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それぞれの戦い

淡白すぎたので大幅追加しました。

〜【強欲】グリード対【剣神】ガーフィール〜


 二人は荒野に立った。


「お前、相当強いだろ」


 コートに手を突っ込んだ黒髪の男、【強欲】グリードが告げる。


「まあ、お前よりは強いよ」


 【剣神】ガーフィールは剣を抜いた。グリードが邪悪な顔をしてニヤリと笑う。


「残念ながら、俺はお前のようにチートスキル持ちのやつを屠ってきた。このスキル『強奪』によってな!スキル発動『強奪』!」


 そうグリードが高らかに宣言するとガーフィールの身体から光の塊が抜けていった。


「はっはっはっ!『剣術』レベル百?お前の得意な剣術はこれで俺の物だ!」


 グリードの高笑いが何もない荒野に響く。


 ガーフィールは試しに素振りをしてみた。確かに動きは精細を欠いていた。鍛えられた身体の動きに変わりはないが、剣の使い方がど素人のころに戻ったようだった。


「大ピンチだなぁ。元【剣神】ガーフィール!これからは俺が【剣神】だ」


 そう叫びながらグリードは腰に差していた剣を引き抜き、斬撃を放つと遠くの山が切り伏せられた。


ドッゴォォォォォーン!


 ガーフィールはその様子を見ながら愚直に素振りを続ける。身体の中の声に従いながら、剣がどう動きたいか予想する。動きは徐々に精細を取り戻してきた。


 グリードが不審に思ってスキル『鑑定』を使用する。


「なっ!?どう言うことだ!?」


 グリードがガーフィールのステータスを覗くと、新しくできた『剣術』のレベルがみるみる上がっている。


 ガーフィールがスピードを上げて素振りしていく。


「おいっ!やめろ!」


 グリードがガーフィールに襲い掛かるが、ガーフィールはそれをきっちり受ける。互いの力は既に互角だった。二人の戦いの余波は魔界巻き込み、あらゆる山が切り刻まれて、地割れが起こっている。まさに災害を受けているようだった。


 グリードとガーフィールは互いに斬り合う。二人の目が交差した。何合か剣を打ち合うと、徐々にガーフィールが優勢になってきた。


 ガーフィールは不敵な笑みを浮かべる。


「感謝するよ。お陰で初心を思い出せた」


 ガーフィールが腰を落とし、強く踏み込んだ。渾身の一撃はガーフィールの『剣術』レベル百を超えて、グリードの身体を切り裂く。


「くそっ!この...化け物が....」


 グリードはそう言い遺すと、塵になって消えた。ガーフィールは試しに素振りをしてみる。すると空間を切り裂いて次元に歪みができた。ガーフィールは慌てて次元の歪みを剣で治す。


