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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
20 抑えられない衝動
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抑えられない衝動 4

 白希は着物を着た男性に喧嘩を売ろうとしたが、彼の背後で二人が戦っているのを放っておくわけにもいかず、彼は一旦は男性への敵意を隠す。男性もそれを見て、白く輝く火の玉を握り、消滅させた。白希は男性の横を通り抜けて、二人の元へと急ぐ。男性が二人の衝突を止めさせないというのなら、その洗脳を解除するしかないだろう。異世界でも洗脳を解くのには、脳や体に衝撃を与えるというのがセオリーだ。完璧な催眠などはなく、どんなものでも何かしらの対策の方法はあるものだ。


 白希の視界に蓮花と菜乃花の姿が明確に目に入る。そして、蓮花が彼が来たことに気が付いた。白希は蓮花が息を切らせていることに気が付いた。おそらく長時間ヴァンパイア状態の菜乃花と戦っていたのだろう。


「蓮花、もう下がってて。ここからは僕が引き継ぐよ」


「でも、迷惑をおかけするわけにはいきません。私一人でも――」


「いいから。休まないと倒れるよ」


 声はそこまで大きくないのに、地震の言葉を遮るほどの力を感じた。顔女はその声に逆らうことは出来ずに、素直に退く。彼の戦いぶりを観察することしかできない。


「菜乃花、大丈夫?」


 蓮花より白希が近くなったことで菜乃花のターゲットは白希になった。白希が声を掛けたその返事で菜乃花が彼に爪を突き立てようと手を伸ばす。だが、彼にはその爪は当たらない。彼は軽く回避して、顔女の腕を掴んで投げた。だが、彼女は空中でくるりと回転して、地面ではなく空に留まる。その状態で、彼を見ていた。


(と言うか、太陽の下でもあの力を使えてるってことは、……どう言うことだ)


 今の彼女はどう見ても、自らの意識がない状態で行動しているように見える。彼女はヴァンパイアでありながら、本来の伝承上で語られている物でも苦手ではない物があるようだった。彼女が意識していないから、今は太陽の下でも弱体化しないということなのかもしれない。異世界でのアドバイスで超能力は使用者の認識一つで変化すると言った人がいる。この世界でも、それが怒っているということなのかもしれない。だが、それがわかったところで何か変化があるわけではない。昼でも夜でも協力と言うのなら、時間経過を待つという方法は意味がない。反対に、彼は夜になる前に決着をつけないといけないと考えていた。もし、弱点の太陽を克服したのではなく、能力を全開放してこの力を使っていて、夜になるとさらに強くなる可能性がある。そうすれば、より対処に困ることになる。だから、この場所でどうにか決着をつけたいところだった。


(だが、まだ昼。夜になるまでにまだ時間はある。夕方辺りまでに決着をつけたいところ)


 彼が思考を回している間に、菜乃花が空から急降下して彼に攻撃をしようと近づく。彼は土の魔法を使いその攻撃を防御しようと壁を作り出した。ファスの力を借りずに自らの力だけで作り出した土魔法の壁だが、彼女は単純にその壁にパンチをかました。それと同時に簡単にその壁は砕け散る。


(さすがにこの程度では硬化なし、か)


 できれば自分の力だけでどうにかしたいと彼は考えていた。少なくともこの戦闘においてはプロイアの手を借りたくはなかった。彼女は竜花を治すためにかなりの体力を消耗している。見た目にはいつものように行動しているが、体力が完全に回復しているわけではないのはわかっていた。できれば一週間ほどは超能力は使わないでほしいと思っていた。つまりは、この戦闘で自分は怪我をするわけにはいかないということである。彼女は白希が怪我をしたならば、すぐにでもその超能力で癒そうとするだろう。


 彼が思考を回している間に、近づいていた菜乃花が蹴りを放つ。それも単純な蹴りと言うわけではなく、軽くジャンプして、まるで格闘ゲームのキャラクターのように上から踵を振り下ろした。彼はそれを軽く回避したが、彼女はそれに引っ付くようにして移動してさらに攻撃を続ける。彼の背丈ほど高度を維持していて、そこから足技を繰り出してくるものだから、彼はとりあえずは回避するしかない。魔法を使って攻撃することは難しくはないだろうが、彼女がどれだけの魔法で効果があるのかがわからない。自身の最低限の威力の魔法で彼女が瀕死にならないとも限らない。レッドドラゴンブレスでさえ、彼女にぶつけてしまえば黒焦げになり、しばらく行動できなくなる可能性が高い。できれば、説得だけで、攻撃を止めてほしいが、そう言ったものは無理な気がしていた。蓮花が戦っても攻撃を止めないのだから、既に彼女自身の心で制御できる物ではないのかもしれない。

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