじゃが…。」
やっぱりそうか…キールの上官だった人だ、
私はなんて謝ればいいんだろう。
「お礼を言わなければ申し訳ないと思ってね。」
キサラは全く予想しない言葉にキョトンと
していた。
「お、お礼ですか?」
ゲイルは頷いて、
「私は戦闘しかできない、喜びを感じない
戦闘兵器をつくり上げてしまった⋯。
もし、平和な時代が来たら、
私がグレンが彼を始末しなければいけないと
思っていたんだ。彼自身も、また理解していた。」
ゲイルは1枚の手紙をキサラに手渡し、
「こんな手紙を貰ってね、
そんな必要はなくなったと思ったんだ。
彼は君のお陰で素晴らしい人生を遂げた⋯
私は感謝しかない、
その手紙は君が持っててくれ、
その方が彼も喜ぶだろう。」
キサラはその手紙を読んで、その場で泣き崩れた。
ゲイルは立ち上がって、キサラの肩を叩き、
「君が、気を病むことはない。
彼が望むことは今まで通りまっすぐに
君らしく凛と進むことだと思うよ。」
キサラは、涙を拭って、
「ありがとうございます。もう悩みません、
彼と共に前に進みます。」
ゲイルは、笑顔で、そのまま部屋を出た。
ヘイズは、ちょっと安心した様子で
「明日から王室の仕事を頼むことなる…、
ナギ王女の影武者がな…
イマイチなんだよ、教育の方を頼むよ、
私も手が回らなくてな。」




