高校生活 6
「えっ、今のは……?」
その光が何なのかわからない彼女は辺りを見回してしまった。戦闘中だというのに、彼女は相手に隙を与えてしまった。エイリアンは電撃を受けた程度では怯むことはないのが、彼女に銃を向けていた。彼女はそれに気が付くのが確実に遅れた。テレポートするにも間に合わないだろう。さらに、エイリアンはその銃口を彼女の顔に向けていた。光の球が、人の肌に直接当たったときにどうなるかはわからない。彼女は服を挟んで、攻撃を受けたときは痛みはありそうだが、耐えられないというほどではないようだった。だが、それを顔に受けるとなると、話は変わってくるだろう。
妖精たちが彼を見る。異世界ではそういう困っている人や襲われている人を一早く助けてきた彼だ。彼はこの世界に来て、異世界よりは平和だろうと思っていたのだ。表立って奴隷を連れている人がいたり、盗賊や魔獣を警戒しながら出ないと外を歩くこともできないなんてことはないだろうと思っていた。だが、この世界でも脅威は残っていたのだ。彼はこの世界では誰かを助けようとは思っていなかったのだ。異世界だからこそ、彼女たちを助けただけだ。異世界に行く前から、彼は人助けをするような性格でもなかった。自分が避ければそれでよかったのだ。周りが近づいてこなくとも、自分が納得できればそれでよかった。異世界で人助けをしたのも、力があったからだ。
「……そうか。力は、今もあるんだ」
力があるなら、少しくらいなら人助けできるかもしれない。と言うか、既に彼は目の前の女子を見殺しにすることに納得できていない。
「コレで、モモウ、ジャジャジャマ、サレナイぃぃっ」
エイリアンがトリガーを引いた。銃口から光の球が出現する。彼には光の球すらもゆっくりに動いているように見えた。だが、それは彼が速く動いているというわけではない。彼の認識の速度が光速を超えているだけで、体の動きは元のままだ。しかし、その思考の超加速はミストが持つ超能力の副次的な能力だ。ミストが捕らえられていた理由は未来死できる妖精と言われていたからだ。だが、彼女に訊けば、その超能力は未来を視ることが出来るわけではなく、一つの未来を引き寄せる問うのだという。そして、未来を引き寄せるためには、その未来のために行動しなくてはいけない。それを考えるために、思考が超加速するのだ。彼は未だに彼女の超能力をうまく使うことは出来ていないと考えている。だが、未来を引き寄せるために、数々の行動をしている彼は既にその超能力を使いこなしていると言っていいだろう。
超加速する思考の中、頭の中では既にテレポートの使用を始めていた。思考が加速しているため、脳で制御するテレポートと言う超能力は超加速する思考の中でも普段通りに使用される。転移が多少遅くなっている感覚はあるが、それでも光の球が発射される前に彼は、彼女の前に出現した。彼女はそれすらも認識できていない。
「ミスト。アクアウォール」
彼の正面に水の壁が出現する。彼の体を守る程度の大きさの長方形の水の壁だ。ミストは彼と同じく自分の超加速についてきている。魔法の形成は遅かったが、光の球が出現する前には壁は形成されていた。ミストはテレポートをした時点で、彼が魔法で守るように指示するだろうと読んで、その声が終わる前に魔法を使用していた。未来を引き寄せる超能力を持つ者同士の見事な連携。
超加速する思考を閉じると、世界が元の速度に戻っていく。光の球は水の壁にぶつかり、跳ね返る。水の壁は波打っていないため綺麗な反射が起こり、光の球は地面にぶつかりはじけて消えた。彼はそのまま、相手に手の平を向けていた。
「ファス。スキャッターロックショットっ」
岩が出現して、岩が何か砕かれたかのように分散する。小さく砕けた岩はそこでくるくると回転している。それらは、一様に回転をいきなり止める。そして、その岩の破片の全て、エイリアンにむかって全て飛んでいく。エイリアンはそれを見て、体をぐにゃりと変化させて回避しようとしていたが、破片の数が明らかに多く、その程度で回避できる物ではない。エイリアンの体をいくつもの岩が打っていく。相手は少しも声を出さないず、苦しんでいる様子もない。ただただ岩に打たれ続けているようにしか見えない。岩の破片が無くなり、相手の体にぶつかるものも無い。相手の体が地面に落ちて、動かなくなる。エイリアンが死んだのかどうかはわからない。彼らが警戒し続けていると、相手の体が痙攣し始めた。関節がないかのように足や腕がぐにゃぶにゃと暴れている。次に何か起こるのかと思ったが、痙攣が止まるとエイリアンの体は光の粒子になって消えた。それでどうやら倒したらしいと判断した。