「初心を思い出せた上に自分と拮抗している実力の相手と戦って成長しないわけがないな」


 ガーフィールは剣を収めた。


〜【傲慢】ライオ対【激烈根性男】加藤鉄平〜


「俺の能力は相手の身体能力の二倍になる能力だ。つまりはお前の負けってこと」


 小さな少年、ライオは鉄平を見て嘲る。鉄平の体は鍛えてはいるが、一般人レベルで特段注意すべき能力も無さそうだった。


 ライオは鉄平の二倍の腕力で鉄平を殴る、蹴る。鉄平は顔や腹を強く殴られる。鉄平の鼻から血が流れた。鉄平は何度もボコボコにされる。


 鉄平の血は魔界に跡をつけて、鉄平は何度も顔に土をつけられる。鉄平は涙を滲ませる。


「アッヒャヒャヒャ。お前泣いてるじゃん。情けねえやつ」


 鉄平はライオに嘲笑われる。鉄平は片膝をついて、起き上がり涙を拭って、口の中の血を吐いた。


「海斗がぁ、俺にこの場を任してくれたんだぁ」


 鉄平はフラフラの体で立ち上がる。


「残念ながら、小林海斗の作戦は失敗だったようだね。オラァ!」


 ライオは強烈なアッパーを鉄平にお見舞いした。

鉄平は後ろに吹っ飛んで、仰向きに倒れた。


「これで終わりかな、随分しぶといやつだったけど」


 ライオが背中を向けて立ち去ろうとした時、背後に殺気を感じて振り返る。


 鉄平は立ち上がった。そしてライオを睨みつける。


 鉄平の真価はこのいくら倒されても起き上がるこのタフネスさだった。


「な、何なんだお前は」


 ライオは両腕が上がらなくなるまで鉄平を殴りつけた。ライオは肩で息をしている。それでも鉄平は立ち上がる。


 フラフラな鉄平は両腕が上がらなくなったライオに向かって渾身の力でパンチする。パンチはライオの顎を捉えて、ライオは気絶した。


「バカが、勝負ってのは最後に立ってたやつが勝ちなんだ」

 

