表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
12 無声の警告
52/200

無声の警告 2

 翌日、授業を終えて、白希と妖精たちは朝野姉妹いる部室棟に来ていた。あの廃墟寸前の建物だ。人に見られると面倒だと考えた彼は教室から出て帰るふりをして途中で幻の魔法をきって、完全に姿も音も外から感じられないようにして部室の方へと移動してきた。そこで魔法を解除して、部室棟の中に入っていく。部室棟の二階の一番奥の扉をノックした。扉が開いて、彼は中に入っていく。




「なんで、あそこに? 最近、朝野姉妹たちと一緒にいたのと関係あるのかな」


 今、彼が入っていった部室棟を遠くから見ている女性がいた。茶色の髪を持っていて、髪の長さは肩のあたりまでで、前髪は目を隠している。髪の隙間から彼女は部室棟の方を見ていた。背が小さく存在感がないせいで、誰も彼女に見向きもしない。彼女はスマホを取り出して、部室棟の写真を撮った。


「こんな廃墟に王子様が何の用なんだろう」


 彼女は建物の影から、その部室棟を見ていた。白希以外には誰もその建物に近づこうともしてない。そんな場所に彼が何の用なのか。だが、その女性はそれ以上は何もせずに、その場から去る。スマホで今取った写真を見る。その写真を閉じて、写真のリストが出てくる。そこに映る写真のほとんどは、白希の写真。だが、その写真はどれも不自然で、カメラ目線だったり、彼女に気が付いているような様子で映っている物は一枚もない。


「ふふ、明日も王子様に会えるかな」


 彼女の不穏な呟きは誰も聞いていない。彼女は嬉しそうな様子で、帰路に着いたのだった。




「なるほど。あの死者を予言する話だね。ボクもたまに見てしまうが、あれは絶対じゃない。ボクはあそこに自分の名前が書かれていることのを見てしまってね。その次の日には死にかける出来事はあったが、死ななかった。つまりは、それは絶対ではないんだ。それにボクだけじゃない。蓮花姉ちゃんや猩花、それ以外の知り合いの名前を見つけたことはあるが、死んでいない」


 白希が朝野姉妹の部屋に入ると、そこには竜花しかいなかった。とりあえず、竜花に昨日怒ったことを話すと、彼女自身もそのリストに名前を連ねたことがあるというのだ。白希は彼女話しを頷きながら聞いていた。妖精たちはその時には眠っていたため、昨日のことは今、初めて聞いたのだろう。フレイズやプロイアが、そんなことがあったなんて、呟いていた。


「思うに、あれは明日死に目に会うから気を付けてという注意喚起なんじゃないかな。ただの予想だが、近いうちに死ぬ人がわかる超能力者がいれば、それだけであの放送を完成することが出来る。なぜ、テレビなんだと思うけどね」


 何度もあの放送を見ているだけあって、既にあれについての予想までしていた。中二病ではあるが、頭の回転は悪くないのだろう。


「ただいま戻りました。あ、今江さん。来てくれたんですね」


 竜花と話している間に入ってきたのは蓮花だ。


「一応、貴方のクラスに顔を出したのですが、既にいなかったので、帰ってしまったのかと思っていました。でも、来てくれて嬉しいです」


 蓮花の言葉を聞いてはいるが、彼女の言葉はどこか軽い。誰にでもそう言って言うような気がするのだ。それに顔に張り付ているのは嘘っぽい笑顔だ。彼女をちゃんと見ようとしない人たちからすれば、彼女は完璧な人なのかもしれないが、彼にとってはその完璧さが嘘くさい作り物を作っているのだと思った。それをわざわざ口に出すことはないが、どうにもいい子の彼女を好きにはなれなかった。それなら、中二病でも好きなことをしているという様子の竜花の方が好感を持つことが出来る。


「竜花、今江さんにお茶も出してないじゃない」


「あ、忘れてた。すまない、今用意するよ」


「あ、じゃないのよ? ほんと、少しはしっかりしてほしいわ」


 竜花は適当に飲み物をコップに注いで、彼女のスペースにあった机の上にそれを置いた。どうぞと言うジェスチャーだけでそれを進めていた。そうしてから、蓮花の方を見て、挑発するように胸を張った。


「竜花、貴女のために言ってるのよ。貴女がしっかりしないと、将来恥をかくのは貴女なんだから」


「毎日毎日、うるさい。わかってるよ。今日はちょっと忘れちゃっただけ! もう、白希兄ちゃんと話すんだから邪魔しないでよっ」


 そう言って、彼女はすぐに口元に手を当てた。それは勢いに乗って、彼を兄ちゃんと呼んでしまったことが恥ずかしかったのだ。素の彼女がからすれば、中二病の状態でも話を聞いてくれる人だ。当然、彼に懐いてしまうだろう。そのせいで素に戻ると、彼を兄と思ってしまっているというボロが出てしまった。蓮花は竜花の

言葉にそれ以上は言い返さなかった。言い返さなかったというよりは、言い返せなかったというべきだろうか。彼女は、自分だけが彼と仲良くなれていないと感じていた。仲良くならないといけないと思っているわけではない。彼女は彼と仲良くなりたいと思っているのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