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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
19 こっくりさんの実力
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こっくりさんの実力 2

 正体不明の敵を前にして、菜乃花の思考は加速していた。だが、それでも体の動きはそれについてくることはなかった。


「こ」


(琥珀さん、逃げてっ)


 思考の中では言葉になっているのに、口から出る音は一音一音ゆっくり出ているように感じる。それでもそれが琥珀に伝わっていることを願いながら敵の攻撃を受けようとしていた。治るとは言え、痛みは感じるのだ。体に穴が空くほどの痛みに耐えられるかどうかわからないが、気絶しなかったら、絶対に反撃しようと決意していた。


 そして、槍が後数センチ進めば彼女の腹に突き刺さると言うところで、槍は弾かれた。菜乃花も敵もその状態に驚いていた。敵は反撃を恐れて、彼女と距離を取る。


「われの恩人に何をするか」


 琥珀の周りには白く輝く火の玉が出現していた。いつの間にそんなものを出したのか、その火の球は纏う炎をゆらゆらと揺らしながらそこにあった。琥珀は机の上から降りて、菜乃花の近くまで移動する。その間、敵は動かないのか、動けないのか。じっとしていた。その間に、菜乃花の変身も完了して、ヴァンパイアとなる。


「大丈夫か、菜乃花。ちと油断しすぎだったな」


 琥珀は彼女をからかうようにそう言った。まるでこの程度の脅威であれば、大したことはないと言っているようで、この状況でも安心感すら覚えてしまう。


「ふむ。異星人と言う奴か。人間とは言えど、ここまでとんちきな術を使うわけではないからな」


 琥珀の体はテレビや動物園で見る狐と同じくらいの体躯のはずだが、彼女はこの時だけは自分より大きいと感じていた。


「さて、人様の家を壊して、謝罪もしない馬鹿者を追い返すとしよう。返すと言っても、返る先は冥界だがな」


 琥珀の周りの白く輝く火の玉だが、より強い光を放つ。そのうちの一つが、ゆっくりと敵に向かって動きだした。それは明らかに攻撃だというのに、敵は全く動く気配がない。まるで、それが見えていないかのように琥珀の方を見つめている。


「異星人には魂を認識することはできないのか。わしのことばかりを見ていていいのか」


 琥珀が話している間に、白い火の玉が相手のアーマーに触れた。その瞬間、相手を包む大爆発が起きる。家が壊れるのではないかと言うほどの大爆発。だが、爆発が起きても家が崩れるような様子はないどころか、そこにあった家具も吹っ飛んでいない。


「魂の持つ力を解放した。それがどれだけ、貴様に傷を与えるかは知らないが、無事ではすまない」


 琥珀の言う通り、相手のアーマーはボロボロで、アーマーの大部分が溶けていたり、壊れていたりして、中身が見えてしまっている。頭を守ってたヘルメットは既に全て消失していた。アーマーの中にいたのは、緑色の蜥蜴人間だった。その蜥蜴人間は宇宙人だ。菜乃花たちが追い返している宇宙人の中にそう言った姿のものを確認していた。だが、相手の正体よりも琥珀が助けてくれたという事実が意外だった。九尾と言うか、動物が妖怪化したものはまず他の生物を助けるということをしない。そもそも、恩という概念を知らないのだ。何かを与えらえるのは自分が強いからだと考えていて、自分に親切にするのは、自分に畏怖を覚えているからだと思っている。そのため、悪いこともいいことも、それに対して何か深く思うことはないはずなのだ。だが、琥珀は違ったようだ。


「生ある者の魂を一つ使った。魂のクズでその威力。次は耐えられると思うか?」


 琥珀はそう言いながら、白い火の玉を敵に向かって飛ばす。先ほどよりも素早く移動して、アーマーがない部分にそれが触れた。再び大爆発。敵はもろにその攻撃を食らう。回避もせずにぼうっと立っているだけのようにしか見えない。もはや、みためだけで言えば、戦闘の意志が無いように見えるだろう。だが、敵が動かないのは、琥珀の力によるものだ。


 琥珀が操っている白い火の玉は、生ある者の魂だ。琥珀にはそれを操る超能力がある。九尾の能力ではなく、琥珀が持っている超能力だ。二千年以上わたり、この世界を生きて、その間に死にかけた物や悪人、時には気まぐれで、生ある者の魂を集めてきた。その量はこの程度では減ったかどうかもわからない程の量だ。


「ふむ。この姿では戦いにくいかもしれないな」


 琥珀はそう言うと、白い魂を一つ顔の前に移動させた。その魂はくるくると回転を始めて、魂が渦の形になっていく。その魂は渦上のまま、琥珀の上に移動して、そこから徐々に下に下がっていく。その渦に琥珀を巻き込みながら、琥珀が渦の中に溶けていく。


「生ある者の魂よ。われに人の姿を成せ。人型変貌」

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