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パーティー

「みんな今日集まってくれてありがとう!幸か不幸か【勇者】に押しつけられた二十年分の食糧があるから、今日はそれでパーティーにしよう!」


FOOOOOOOOOO!!!


 アイテムボックス内が熱気に包まれる。海斗のアイテムボックスには積み上げられた食糧品が丁寧に仕分けられて置いていた。アイテムボックスの空間は百人程度飲み込んでも余りある代物だった。食糧品以外は何もない空間で真っ白な床が地の果てまで続いているようだった。


「料理は【神喰】エーデルハイムに務めさせてもらう!」


「百人分の料理だろ?【千影】ダンゾウが十人に分身して、補助させてもらうぜ!」


「まったく!素人が何人いてもしょうがないでしょう。【万化】アルドリッチがあなたを【神喰】に変化させるから、それでサポートしなさい」


「【千影】と【万化】のコラボだって!?この星が終わるぞ可能性があるぞ!」


 ダンゾウはアルドリッチによってエーデルハイムに変化した後、十人に分身した。十一人のエーデルハイムは食糧品の山に向かうと、手際よく食材を仕分けていった。


「もう!相変わらず殺風景なんだから!【創造】ファシリテートがキッチンとテーブルくらいは作ってあげるわ!感謝しなさいよ!海斗!」


 そう言うとファシリテートは十一人が分担して使えるキッチンを包丁などの道具を含めて作り、その後に木製の大きなテーブルを何卓か作り出した。


 十一人の【神喰】が猛スピードで料理をする。出来上った料理は【浮遊】エルデによって一人でに浮いてテーブルに盛り付けられていく。


 アイテムボックス内はちょっとした会場のようになり、様々な大物達が会食を始めた。


 海斗が【創造】によって作れられた壇上に立つと自然に拍手が巻き起こった。


「改めてみんな、集まってくれてありがとう!パーティー会場を作ってくれた【神喰】【千影】【万化】【創造】【浮遊】に大きな拍手を!」


パチパチパチパチ!


「さて、本題に入る前に少し僕の話をさせてもらう。僕はこの一年間、あるパーティーの黒子に徹してきた。それは【勇者】【覇者】【聖女】と僕で構成されたパーティーだ。


 そのパーティーの目的は【魔王】討伐だった。だが、その攻略は遅々として進まないものだった。僕も出来る限りの協力はしたが、あくまで主役は【勇者】という王国と勇者からの働きかけのせいで思ったように進めなかった。


 そして一月前、僕は【勇者】パーティーを追放された」


BOOOOOOOO!


 海斗は照れ臭そうに笑う。


「みんなありがとう。僕は今回の出来事を経て、一つ心に決めたことがある。それは自重しないということだ!主役を人に譲った結果、得たものは追放だって!?


 そんな情けないことがあるか!?僕は今日から自分の持ってる力を最大限使ってこの星で燻っている問題を全て解決するとこにした!これからは僕たちの時代だ!みんな、この星をより良くするために力を貸してほしい!」


 会場は爆発した歓声に包まれた。


「海斗!海斗!海斗!海斗!」


「僕は決めた!ここに集まってくれた百人全員をパーティーメンバーにする!そしてアイテムボックス内に転移魔法陣を置き、必要になった人材にその場で協力を願う。


 【創造】ファシリテートと【全能】アウラ・デウス・マキナによって作られたこの腕輪を常につけていて欲しい。これは仲間の印でもあり、君達が瞬時に僕のアイテムボックスに転移できる入り口でもある。


 長くなったが、これで僕のスピーチは終わりだ。最後に僕たちのパーティー名を決めて終わりにしよう。何か良い案がある者はいるか!?」


「円卓の騎士達!」「ネクサス!」「ノブレスオブルージュ!」「百蓮!」


「決めた!僕たちは【百蓮】だ!」


FOOOOOOOOOOOOOOO!!!!


 全員が両手を強く叩いた。音の衝撃が心地よく海斗の体にぶつかる。全員がパーティーの熱気に浮かされていた。海斗が宣言する。


「まずは【魔王】との領土問題を解決する!異論のある者は!?」


「【人徳】!【人徳】!【人徳】!」


「よし!この後【封印】シールと【交渉人】ベイク、【魔人】リュークは僕の元に来てくれ!」


 万雷の拍手を浴びながら海斗はステージを降りる。全身を包帯で巻かれたミイラ姿の男【封印】シールと、ビジネススーツでバシッと決めた男【交渉人】ベイク、片手を龍に侵食されている男【魔人】リュークが海斗の元に集まった。


「今から魔王城に転移して【魔王】と交渉しにいく。準備はいいか?」


 全員が頷き返す。アイテムボックス外にいてもらった【瞬身】ミナトと【全能】アウラ・デウス・マキナと腕輪を通して連絡を取る。


『こちら、ミナト。魔王城の足元まで侵攻を進めたよ。後はアウラにお願いして転移魔法陣を設置してもらうね』


『ありがとう。ミナト。流石は二児のパパだな』 


『よせよ。今は関係ないだろう』


 ミナトははにかみながらそう言った。


『海斗、設置完了だ』


 アウラが告げる。


「みんな行くぞ!」


 海斗が転移した先は魔王城の最深部、魔王の部屋の目の前だった。


(ミナトのやつ、無茶したな)


 海斗は目の前の大きな扉を開けた。そこには威圧感のある巨大な椅子の上にちょこんと座った小さな幼女がいた。


 幼女特有の高い声で告げる。


「よく来たな。勇者達よ。ん?勇者?」


「ん?魔王?」


「「ん?」」


 二人の声がシンクロしてお互い疑問符を浮かべる。海斗は想像していた魔王よりもずっとコンパクトななりに驚き、魔王は勇者が来るかと思いきや、普通の青年と見慣れない身なりをした男達がゾロゾロと入ってきたことに驚いた。


「これはこれは魔王様。いきなりのご訪問をお許しください。私達は【百蓮】というパーティーで活動しております【人徳】小林海斗一行でございます」


【交渉人】ベイクが開口一番にそう告げる。


「お、おう。よく来たな。あれれ。よく見たら【魔人】リュークいるじゃん。言ってよ〜。よく来たなとか言っちゃったし」


 魔王はピンクの長髪を首で左右に振りながらリュークに言った。


「おう!ちびっ子魔王様。今日は紹介したい奴連れてきたぜ」


 リュークが海斗の背中を叩く。


「どうも。魔王様、小林海斗と言います。今日はちょっとしたお話しにきました」


 魔王は取り繕って答える。


「うむ、何もないところではあるが、ゆっくりしたまえ」


 プーッと後ろで必死に低い声をだそうとする魔王をリュークが笑った。

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