ep2-2 王女の憂鬱
コン、コン。
「キールです。」
「珍しいな、私のところに来るなど。」
キールは、グリーン家の元当主、つまりグレンの父の部屋を訪れていた。
キールは頭を下げ、両膝を床つけた。
「ブラックナイト家から婚姻の依頼を受け、グリーン家の皆様を説得すると約束してまいりしました。」
グレンの父は、キールの肩を叩いて
「今は時が悪い。保留と回答してくれ。」
「と、申しますと?」
「実はアイツに家督を譲ったのは、王女の強い希望でな、私は王女には逆らえんよ。アイツが王女に見限られたらいくらでもくれてやるよ。ははは。」
「ホワイトストーンが手に入っても変わりませんか?」
グレンの父は、
「無論だ。天地がひっくり返っても変わらない、先代国王との約束だからな。」
キールは頭を下げ、
「畏まりました。」
と言って、グレンの父の部屋を出て直ぐにホワイトストーンに連絡を取り、説得は不調に終わった事を伝えた。
一方、シルバー家を抜け出し、自国へ戻る途中のミア姫に交渉失敗の連絡が入った。
「チッ。グリーン家は王女の息がかかってるみたいね。」
シルバー家の広間では王女がため息をついて、天井を見上げてた。
「おやおや、暴君がため息とは似合いませんな。」
王女は、嫌そうな目で近づいてきたパープル家のヘイズを睨んで、
「毒師がなんの用だ。」
「最近、お疲れの様子なのでいかがしたかと思いまして…。」
王女は懐から1つの小瓶に入ったドライフラワーを取り出した。
「これが何かお前にはわかるか?」
ヘイズは小瓶を覗き込んで、ニヤリと笑い
「綺麗なバラですかな?」
王女は頸を振って、
「これは、ただのバラではない…世界に1つだけのかけがえの無い宝じゃ。」
ヘイズは驚いた様子で、
「王女がそこまでおっしゃるとは…でも普通の品種に見えますが…。」
「これはな、ある男が私には花が似合うといってくれたのじゃ…。」
そこまで言って、王女は泣き崩れた。
ヘイズは頷いて、
「ナルホド…。で、その罪つくりな不届き者はいずこに?」
王女は涙を拭って、
「地下牢で寝ておるわ。」
ヘイズは頭を抱えた。
よりによって、あの超鈍感男に思いを寄せるとは…しかも、色々と噂が絶えないし、これはご心痛いかばかりか。
しかも、周りも似たような鈍感な連中が取り巻きでいるから疲労が強いか…。
「このヘイズに妙案があります。」
王女が、嫌そうな顔をして、
「グレンを傍に置くなんて出来ないからな。」
ヘイズは吹き出して、大笑いした。
「そっ、そんなことしませんよ。誰かそんなこといったんですか?」
「ゼノンがさっき妙案とか言って進言してきたから、蹴飛ばしたわ。」
ヘイズは、静かにそして強い眼差しで、
「監視をつけましょう、王女がリアルタイムで状況がわかるように。」




