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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
11 変わらない無力感
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変わらない無力感 1

 全員が商店街かrあ出てくると、商店街を覆っていた結界のような物を解除して元の通りに戻っていた。空間の仕切りをプロイアもファスも感じていなかったが、それを彼に報告することはできなかった。妖精たちでさえも、いや、妖精たちだからこそ彼がどれだけ落ち込んでいるかを理解できる。異世界で沢山の人を救っていた彼だが、もちろん全部を救うことはできなかった。彼の体は一つだし、それに彼が知らないことはどうしようもない。何度も彼が間に合わずに、奴隷や誘拐された人が殺されたことはある。目の前で殺されるようなことはなかったが、それでも、彼は助けられなかったことをどうしても気にしてしまう。こうしていれば、ああしていればと、ただの家庭の話が頭の中を巡るのだ。今回にしても、もっとクロカミサマについて調べたり、超能力者がいるというのが認識した時点で、調べようはいくらでもあった。彼は自身を怠惰だと思い、過去を振り返る。クロカミサマは助けられたはずの存在だ。


 彼は自分の無力感を感じて、俯いたままだ。誰も声を掛けられないまま、猩花が彼女たちのところに来てしまう。だが、猩花は聡い子だ。理由はわからずとも彼に無邪気にお礼を言える空気出ないことは察することが出来た。彼女が視線で、姉たちにどうしたのかと問うが、誰もが目を合わせてくれない。猩花が回収できなかった熊、猫、犬のぬいぐるみを菜乃花が彼女に渡した。だが、彼女はその時でさえも話す話すことはなく、彼女の手を引いて、その場を去ろうとした。だが、猩花はそれに抵抗する。このままじゃだめだという予感に逆らいたくなかった。理由なんかわからないが、それでもここで彼と別れたままではきっとずっと、お礼も言えず、仲良くもなれない。彼の優しさに触れた猩花は、どうしても彼との縁を切りたくはなかった。彼女はそれがどういう物なのかの理解はない。それでも、どうしてもこのまま彼とは離れたくないという感情だけで、姉の手に抵抗した。


 菜乃花はそれに驚いた。猩花は手を引けば、それに抵抗することなくついてくる子だ。彼女は自分に信頼している。だから、一緒に行く場所には疑いもしてないと思っていた。だから、この時も彼女はついてくると思ったのだ。実際には彼女は抵抗した。あげく、猩花は菜乃花が握ったその手を離して、今江に心配そうな目を向けている。菜乃花はそれ以上、彼女の手を無理やり引くことはなく、その場で止まる。その場の誰も動けない。菜乃花はそう思っていた。


「白希、ボクの、私たちのあの部屋に帰ろう。そうしてから、私たちに協力するか、決めてくほしい」


 蓮花と菜乃花はその言葉の主に驚いていた。猩花は尊敬するような目で見ている。彼に沿う話かけたのは竜花だ。中二病で覆った性格ではなく、彼女自身の心で彼にそう言った。白希は彼女の心が向けられた言葉は耳に入り、彼女の方を向いた。彼はその言葉に抵抗するだけの心の力もなく、頷くこともしない。だが、竜花はそれを肯定の意味に受け取った。その証拠に彼女が歩き出すと、彼もその後ろに付いて行く。竜花に付いて行く彼の手を猩花がそっと握る。手に触れられれば、彼だって気が付く。彼は無意識に反射的に彼女を見てしまった。猩花は彼と視線を合わせて、はかなげに笑う。彼が悲しんでいるのがわかれば、にっこりと笑うことは出来ない。それでも、彼には自分がいることを知ってほしかった。猩花は、手を握ってもらうのが好きだ。それは自分と相手の繋がりを深く感じ取れるからだ。だから、微かではあるかもしれないが、それでも自分と白希に繋がりがあることをわかってほしかった。だから、彼女は手を繋ぐ。彼は彼女の意図はわからなくとも、劇付けようとしているのはわかった。だから、力は無かったが、彼女が繋いでくれた手と反対の手で、彼女の頭を撫でた。彼女は目を瞑り、気持ちよさそうにしている。それには彼も癒される。落ち込んでいた心も多少は回復した。妖精たちも彼のその顔を見て、少しではあるが安心していた。彼女たちも猩花と竜花には感謝している。


 彼らの後を追うように、菜乃花と蓮花が付いて行く。自分たちは何もできないかったという悔いが残る。菜乃花に関しては、自分から誘っておいてどうしようもなくなって、助けられた挙句に、彼が傷つく結果になるのをただただ見ていたことに、無力感を感じていた。あそこで助けに入ることもできなかったのだ。彼の圧倒的な強さを前に動くことが出来なかったというのが真実だ。彼と協力するのは難しい。協力するなら自分たちが彼に並ぶことが出来るほどに強くならないといけないだろう。

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