こっくりさんの実力 3
白い渦は、琥珀を巻き込むと、渦は形を変えていく。形はすぐに形成されて、それが人型だということはすぐに分かっただろう。そして、白い輝きが徐々にはがれていくように消えていく。その中の人はこげ茶でセミロングの髪が揺れている。きりっとした細い目の中には髪と同じ色の瞳があった。薄浅黄色の着物を着ていて、それが高い背も相まって似合っている。頭には狐の耳が生えており、腰の辺りからは九尾の尻尾が生えていた。白く輝く魂が琥珀の周りに再び集まり、琥珀を照らしていた。
「魂魄剣」
彼が呟くと、彼の手元に彼の周りにある刀と同じ色の刀身を持つ刀が出現した。握りの部分は藍色に白いひし形が敷き詰められている柄になっている。琥珀が軽く刀を振るうと、剣先には白く輝く尾を引いている。その後に、明かりに照らされてキラキラとした粒子が付いて行く。その刀が手に馴染んだのか、刀を見つめた後に、蜥蜴人間に視線を移した。そして、刀の先を相手に向ける。
「さて、終わりにしようか」
蜥蜴人間は拘束から解除されて、動き始める。その拘束は解けたわけではなく、彼が解いたのだ。それも理解せずに相手は彼に槍を向けて突撃していく。だが、その槍の先が彼に当たることはない突き出された槍の先は、彼の手前で止まる。槍の先端には白く輝く波紋が浮かんでいた。それが相手の槍から発されたものではなく、明らかに琥珀の出したものだ。波紋が弾けて相手の槍を吹き飛ばす。かろうじて手を離すことはなかったが、そのせいで大きく仰け反る体勢になってしまう。彼はその隙に刀を振るう。明らかに相手の体に届いていない。その刀を振り終わっても相手の体に変化はない。だが、相手はそれ以上は動かずに、地面に倒れる。地面に全身をぶつけたような音がして、それ以降、敵は動かなくなってしまった。
「異星人にも魂はあるのだな」
彼の刀の先には白く輝く火の玉があった。おそらくそれが今の敵の魂なのだろう。彼はその魂を手の平に乗せるとくっと握りこむ。彼の掌よりも大きい火の玉はその動作だけで消えた。おそらく、それが魂を取り込むという行為なのだろう。
「菜乃花。大丈夫か」
菜乃花は今、怒ったことの位置から理解に苦しんでいた。宇宙人に襲われて死にそうになった。そこまでしか理解していない。九尾が思っている以上に強いこともそうだが、琥珀が人に変化したのにも理解が追いつかない。彼が自分に手を差し伸べていることもすぐには理解できないが、反射で手を出して彼の手の上に自分の手を置いた。それで立たせてもらって、ようやく多少パニックが落ち着いた。
「こ、琥珀さん。助かりました……」
「これで多少は恩を返せただろうか。……こういうことはよくあるのか?」
「よくあるというか、私はそう言う職業なので、襲撃を受けたり、したりします。この町を敵から守るのが仕事ですから」
「……昔の陰陽師のようなものか。そう言うことならば、お主の、わしへのお願いを言うまで、力を貸すことにするぞ」
菜乃花は、本当なら九尾なんて恐ろしい妖怪に協力されるというのは後で何を要求されるか分かったものではないので、その協力を断りたかった。だが、九尾が協力すると言っているのだから、それを曲げることは誰であっても無理だろう。結局はそれを受け入れるしかないのだ。
「わかりました。よろしくお願いします」
「うむ。こちらこそな」
琥珀は満足そうに頷いていたのだが、そこに先ほどのアーマーが勢いよく入ってきた。今度は二体だ。琥珀が再び菜乃花を庇うように立つ。
「宴は別の場所でしてほしいものだが。異星人に言ってもわからないか」
琥珀にはその程度は大して驚くようなことではなかった。彼が何かをする前に、アーマーが動き始める。アーマーの一人は先ほどのアーマーと同じように槍を持っていたが、もう片方は槍ではなく、剣を持っていた。剣身には青い光の板のようなものが付いており、見た目には弱そうだ。先に槍が彼を先に狙う。だが、先ほどの同じように槍は彼には届かない。だが、その後ろからすぐに剣が彼を狙い振るわれていた。だが、その剣も槍と同じような距離から前には進まない。それどころか、剣はすぐに弾かれて、効果を成さない。
「二人に増えても、能無しは能無し。数だけ増やしても意味がない」
彼の周りにある白く光る火の玉が剣を持ったアーマーにぶつけられた。今度は大爆発はせずに、アーマーに纏わりつくようにそれの一部を包んだ。次の瞬間に火の玉に包まれた部位が消失した。それを槍を持つアーマーにもぶつけて、アーマーを消失させた。中身が露出して攻撃が通りやすくなってしまう。
「さて、わしの力の糧になってもらおうか」
彼が二振り、刀を振るうと、その剣先には白く輝く大きな魂が二つ。彼はそれを口元に運び、それを啜る。琥珀が啜るとそれに応じて魂が小さくなっていく。やがて、魂は消失した。




