抑えられない衝動 3
「姉さん、姉さん。なんでこんなことを。誰に操れているの?」
琥珀が菜乃花が降りた場所に到着すると、菜乃花と何者か対峙しているのが見えた。菜乃花に似た女性だ。彼女も菜乃花を止めようとしているように見える。菜乃花を殺そうという意志は感じられない。琥珀はその場に待機して様子を見ることにした。自分が出ていって、状況をややこしくするのはよくないと勝手に考えを結論付けて、傍観することにした。
(姉さん。なんで、何も言ってくれないんですか?)
何度か声を掛けたが、菜乃花がそれに反応することがなかった。それどころか、菜乃花のターゲットが蓮花に移って、何度か攻撃されそうになった。テレポートを使用できる彼女はその攻撃を回避することは容易いが、テレポートと言う超能力自体には攻撃力や制圧能力はない。彼女が出来るのは、菜乃花がこれ以上違う場所に井戸しないようにこの場所に釘付けにしておくことだけだ。少なくとももう一人、超能力を使える人がいなければ、菜乃花に対抗することが出来ない。この状態で時間がかかってしまえば、ただの消耗戦になり、超能力の使用を維持できなくなった方が負けと言うわけだ。そして、そうなった場合には明らかに菜乃花に軍配が上がることになるだろう。蓮花は何か打開策がないかと頭を巡らせながら戦い続けていた。
「シラキ。猩花のお姉ちゃんの反応が近くにあるみたいだけど、なんかおかしいみたい」
教室を出て、昼食のために食堂をへと移動しているときにフレイズが指を差してそういった。昨日は竜花と猩花を部室の部屋に残して安静にしてもらい、彼自身はその場所に留まることはなく、家に帰ったのだ。そして、今日は教室に行く前に、部室に顔を出して、竜花の様子を見てから登校した。竜花の様子は既に元に戻っているようで、多少体力は戻っていないようだが、普通に生活する分には問題ないほどの回復していたのを確認した。今日は念のために部室で休ませてあった。
フレイズが情報をくれたが、猩花は末っ子でその上には三人の姉がいる。その反応がこの近くにあるということは、蓮花が動いているということなのかもしれない。それか、我慢できなくなった竜花が既に部室から出て散歩でもしているのかもしれない。
「シラキさん。この感じはおそらく片方は朝野蓮花さんです。もう一人は朝野菜乃花さんのように感じますが、少しいつもと様子が違うみたいです。宇宙人何かと戦っているのかもしれません」
「そうか。少し様子を見に行ってみよう」
彼は食堂に行くのをやめて、彼女たちが感じた二人がいる場所に移動することにした。
(何もなければそれでいいんだけど。プロイアがおそらくとつけるからには何かおかしなことになっている可能性が高いだろう)
面倒なことでなければいいのだが、と彼は思いながらも移動した
フレイズとプロイアの案内で、その場所まで行く。その過程で周りに人が少なく泣ていくのがわかる。人気のない場所となると、余計に何かトラブルに巻き込まれていると考える方が正しいだろう。案内に素直に従って、彼女がいるであろう場所の近くに来ると、その手前には怪しい男性が立っていた。こげ茶の髪の毛で着物を着ている男性だ。木の影に隠れている。その視線の先には菜乃花と蓮花がいるのが見えた。
(戦ってるのは、あの二人? どうして?)
菜乃花と蓮花は中が良いはずだ。竜花と蓮花が言い合いをする程度で、それ以外の姉妹は言い合いすらしない。それほど仲が良いはずだが、その二人が戦っているというその状況がまずおかしい。そこで彼は閃いた。この状況を生み出したのだが、目の前の男性ではないかと。
「少しいいか?」
彼は声に怒声を含ませて、低い声で着物の男性の肩を叩く。男性が振り向き、彼を見下ろす。彼を認識すると、男性は目を細めて彼を睨む。
「人間風情だ何用だ?」
「あれ、あんたの仕業だろ。さっさと元に戻して」
「無理だ」
「じゃあ、力づくでもと言ったら?」
「応戦してやろう。お主ごとき、小さな人間がわしに敵うはずがないのだからな」
男性の手には白く光る火の玉が出現した。キラキラと光っていて、彼はそれを嫌いだと感じるのと同時に、そこに莫大なエネルギーがあるということを理解した。異世界でもこういった綺麗でキラキラしている物は強大な力を蓄えている可能性が高い。そして、それを操っている本人の実力が弱いはずがないことも理解している。つまりは目の前の男性はかなり強力な力を持っている可能性が高いというわけだ。白希は彼の実力をすぐには測ることは出来なかった。




