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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
19 こっくりさんの実力
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こっくりさんの実力 1

「やはり、人間は物を作るのが上手いな。特にわしは料理が気に入っているが、前に食べたときより格段においしくなっているな」


 琥珀に作った料理を出すとすぐに食べ始めていた。皿に盛った料理をバクバクと食べていた。感想を言ったのは、最初の一口を食べた後だけで、それからは本当においしいとわかるような、勢いで食べている。その隣で、自分の分を食べる菜乃花。彼女はこんな状況だが、それでも一人で食事にならなくてよかったとも思っていた。一人での食事なんて、食材も美味しくは感じないし、何より寂しい。九尾でもいてくれてよかったと彼女は心の底から思っていた。


「……」


 テレビもついておらず、静けさだけがそこにある。だが、何かを話そうとは思わなかった。自分の作った料理をここまでの勢いで食べてくれるのだから、それを邪魔しようとは思わない。




 静かな食事が終わり、琥珀は満足そうに寝転がっていた。菜乃花は皿を下げて、それを洗っていた。


「菜乃花。何か困っていることはないか。ここまでの恩を何もせずに、お礼だけ言って終わりと言うのは、わしが情けない。何かお礼をしたいのだが、何かないか」


 皿を洗いながら、彼女はそうですねと呟きながら考えるふりをする。この九尾にお願いごとを叶えてもらえるチャンスなどはもう二度とは来ないだろう。それを無下にするのは中々に惜しい気がしなくもない。彼女の願いは、今も昔も姉妹仲良くずっと一緒に暮らしていけることだ。だが、そのためには力が無くてはいけないと、思い知らされた。夜でも昼でも彼女たちを守れるだけの力が欲しい。だが、その願いを琥珀に叶えてもらうというのは、彼女は納得できなかった。だが、彼女の超能力で昼も戦えるようにするなんてことは、少なくとも太陽の光を遮断できるような場所を用意しなくてはいけない。


 彼女が考え込んでいると、琥珀はあくびを一つした。


「すぐには思いつかないか。なら、それが思いつくまで、近くにいることにしよう。それにお主に多少力を貸すこともできるだろうしな」


 琥珀はそう言って、目を瞑る。すぐに寝息が聞こえてきた。満腹になって眠ってしまったようだ。菜乃花は何とも自由な動物だなと思ったが、九尾なんて強い力を持ったものなら、この程度は普通だろうとも考えた。


 菜乃花は琥珀が寝ている間に、家事を済ませる。それから一息つくため、ソファに座って背を預ける。琥珀は未だに机の上で眠っている。


(あの姿だけを見れば無害そうね)


 眠っている姿は、ただの動物にしか見えないだろう。彼女は琥珀を見つめていると、ピクリと耳を動かして顔を上げた。そして、キョロキョロと辺りを見回している。その姿を彼女は、起きて寝ぼけてここがどこか理解できていないのかと思った。琥珀はあくびをしながら、窓の外を見つめた。


「われを起こしてまで、戦いたいというのか」


 琥珀がそう呟いて、立ち上がる。その瞬間に窓が割れて、部屋の中に突風が吹いた。それも一瞬のことだが、風に煽られて彼女は目を瞑る。そして、薄く目を開けると、そこには近未来的なアーマーを付けた何かがいた。明らかに人型だが、頭にはメットをしていてその顔は見えない。体に纏っているアーマーも隙間はなく、中がどうなっているのかもわからない。ロボットにも見えるそれの正体はわからないが、敵だというのはわかった。敵は頭を動かして、何かを探している様子で、菜乃花の方を見ると、その頭の動きが止まった。次の瞬間、どこから出したのか、金属製の槍を出現させて、それを敵が握ると、その先端に青い光が放出され、それが槍の先端に二枚のひし形の板が交差して刃となった。そして、菜乃花が戦闘の準備もできていない間に、その槍を彼女に向けて突き出した。敵だとわかっていても、体はその状況に反応できない。せいぜい、ソファから腰を浮かせる程度で、その程度では槍の攻撃を回避することは出来ないだろう。


(あ、躱せないっ!)


 自身に延びる槍の速度が、周りの動いている物の速度が遅い。死の直前に周りがゆっくりに感じるという感覚を味わいながら、自らの死を回避できる方法を探す。だが、それは思考の速度が速くなっただけで、体はそれに付いて行かない。もし、体を動かそうとしても、周りと同じ速度でしか動いてくれない。それでも、彼女は自身の超能力を発動する。ヴァンパイアになれば、自己回復の能力もかなり高くなる。さらに、あの槍が心臓を傷つけなければ、生き残る可能性の方が高い。彼女は攻撃を受ける覚悟をしていた。だが、もし攻撃を受けて動けなくなった場合には、どうすることもできないだろう。


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