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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
6 超能力を持つ少女①
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超能力を持つ少女① 1

「ありがとうございます。助けてくれたんですよね」


「いや、まぁ、そうなるのかな。でも、お礼とは良いから。僕はこの子たちのために戦っただけだし」


 彼の戦う理由はこの世界でも異世界でもたった一つ。好きな人が安心して暮らせるような環境を作りたいということだ。彼は何でもないことのようにそっけなく、そう言って、その場を離れようとしたのだが、彼女は彼の服を掴んだ。


「ちょっと待ってください。お礼は良いと言われましたが、それでは私の気が収まりません。何か、そうですね。甘いものは好きですか? 和菓子の美味しい店を知っているのです。一緒にどうですか。もちろん、支払いは私がしますから」


 彼は甘い物とか、しょっぱい物とか、食べ物には大した興味はない。だが、妖精たちは別だ。彼女たちは異世界でもそうだったが、甘い物は好物なのだ。異世界で初めてクッキーを作った時はフレイズしかいなかったが、空を飛びながら狂気乱舞していたのを思い出す。今思い出しても中々かわいい踊りだった。


「和菓子、ね。いいね」


 彼はそれを自分で食べるためではなく、彼女たちに食べてもらうために買うことにした。支払いをしてくれるというのだから、それは甘えてもいいだろう。異世界でも怒られたことだが、命を救われてお礼もさせてくれないとなると、その人の心残りのなることが多くあるらしい。助けてもらったのに、何も返せなかったと後悔をすることが多いらしい。この世界より、死や抗えない理不尽が人生の近くにある異界ではその傾向がこの世界よりもかなり高いようだ。そのため、彼はそれを教えてもらってからはお礼を受け取るようにしている。過剰なものは受け取れないが、その火の食事や、二日分の食料が帰る程度の金銭などは受け取っていた。だから、和菓子で相手が納得するならそれでいいだろう。彼にしてみても、お礼と言うなら妥当だと思った。


「和菓子、好きなんですか?」


「ああ、まぁ、そうかもね」


 彼自身が好きなわけではないため微妙な返事になってしまったが、彼女はそれを気にしている様子もなかった。


「それじゃ、思い立ったが吉日です。今日の放課後はお暇でしょうか」


「大丈夫。問題ないよ」


「では、後少しですが、放課後に会いましょう。玄関の辺りで舞っていてもらえますか」


 彼は頷くだけで、返事としてそれぞれ別々に後者に戻っていった。


 エイリアンを倒せたかどうかはわからないが、この騒動が外に広がることもなく、終えることが出来ることが出来てよかった。




「お待たせしました。それでは行きましょうっ」


 玄関の靴箱で靴を取り換えて、玄関の扉の端の辺りで舞っていると、すぐに彼女が来た。誰もが好きそうな表情で彼女は駆け寄ってくる。もし、白希でなければ、彼女のことを好きになる人は多くいるだろう。だが、彼にはそれは効果がない。彼女は特にそれを気にしている様子おもなく、彼女は静々と歩きだした。彼はそのあとを追う。周りの生徒たちは彼らのことをみていた。ひそひそと白希たちにギリギリ聞こえるか聞こえないかくらいの音量で話している。


「美少女と美少女のツーショットっ。眼福~」


「神の采配……っ」


「二人で、デート?」


 彼女はその声が聞こえていないのか、特に気にしている様子はない。プロイアとファスはどうしても扱っている魔気の性質上、その音を拾ってしまう。白希トデートとは許せることではない。妖精四人と白希はこの世界で言うと結婚していることと同義の状態であり、妖精たちはお互いに白希と一緒にいることに納得しているし、それぞれの中も良い。しかし、彼女はまだそう言う関係になるのを許してはいないのだ。周りからそんな言葉を聞けば、許せなくなるのも当然だろう。白希もそれには同意しているが、彼らを攻撃してしまえば、本当に妖精たちと一緒に平穏な生活を送ることが出来なくなってしまうだろう。だから、彼はそれを攻撃することもできない。


「そう言えば、実は自己紹介してませんでした。失礼しました」


 彼女はきっちりと頭を下げて、謝罪する。彼は特に気にすることもなく謝罪を受け入れる。どうせ、彼女と関わるのはこれきりだと勘がている彼にとっては彼女の名前がどんなものであっても特にきにすることもないと思っていた。


「私は朝野蓮花(はすは)と申します。朝野姉妹の次女です。どうぞこれからもよろしくお願いします」


 彼女はまるで朝野姉妹を知っているのが当然かのように挨拶する。確かに白希以外の生徒のほとんどは朝野姉妹を知らない人はいない。姉妹そろってそれぞれ違った可愛さや綺麗さを持っている人たちだ。噂好きでもない人でも知っていることだが、彼はそんなこと気にしたこともなかった。それもそのはずで、彼にそういうことを知らせる友人はいないのだ。彼の周りにいる人は朝野姉妹と並ぶ美少女男子である彼のファンである人が多い。そう言う人はわざわざ彼に他に可愛い人がいるなんてことを言うことはないのだ。


「そうか、僕は今江いまえ白希しらき


 彼の自己紹介はそれで終わりだ。彼には彼女とどうぞよろしくという気持ちの一かけらもないのだから、当然のことだった。

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