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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
14 蓮花の不在
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蓮花の不在 3

 菜乃花と竜花を置いて、部室から出てきた。猩花は白希にはついてきてくれるようだ。今の竜花は全く役に立ちそうにないので放置して、彼女の面倒をみてくれるであろう菜乃花も部室に放置する他ない。菜乃花まで連れてきてしまうと、本当に竜花の心がケアできないところまで落ちてしまうかもしれない。心が折れると、体にも影響が出てくる。心が悪い状態だと、最悪体が機能するのを止めるだろう。奴隷の中には既にその状態で救えなかった人たちもいる。彼女がそうならないためにも、誰かが付いていないとダメだ。おそらく、猩花も白希がいなければ、焦って一人で蓮花を探そうとするだろう。彼女だけでも無事に見つけられることが出来ればいいが、子供が一人で出歩いて、最悪なことにならないとも限らない。異世界の町の外のように魔獣が出ることはないだろうが、それでも人を害することを目的で行動している人も少なくはない。それを知らない彼女ではないだろうが、その全てを回避することは出来ないだろう。それは白希でもできないことだ。


(とりあえず、今日も来てよかったと思おう。子供が傷つくのは見たくないからね、ほんと)


 異世界の出来事を思い出すが、それもすぐに頭から消す。今は蓮花を探さなくてはいけない。望みは薄いが、まずはプロイアとファスの能力ちからに頼ることにする。


「プロイア、ファス。近くに蓮花みたいな反応はあるかな」


「……すみません。あの人のことはあまり覚えていなくて」


「ファスは、シラキのことしか知らないわっ」


 やはり、情報が少ない。蓮花と仲良くしていても、彼女のことを探すことは出来ないだろう。仮定の話をしても仕方ない。


 ミストの超能力の一部である未来を視る力を使って未来を視ると、蓮花の姿が映る。頭に浮かぶイメージはブレブレで未来が確定してないのがわかる。現在進行形で、未来が変わろうとしているのだろう。未来はまだ来ていないのだから、確定するはずもない。たった一人の行動で未来は簡単に変わる。少なくとも、蓮花はすぐにあの部室に戻ったり、姉妹に会うというのを迷っているということだろう。それか、それを妨害している何かがあるのかもしれない。その妨害は彼女の心の問題なのかもしれないし、他の要因かもしれない。


(昨日、部室を飛び出した時間は遅い。そこで何かあったすれば、こうなる可能性は高いかな)


 朝野姉妹は明らかに仲が良い。竜花と蓮花は喧嘩をしても、三十分後には喧嘩していたことなど忘れて、会話をしているのだ。それに猩花も菜乃花もいるのだから、戻ってこないというのはおかしな話だ。それに、この前一人で出ていった時も、数時間すれば、部室に戻ってきて、わざわざ彼に謝っていた。その誠実さを考えると、部室に戻ってこないというのは彼女の性格に合わないだろう。少なくとも、迷惑を掛けたくないと思っている人間のすることではない。


(だとしても、何に邪魔されているのか、全く分からないね)


 考えるだけではやはり、すぐに考えに詰まる。これは彼の勘だが、蓮花はこの学校の近くにいると考えている。勘とは言ったが、一応理由はある。その理由も確かな情報ではないが、姉妹のことがあそこまで好きな彼女がこの町の外に逃げるというのはあり得ないからだ。蓮花に限った話ではなく、菜乃花でも竜花でも猩花でも同じ結果になるだろう。絆があるのに、ずっと離れているというのは思った以上にストレスがかかる。今更ながら、この世界に今も一人で、妖精たちもいなければ、こうして彼女たちの力になろうなんて思わなかっただろう。だから、蓮花もそう遠くには行かないはずだ。学校の近くにいればいいが。


「プロイア、ファス。学校の敷地の中で、菜乃花たちと似たような存在はある?」


「……ごめんなさい。過ごした時間が少なすぎて、他人と同じに感じます」


「ファスも無理ねっ」


 妖精からすれば、他人と認識している人間の存在を他人と区別するのは難しいだろう。妖精に限ったことではなく、例えば、ほとんどかかわりのない犬や猫を見て、個別に認識しないのと同様に、妖精たちからすれば、あまり関わりのない人間族を区別するのは難しいのだ。妖精に限った話ではなく、彼も関わりの薄い他種族は区別がつきにくかった。


「校舎の中、人通りの少ないところに猩花と似たような熱を感じる」


 手がかりもないかと思いきや、いきなりフレイズがそう言った。範囲を絞ったためか、彼女も自身が自由に扱える火の魔気を使って、校舎の中を調べてくれたらしい。


「ほんとか、フレイズ! ありがとう、よくやってくれたよ! 案内、頼めるか」


 情報もなく行き詰っていたところだったため、彼女の言葉にオーバーリアクションで喜んでしまった。だが、妖精たちはそれを気にした様子もなく、フレイズは彼を案内するために動き出していた。後者に入る前に自分たちに魔法をかけるのを忘れていたので、音と姿の遮断、幻覚の魔法を使って校舎の中に入った。

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