ep5-3 いないよりいることの素晴しさ
グレンは、頷いて
「よし、やろうか。」
カインが電子端末を操作しながら、
上目遣いで、
「本当にいいんですか?生き長らえることが
全てとは思いませんが…
お母様の言うことは自然の摂理に
反する場合があります。」
グレンはカインの意見に反論し、
「う〜ん。でもさ、人外は自然じゃない。
だから向こうが反しているから
こっちは可能な限り自然に近づける
だけだよ。
オレはいないよりいることの素晴しさを
選択したい。」
カインは、頸を振って、
「それは一次的な話で半永久の命を
得ることなります。」
バキ。
キサラがカインを殴って、
「あんた。自分を含めた私達を
否定したいの?」
「いや、そういうつもりはないんですけど。」
キサラがカインの胸ぐらを摑んで、
鋭い眼光で威圧した。
「だったら、ウダウダ言わずにやるの!」
カインはキサラに、
「すみません。お姉様。」
と言ってペコペコと、頭を下げた。
グレン達一行は、サンドダスト国の
首都の手前のオアシスに向けて出発した。
旧ブラックナイト国の首都の王城に
ヘイズがたたずんでいた。
「グレン…うまくやってるかな?」
リーン♪リーン♪
ゲ、王女からだ。
「は、はい。ヘイズです。」
王女が不機嫌な声で言ってきた。
『おい、この間の件どうなった?』
この間の件?…なんだっけ?…
思いだせ…あ、そうか。
「はい。順調に進んでます。」
『は?では、何故何も連絡がない…
しかも、キサラから連絡が途絶えた、
どうなっている?』
ヘイズは冷や汗をかきながら頭を下げた。
「はい。至急確認します。」
う〜ん。キサラ、どうなってるんだ。
ヘイズがモニタを確認すると、
見慣れない文字が表示されてた。
『命令一時凍結』。
あってはならないことだ、機械人形が
入力命令以外で自我を持って動いている。
直ぐにエルと連絡を取ろう。
リーン♪リーン。
カインが通信機をみると、
着信名が最低男と表示されていた。
「お母様、お父様からです。」
エルの穏やかだった表情が一瞬にして
曇り、怒りの表情に変化する。
「なんだ!」
『いや?元気かなと思って。』
ピキッ。エルの怒り度合いが一段階上がった。
「下らん。切るぞ。」
『いやいや、違う。王女様がキサラから
連絡が途絶えたと連絡があった。』
キサラが…か。エルはモニタのデータの
推移を確認すると、なるほど…
そう解釈したのか。
「で?なんだ。」
『あ〜。見たんだよねモニタ、いいのかな?
あと、君達から連絡がないって。』
「モニタ結果に特段問題はない、
王女には連絡する…でいいか?」
『はい。』
ヘイズからの通信は切れた。
エルは、カインのところまで行き、
「王女に現状を連絡しろ、
私は後からサポートする。」
と、告げた。
カインは顔を曇らせて、
「なんで僕が…」
エルの目を見ると、
『グダグダいうな!だまってやれ』
という感じだったので言葉を飲み込んで、
「はい、お母様。」
カインは、電子端末を操作し大画面に
王女が映し出された。
『ん?機械おばさんと知らない少年だな、
なにか用か?』
エルの表情が少し歪んで、
「誰が、機械おばさんだ。ヘイズから
聞いてないのか?我々が監視役だ。」
王女がカインをじーっと見て、
『こいつ、大丈夫か?前線で、
先生の横に立てるのか?』
と、不満そうに言った。
エルは肩を竦め、何を言っているのか
わからないと言った感じで、
「カインは、常に私の隣だ。
先生とは誰のことだか知らんが、
我々の役目はキサラの監視役だ。
お前は何を言っているんだ?」
王女は鞭を握りしめ、
『今まで報告もせず、なにをしておった?』
エルはカインを見て、惚けて
「なんだ。報告してなかったのか…。
失念です、王女、今後は注意します。」
王女はため息をついて、
『その場に行けたらどんなに楽か…、
待つのは辛いな。』
「来ればいい。」
王女はエルの回答に、呆気煮取られていた。




