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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
20 抑えられない衝動
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抑えられない衝動 2

 ヴァンパイアの本能に囚われてしまった菜乃花は校舎から学生が出てきているのを見ていた。人が多いところで自身が確実に勝てるわけではないと、勝手に思考して、人通りが少ない通路や、上から確認しやすい場所の中で、数人しかいない場所を探す。保育園から大学校まが同じ敷地にあり、更にそれ以外も建物があるこの敷地にはいくつもの人気ひとけの無い場所がある。蓮花が一人になるために行ってしまった場所もそのうちの一つだ。菜乃花たが利用している部室棟も彼女たち以外にはそれに近づく人はいない。そういった場所が沢山あるのだ。


 琥珀も学校に到着して、空を見上げた。そこには何かを探すように地上を見ている菜乃花がいた。彼女が何をする気かは知らないが、絶対に彼女にとっていい方向になることではないということが直感で予想していた。だから、彼女を止めなくてはいけないのだ。そして、空にいる菜乃花が何かを見つけたのか、地上に降りようと、移動を開始した。琥珀もその地点に移動を開始する。


(何かが起こってからでは遅い)


 琥珀は他人にどれだけ被害が出たところで、それ自体は胴でもよかった。だが、菜乃花がそれでどう考えるか、どう感じるかを予想すると必ず止めないといけないという尚早に駆られてしまう。とにかく、何かしようとするなら、とにかく力で彼女を押さえつけることしかできないだろう。




 菜乃花が見つけたのは、校舎の影になる場所で高校生男子と中学女子が話しているところだった。二人の間には恋愛という雰囲気はなく、兄妹というような和やかに雰囲気に近い。二人の近くには人はおらず、菜乃花からすれば、狙ってくださいと言っているようなものだろう。近くの校舎の中には誰かが居るかもしれないということは彼女も考えた。だが、校舎のその位置にはあまり利用されない特別教室ばかりだ。そして、そのエリアにあるほとんどの教室は古いもので、それに代わる新しい教室は既に別の場所に作られている。そのため、その場所に人が来ることはほとんどない。その情報が彼女の脳に残っていたため、二人を狙うのが絶好の機会だと思ったのだ。


 菜乃花は地上に音もなく着地する。ヴァンパイアの力を使えば、その程度のことは難しくない。気配も音も消して、彼女は二人の近くに移動する。もちろん、背後から気が疲れないように近づいていく。だが、足元はあまり整えられていないため、草が生えている。あと少しでどちらかに手が届くということろで、二人は振り向いた。二人は化け物が近づいてきているのに気が付いた。


「っ」


 女子生徒は驚きすぎてすぐには動けなかったが、彼はすぐに女子が動けなないことに気が付いた。そして、すぐに女子生徒の腕を引く。彼女は後ろに庇って、ヴァンパイアを人睨みして、すぐに走り出す。女子生徒が転びそうになるのを彼は腕を引っ張り自分の方へと抱き寄せる。彼女の足が地面に引きずられないように、体を抱き上げた。菜乃花はその二人を逃がすつもりはなく、すぐに二人に接近する。ヴァンパイアと人間の身体能力など考えるまでもなくヴァンパイアの方が強いに決まっている。菜乃花は二人の前に出て、二人を捕まえようとしたが、男子生徒は右に抜けようと体をずらす。菜乃花はそれに気が付いて、右に体を動かす。だが、その時には既に彼女の左側を抜けていた。だが、ヴァンパイアには人間を超える反応速度がある。フェイントをかけようとも意味がない。男子生徒の腕を菜乃花ががっちりと掴んだ。男子生徒の顔に恐怖が映る。腕を離せと言いながら、腕を振るおうとするが、びくりともしない。それでも藻掻くのを止めない。


「……姉さん。何をやっているのですか……?」


 彼女の視界の端に見覚えのある人物がいた。それは蓮花だ。彼女がここにいる理由はただ一つ。彼女の潜伏場所が校舎の中の人気のない場所に潜伏しているからだった。教室の中と外とはいえ、近くで騒ぎがあれば、気が付く。彼女はなんの騒ぎかと窓から外を見ると、ヴァンパイアが人を襲おうとしているのが見えたのだ。そして、二人を助け出すために近くに寄れば、ヴァンパイアの正体が自身の姉、菜乃花だとわかってしまった。一緒に戦って、この町の平和のために戦ってきたはずの、絶対の味方が人を襲っている。それは蓮花にとってはかなりショックな光景だった。だからこそ、蓮花はすぐには動けなかった。ヴァンパイアは彼女を一瞥するだけで、行動を止めようとはしていない。蓮花はそれに気が付いて、もしかしたら彼女の意志とは関係なく、何かに操られているのかもしれないと勝手に思い込んだ。そうしなければ、この現実を受け入れることは出来ない。彼女はすぐにテレポートを使用して二人の体に触れる。二人を今まで自分がいた教室へと移動させた。

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