ep4-7 キサラの動揺
「ちょっと待ってください。進化、成長ってなんですか?私は完全体のはずでは?」
ヘイズは頷いて、
『普通の状態であれば、常識のなかでの完全体であるのは僕が、保証する。しかし、あるリミッターを超えた時君たちはさらなる進化を遂げ新たな完全体に移行するように作ってある。』
「あんな、ボンミスをするのが完全体への移行ですか?」
『あれはミスではなく、優先順位の変更だ。よってミスでもなんでもない。』
「王女の命令及び報告が最優先のはずです。」
『違うね、グレンやキールと過ごす事が最優先だ、データから明らかだ。だから王女への報告なんて、するわけない。君は間違ってないから大丈夫。
それじゃ。』
ヘイズとの通信は切れた。
キールとグレン殿と過ごすのは、そんなに心地いいと思っているのか?任務よりも、そんなはずは絶対ない。
「お〜い、キサラ。カレンが偵察機を作ったから見てくれだって。」
全く、コイツは人のことを考えずにいつも能天気だな。
キールはすっかり良くなって、新しい体にも馴染んできているようだ。
「キサラ、ありがとうな。この体かなりいい。
お前に助けてもらわなければ死んでたからな、本当恩人だ。」
キサラは下を見たまま、硬直していた、いや小刻みに震えていた。
「な、何でそんなことを…お前はそんなやつじゃないだろ!」
キサラから大粒の涙が溢れていた。
「お〜い、ど…。え?」
グレンはあり得ない光景に凍りついてしまった。
ガチャ。
「まだで…。」
カレンが空き家から出てきたところに、キサラが見慣れない状態になってたので戸惑っていたが、
「キールさん!泣かせたんですか?謝って下さい。」
キールが自分のところを指差し、
「え?だってお礼を言っただけだよ。」
グレンは笑いながら頸を振って、
「キサラがそんなことで泣くわけないだろ…だいたいなにするとそんなことになるのか聞きたいよ。」
キサラは
「違う。キールは悪いが悪くない。私がおかしいんだ。」
と言ってまた泣き崩れた。
「カレン、俺等あっち行ってるから話聞いてあげてくれ。」
グレンはそう言ってキールを連れて行った。
「キサラさん、何があったんですか?」
キサラは自分を落ち着かせようとするが、なかなかうまくいかない。
「あいつが人外にやられた時、あいつ、殺してくれって言ったんだ…その時の思いがフラッシュバックして、それで礼なんかいうから…助かって良かったと思ったのはこっちなのに…気づいたら泣いてた。」
カレンは頷いて、
「わかりました、キサラさん。キールさんが大事なんですよ…、なんて言ったかなこれ?…そう大好きなんですよ。」
その言葉がキサラに冷静さを取り戻させた。
キサラが顔を引き攣らせて、
「は?そんなわけねーだろ。グレン達の所へ行くぞ」
と言ってカレンをどついてグレン達のところへ行った。




