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魔法世界の創造主:忘れられた神の物語  作者: とっきー
Ⅱ.終焉の真実と選択の兆し
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ⅩⅦ.影との邂逅

 草原と森を抜けた一行は、いよいよ「終焉の真実」への入口とされる場所にたどり着いた。その地には巨大な扉が静かに立ちはだかっており、周囲には重々しい沈黙が広がっていた。


「これが……終焉の真実への入口か」


 アルトが息を呑みながら扉を見上げた。


 扉の表面には複雑な模様と古代文字が刻まれており、中央には断片をはめ込むための窪みが見える。周囲の空間は妙に静まり返っており、風すら止まっていた。


「すごい……今までの扉とは違うわ」


 リリスが声を落としながら呟く。


「ここが世界の核心に通じる場所だということだろう」


 ライムが冷静に言い、剣を背負い直した。


「扉の中央にある窪みに断片をセットすれば開くはずです。ただし、強力な試練が待ち受けている可能性があります」


 フェルナが模様を解析しながら告げる。


「試練ね……どんなのが来るのやら」


 アルトが苦笑いしながら断片を手に取った。


 アルトが断片を扉の窪みにはめ込むと、扉全体が淡い光を放ち始めた。その模様が動き出し、周囲の空間が揺れ始める。


「何が始まるんだ?」


 アルトが身構える。


 突然、一行は足元に奇妙な感覚を覚え、次の瞬間には見知らぬ場所に立っていた。そこは空間全体が鏡のように反射する、不思議な空間だった。


「ここは……どこ?」


 リリスが周囲を見渡しながら呟く。


「おそらく、扉が作り出した試練の空間です。この場所で、我々の覚悟が試されるのでしょう」


 フェルナが静かに答えた。


 突然、空間の一角が歪み、アルトの前に彼自身の姿をした影が現れた。その影は冷たい笑みを浮かべ、剣を肩に担いで立っている。


「お前……俺か?」


 アルトが剣を握り直しながら尋ねる。


「俺? 違うな。俺は、お前の『本心』だよ」


 影は冷笑を浮かべたまま答える。


「何を……言ってる?」


 アルトが眉をひそめる。


「お前はずっと、自分が無力であることを隠すために剣を振ってきただけだろう。本当は、何もできない自分が怖いだけだ」

「……黙れ!」


 アルトが剣を振り上げて影に向かって突進する。


 しかし影は容易に攻撃をかわし、逆にアルトの剣を受け流して反撃を仕掛けてきた。その剣圧に押され、アルトは大きく後退する。


「どうした? お前が振るう剣には、何の覚悟も込められていない」


 影は冷ややかに言った。


「俺には……覚悟がある!」


 アルトが息を切らしながら叫ぶ。


「じゃあ見せてみろよ、お前の覚悟ってやつを」


 影は再び剣を構えた。


 一方、リリスの前にも影が現れた。それは彼女自身の姿をしており、冷たく笑いながらこう言った。


「お前は弱い。ただ、みんなに頼ってばかりの存在だ」

「……そんなことない!」


 リリスが声を張り上げた。


「本当にそうか? お前がいなくても、この旅は何も変わらないだろう。お前の力なんて、誰の役にも立たない」

「私は……!」


 リリスは拳を握りしめ、魔法陣を展開する。


「そんな中途半端な覚悟で何を証明するつもりだ?」


 影は冷笑を浮かべながら魔法を放ち、リリスの防御を崩しにかかる。


「私は……役に立ちたい。仲間と一緒に進みたい!」


 リリスが魔法を放ちながら叫ぶ。


 ライムの前に現れた影は、彼を冷徹な目で見下ろしていた。


「お前には何もない。ただ命令を待つだけの空っぽな存在だ」

「それで構わない。俺の役目は、仲間を守ることだ」


 ライムは影を睨み返した。


「守るため? それはただの言い訳だろう。お前は自分の意志で動いているつもりで、本当は誰かに操られているだけだ」

「黙れ。俺には守るべきものがある。それだけで十分だ」


 ライムが冷静に剣を構えた。


 影は微かに笑い、剣を構えて突進してきた。

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