高校生活 3
「どうかしましたか?」
目の前の女子生徒は彼の様子が変なことに気が付いて、彼の体の調子がどこか悪いのかと心配していた。しかし、それは見当違いである。
「もしもし? 何か言ってほしいのですが」
彼は彼女のことを放置して席を立つ。妖精たちも彼のすることに文句はないどころか、自分の好きな人が他の女性と仲良く話しているのは不愉快だった。それも胡散臭い人であれば当然、彼をその人から離すのは当然のことだろう。
話しかけてきた女子は、彼の幻影に話しかけ付着けている。だが、彼が全く反応しないことを確認すると、彼女はその場所から去っていった。彼女が去るころには既に、白希たちは教室にいた。食堂にいた彼の幻影は誰の意識にも残らず、いつの間にか消えていた。
(さすがにフレンドリーすぎたのかしら。だけど、無視することないわよね。私も失礼だったかもしれないけど、少しの反応もしてくれないなんて)
白希に話しかけていた女子生徒は五時間目の授業で昼休みのことを考えていた。彼を目的に食堂に行ったわけではない。学園内にある二か所の食堂を気分で変えている彼女は脅威った場所に偶然、彼が板と言うだけだ。そして、自分以外に宇宙人と戦える人はほとんど知らない。そもそも超能力を持っている人自体が少ない。少なくとも表では手品とかトリックとか言われている物ばかりだ。あたかも科学で照明しているように見えて、その中には本物が混じっている。彼は見世物になるような超能力の使い方をしているわけではないようだが、それでも超能力を持っているという時点で、仲間意識がどうしても出てくる。仲間だと考えれば、フレンドリーにもなってしまうだろう。だが、よく考えれば、いや、よく考えずとも、よく知らない人にいきなり仲良しのように振舞われては警戒して当然だろう。超能力者でなくとも、警戒するに決まっている。
(やっぱり、失礼だったのは私ね。また会えるなら、ちゃんと謝らないといけないわ)
彼女は頭ではそんなことを考えているが、授業はしっかり聞いている。板書もしている。それが頭に入っているかは怪しいが、今のところテストで失敗したことはなかった。そして、彼女の周りには人が集まりやすい。美少女の容姿でありながら、それを鼻にかけないフレンドリーさと親切心。誰もが好く笑顔。そして、彼女は自分の容姿を理解していて、そうしている。周りに敵を作らないこと。味方を多く作ること。そして、多少の失敗を許してもらうこと。遅刻や早退が多い彼女は、どうしてもそれをフォローしてくれるような環境が必要なのだ。宇宙人がいつ現れるかは彼女にはわからない。基本は夜にしか出てこないが、ごくまれに昼でも出てくる。宇宙人に対処できるのはもちろん、彼女だけではないが、どうしても彼女の力が必要な時があるのだ。
「朝野さん。家族の方が呼んでいます。すみませんが、こちらに来ていただいてもよろしいでしょうか」
教室の扉が開き、男性教諭が彼女を呼んでいた。クラスメートからすれば、彼女が家族に呼ばれるのは日常茶飯事だ。だが、クラスメートたちは大変だねとか、頑張ってねなんて言っている。彼女はそれにありがとうと笑顔で返す。そして、鞄に荷物を詰めて、彼女は教室を出た。
「シラキ。あれ、昨日のに似てる。エーリアン?」
窓の外を見ていたフレイズが、グラウンドを見てそういった。グラウンドでは体育の授業を外でやっている。今はサッカーをしているのだが、そこにエイリアンを見つけることはできなかった。
「どこどこ?」
ファスが彼の頭の上から声を上げた。今は眠っていないが、白希の頭の上にいるのは変わらない。白希にもファスにもエイリアンを見つけることが出来なかった。
「あの緑のあみあみの影のところ、青い小屋の近く」
校庭の近くにある外の運動で使われるものが入っている用具小屋だ。そこに視線を持っていく。確かに何かが見える。だが、確かにグレイ型に見えるが、人間にも見えなくはない。この前戦ったグレイ型よりかなり人間に近い。と言うか、グレイ型のエイリアンに似てる人間と言った方が正しいだろう。背丈は小さく、小太りで多少頭が大きく見える。
「っ! みんな、あそこに行こう!」
彼は窓を開けて、席を立つ。もちろん、それは誰にも見えていない。窓を開ける音も遮断する。他の人からは窓が開いたようにすら見えていないだろう。彼は外に出ると窓を閉める。それで完全に彼が外に出たことはわからない。窓の外は人一人分の幅のベランダになっている。授業中以外であれば、そこに出ることは許されている。ベランダの手すりに足を掛けて、彼は地面目掛けて飛び降りた。




