依頼者
不慣れですがちょこちょこ上げていきます!
「あの…はじめまして。ここでなんでも解決してくれる凄腕の探偵さんがいると聞いたのですが…」
おずおずと部屋に入ってきた女性は、少し顔色が悪いが美人だ。綺麗に前髪を斜めに切り揃えられており、とても上品な印象である。きれいな身なりをしているからどこかのお嬢様なのだろう。お付きの者までいる。
椅子にかけるよう案内すると杏梨がお茶を出した。
「ありがとうございます」
丁寧にお礼を述べる女性はやはり顔色が悪い。
「改めまして、わたくし桜野千春と申します」
「私は真道理と申します。では桜野さん、まずアナタは独身ですか?」
「はっ?」
桜野が声を上げたと同時にスパンッといい音がする。
小さなハリセンをそっとしまう杏梨がいた。
「痛い…杏梨ちゃん痛いよ…」
「加減しました」
「いやそういうことじゃなくてねぇ…」
「いきなり独身か聞く真道さんが悪いです。謝りなさい」
「すいません…」
「(どちらが上なのかしら…)」
上司に謝罪させる杏梨はフンッと一息つくと桜野を見る。
優しく微笑みながら声をかける。
「私は杏梨と申します。顔色が優れないのですが大丈夫ですか?少し休まれてからでも良いですよ」
「その優しさを俺にも向けてよ…」
真道を無視した杏梨に多少ビビりつつも桜野はまっすぐ杏梨を見つめる。
「お気遣いありがとうございます。わたしは大丈夫です。この問題を解決できたらきっと…良くなるはずですから…」
「お嬢様…」
「大丈夫よ、河野。そんなに心配しないで。こちらは河野。運転手兼私の護衛です」
杏梨がピクリと眉を動かす。
「護衛…?」
真道は静かに桜野を見つめる。
(やっぱり厄介なことになるな…)と心の中でため息をついた。