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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
7 白いオカルト
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白いオカルト 1

 二学期が始まって、二週間ほど。既に学校の中には夏休みの雰囲気は消えていた。ほぼ毎日学校に通い、勉強をして、部活がある人は部活へ、何もない人は商店街に行くような日常に戻っている。


 一学期では授業の全てが終わるとすぐに帰っていたのだが、白希は妖精たちもいるため、二学期からは商店街によって、彼女たちの興味があるものを見たり、買ったりしている。食べ物には四人とも興味があるようで、毎日、少量ではあるが、何か食べ物を買って帰っている。それ以外にも異世界にはない装飾品や、彼女たちが見たこともないデジタルなゲーム機器を見て回っていた。食べ物以外には興味はあるが、欲しいというほどではないようで買ったことはなかった。装飾品もゲームも妖精のサイズではないため、買っても楽しめるかどうかはわからないのだ。


 商店街には、彼だけではなく、他の生徒もいる。高校生だけではなく、中学生や小学生も商店街を歩いている。小学生はランドセルを背負いながら、商店街にあるタイ焼きなどを売っている店で、買い食いをしていた。それに誰も何も言わないのは不思議なように見えるが、ここらでは一般的なことだ。理由は不明だが、この商店街の治安はかなり良い。だからこそ、商店街で遊ぶなら特に親も細かく文句を言ったり、怒ったりしないのだろう。そして、その小学生の中に見たことがある女子を見つけた。そして、彼が彼女に気が付くのと、ほぼ同時にその子も彼に気が付いた。見つけた彼女は中二病の処女と一緒にいた子だ。彼女は彼を一瞥すると、すぐに友人との会話に戻る。彼女の友達は一瞬、彼の方を見ていたことにも気が付いていないようで、ワイワイと楽しそうな声が聞こえてくる。彼も特にその子に干渉しようとは思わないため、その場を離れようと彼は後ろに振り返った。だが、それは間違いだった。彼の背後には、眼帯をした少女がいた。見たことがあるなんてものではない。


「久しぶりだな。ボクと再びまみえるとは。この時を待っていたのだ。この前は、戦闘のなってしまったが、あれはボクの本位ではないのだ。だから、再び会えるならば、話し合いをしようと思っていたのだが、その機会がこんなに早く訪れるとは思わなかった」


 眼帯の少女は演劇をしているかのように自らの設定に入りこんでいる。片手を彼に伸ばして、彼に語り掛けるように喋っている。だが、彼には特に彼女と話すことなどはなく、すぐにその場を立ち去ろうとした。しかし、彼の腕が掴まれた。幻を見せているはずなのに、彼の腕が掴まれたのだ。


「僕には、君と話すことなんてないんだ。離してくれないか」


 彼の言葉は穏やかに聞こえるが、その言葉には怒りも含まれている。しかし、さすが中二病といえばいいのだろうか、彼女はその手を離すつもりはないようで、見た目とは違い、思ったよりも力があり、腕を振るうだけでは彼女は手を離してはくれなかった。


「そう言わないでくれ。少し話したいだけなんだ。本当に少しだけ、君を、君たちを助けたいんだ」


 やはり、と彼は思った、幻覚の魔法も効果はなく、妖精たちも見えている。この町に何が起こっているのか知らないが、妖精たちを認識できる人に立て続けに見つけられることになるとは思わなかった。もしかすると、目の前の少女とこの前の和菓子の少女には何か関係があるのかもしれないと、彼は予想する。もし、彼が二人の名前をフルネームで覚えていれば、関係がないわけがないと理解できただろう。二人はどちらも朝野と言う苗字であり、その顔のパーツには似たところが多々ある、と。だが、彼は他人に興味が無さすぎるため、二人の顔も名前も記憶していないのだ。


「話をするだって? それで、僕を、僕らを誑かすつもりか? そんなことは許さない。誰がなんと言おうと、彼女体に手出しはさせない」


「だ、だから、ボクには――」


「うるさい、そうやって良い人ぶるな。僕はそう言う人が一番嫌いなんだ。何が助けたいだ。放っておいてくれ」


 空気を読まない彼女でも、さすがに彼の様子がおかしいことに気が付いた。何か、自分が悪いことをした。何か彼にとって言ってはいけないことを言った。そう言う自覚が生まれてしまった。だが、彼女の抱く彼らを助けたいという思いも本当のことだ。彼が嫌がろうと、彼らのためになると信じて行動する。それは長女が言っていたことだ。本当に人を助けるなら、嫌われることも覚悟しないといけない。普段は、優しく物腰柔らかな姉が真剣な瞳でそう言ったのだ。彼女は素直な性格でその理由も聞かずに、その言葉を信じ切っていた。

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