 そう言うと鉄平は荒野に立ったまま気絶した。


〜【色欲】リリス対【虹帝】神山・アルフ・スペース・ハクス・ヒーロー・パクワラ・カケル〜


 スタイルの良い赤髪の女がその豊かな胸を露出させて、【色欲】リリスが【虹帝】カケルに言う。


「あら、あなた可愛い顔してるわね、私の婿にしてもいいわよ。百十番目のね」


 【虹帝】カケルの白髪に虹色の瞳が光る。端正な顔立ちは見る者全てを魅了した。


「悪いが嫁さんは既に三人もいてね。断らせてもらうよ」


「残念だけど、それなら殺してしまいましょ。じゃあ出てきなさい四腹心達よ!」


 そうリリスが呼びかけると地面の中から四体の魔物が出てきた。


「【獣王】【怪鳥】【土竜】【血猫】、あいつを殺しなさい!」


 四体の魔物がカケルに襲い掛かると、カケルはふわりと空に飛んだ。 


「一撃で終わらせるよ」


 カケルの周りに七色の光の玉が集まる。光の玉は一つに圧縮されてピストルの形の手の先端に位置した。カケルが呟く。


「カオス・ボム」


 カケルが放った光の玉は地上を更地に変えた。大爆発を起こし轟音が鳴り響いた後には砂埃だけだった。


「えぇ、うっそ」


 ギリギリのタイミングで空に飛んだリリスは欠片のチート級の能力を前にして呆気なく降参した。


「やっぱり、ステージが違うね」


 カケルは退屈そうに呟いた。


〜【憤怒】ラース対【村人】ポッカ〜


 金髪を逆立てた男、【憤怒】ラースは目の前の何の特徴もない男を見つめていた。


「吾輩はラースである。愚民よ名は?」


「愚民か、強ち間違ってないな。ポッカだ。ただのポッカ。御託はいいからさっさとやろうぜ」


「いいだろう、愚民に立場の差というやつを思い出させてくれる」


 ラースはポッカに襲い掛かるが、ポッカはラースの動きがスローに見えていた。降りかかる拳を避けてカウンターを放つ。その拳は目に見えないほど早かった。


「がはっ!」


 そう言ってラースは一度死んだ。そして数瞬後ラースは蘇る。


「はっはっはっ!愚民のくせにやるな!先程の攻撃を食らって吾輩はまた進化したぞ!」


 ラースの背中から蝙蝠のような翼が生える。ラースは背中の翼を使って勢いよくポッカに突っ込んだ。


「それは重畳」


 ポッカはそれを一撃で沈める。


≪経験値35896を獲得。レベルアップしました≫ 


「はっはっはっ!お前は化け物だな。だが俺は倒される度に強くなる!」


 ラースの骨格が変化して筋骨隆々になる。そのままポッカに拳を振り下ろした。ポッカはそれを片手で受け止め、腹に拳を打ち込む。ラースは血を吐いて倒れた。


≪経験値65238を獲得。レベルアップしました≫


 ラースは何度も倒されては蘇る。それを何度も繰り返しているうちにラースは不審に思い始めた。


「なぜだ、なぜ実力差が埋まらない?」


「なぜって俺がレベルアップしてるからに決まってるだろ」


「レベルアップ?なんだそれは」


「まあ、分かんなくてもいいよ。お前は一生俺に勝てないっていうだけ。じゃああと一回倒したらシールに封印してもらうか」


「なにっ!?ふざけるなよ!」


 ラースは体を元の何十倍にも膨らませてポッカに襲いかかった。ポッカはそれを一撃で沈めると、荒野にパンチの衝撃で暴風が吹き荒れた。


ラースは宣言通り一回倒された後、気絶させられ、シールの元で封印された。


「レベル8529か、良いレベリングにはなったな」


〜【怠惰】ゴルフェゴーラ対【一撃】ワッパ〜


 七人の魔族が散った後そのうちの一人であるニメートルはありそうな長身の男、【怠惰】ゴルフェゴーラを追って敵城の中に入っていった。


 ワッパはゴルフェゴーラが他の六人と比べて明らかに別格であることに気づいていた。恐らく、【百蓮】のメンバー全員と戦って互角といったところか。だからこそ海斗から自分が選ばれたのだということをワッパは分かっていた。


 【怠惰】の部屋に入ると、そこにはベットで眠っていてるゴルフェゴーラの姿があった。


 ワッパは相手が寝ていようと関係がなかった。元々勝ち目の薄い戦いだから、少しでも勝率を上げようとするのは当然の運びだった。


 ワッパは拳を構える。エネルギーを全力で拳に溜めては圧縮する。


キィーーーーーーーーーン!


(まだだ。まだ全力まで溜まっていない)


キィーーーーーーーーーン! 


 ワッカは目を見開く。過剰なエネルギーがワッパの拳に溜められて、拳が震える。


キィーーーーーーーーーン!


(今だ!)


 ワッパは溜まったエネルギーを拳を突き出して、ゴルフェゴーラにぶつけた。


 ゴルフェゴーラは激しい衝撃で起き上がり、モロにワッパの拳を食らった...はずだった。しかしゴルフェゴーラの周りのものが全て吹き飛んでも、ゴルフェゴーラは無傷だった。


 ワッパは己の一撃を使い果たし、片膝をついた。無念、そう思ったその時、部屋に【人徳】小林海斗と【魔王】カルラが入ってきた。


「よ!ゴルフェゴーラ、久しぶり!」


「あれ、やっぱり海斗だよな。さっきの。久しぶり」


 カルラが呆気に取られて、言う。


「え?ゴルフェゴーラと海斗、知り合いなの?」


「知り合いというかマブ。」


 ゴルフェゴーラが短く答える。


「僕が【勇者】パーティーに入る前、魔界の騒音が気になるからって僕のアイテムボックスを貸してたんだ」


「でも、びっくり。あんな一撃。」


 ゴルフェゴーラがワッカを指差す。ワッカは悔しさを滲ませながら言った。


「でも、俺が一撃で倒せないとはな...」


「いや、体力八割。削られた」


 カルラが補足する。


「【怠惰】の能力は寝れば寝るほど力を溜めるって言う能力なんだよね。ゴルフェゴーラはトータルで何年くらいねたの?」


「一万二千年くらいかな?」


「何!?そんなにか!なら俺の拳も捨てたもんじゃないな」


 海斗はゴルフェゴーラに言う。


「これまでワッパは強過ぎて敵がいなかったからね。実力を測るためにゴルフェゴーラとぶつけたんだ。


 そういえば僕のアイテムボックスに空きができたから、もしよかったらゴルフェゴーラ来ない?たまに起こして協力を要請するかもだけど」


「本当!?いくいく」


 そう言うとゴルフェゴーラは部屋を飛び出し、ワッパに壊されたベットの変わりを持ってきた。


「これ。よろしく」


 海斗は苦笑しながら次元の裂け目を開いた。ゴルフェゴーラはベットを持って飛び込むように入っていった。


 海斗は集まってくる仲間を全員アイテムボックスに入れて魔界から人間界に転移した。


読んでくださりありがとうございます。


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