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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
40 望みの結果
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望みの結果 4

 白希はついに、ほとんどの猿を消滅させた。彼が認識している猿の数は残り五匹。しかし、彼はそれ以上に猿が増えることも想定していた。相手の猿の上限がわからない以上は、最後はただの根競べになるだろう。猿の召喚に上限がないとは思えないのだ。相手の超能力の影響であるならば、少なくとも体力は消耗しているだろう。


 残りの五匹の猿は、最初に見た個体とは別のものかもしれないが、ロングソードを持った猿に、バトルアックスをもった猿もいた。あとは、スリンガーを持った猿に槍をもった猿に、大盾を持った猿がいる。白希にとって盾は大きくとも小さくともあまり意味をなさない武具の一つだろう。魔法に対して、盾を広げたところで効果は見込めない。特に風の魔法は簡単に盾をよけて攻撃を当てる軌道をとれるため意味をなさないことがほとんどだ。そして、彼の思考通りに風の魔法が盾の猿を消滅させた。残り四体。




 夕来とミストはメリーさんといまだに決着がつかない戦いをしていた。相手のナイフも彼女には当たらないし、彼女の攻撃もメリーさんには当たらない。林の中の木々に傷をつけているだけだった。


「いい加減、終わりにしたいわね」


 とはいっても、メリーさんには四本のナイフと背後へのテレポートしかなく、夕来を確実に一撃で葬るための攻撃はなかった。そして、一番最初に戦った時に後ろへのテレポートは対策されてしまった。メリーさんはそれを理解していた。そもそも、最初から彼女に勝つことはできないのだ。それでも、彼女をここに縛りつけて置けるだけで、相手の戦力を一人削ることができるのだから、メリーさんにとっては戦う意味はある。だが、戦っている内に相手をどうにかして倒したいという欲もわいてきてしまった。自身を理解してくれるからこそ、最後の結論が合わないことが気に食わない。おそらく、彼女は生きて目的を達成するという今の考えがなければ、彼女を倒したいとは思わなかっただろう。


 相手は夕来に向けて、ナイフを向ける。彼女は回避しているが、最後の四本目がナイフに隠れて見えていなかった。しかし、その手もこれまで何度も見ているため、見えなくともあるかもしれないと考えることで簡単に対処できていた。彼女は包帯を使いナイフの刃を受けて、勢いを他の方向へと流す。相手のポルターガイストもずっと発動しているわけではなく、ナイフを直線的に飛ばしているのはポルターガイストで投げているからだった。つまりは、飛んでいる最中はその影響下になく、物理法則を超えているわけではない。メリーさんのポルターガイストはその効果の範囲があるということも分かっていた。


 メリーさんとの長時間に渡る戦闘で、彼女は相手の攻撃や能力の効果を理解していた。見ていない能力があるかもしれないとは思うが、メリーさんという噂自体で語られる超能力は全て出ているはずだ。だとすれば、相手に接近して攻撃することもできるだろうと彼女は考えて、相手の少しずつ接近していた。


 メリーさんは捨てられた人形に恨みの怨念が入ったオカルトだ。つまりは悪霊と似たようなものだろう。彼女はそう認識して、とりあえず聖水をかけることにした。しかし、ペットボトルの中に液体をかけるというのは難しいだろう。放射状に飛ぶようにペットボトルを振るったとしてもその範囲に敵がおとなしく待っているとは思えない。彼女はポケットに入っているペットボトルを取り出して、その際に手に触れるものがあった。それは包帯だった。


(これに聖水をしみこませれば)


 彼女はメリーさんの攻撃をよけながら、ペットボトルの中に包帯を突っ込んでいた。包帯をある程度の長さペットボトルの中に入れると、彼女は残りのペットボトルに浸していない部分をカッターナイフで切った。残りの包帯を再びポケットの中に戻して、ペットボトルから包帯を引き抜いた。当たり前だが、包帯から大量に水が滴り、彼女のスカートや服に雫の後をつけていた。戦闘中にそんなことを気にする余裕はなく、彼女はペットボトルを再びポケットに入れた。


 相手も夕来が包帯を持っているのは見えたが、それで何をするのかまでは理解できない。飛ばしたナイフの軌道を変えて、防御に使っているのは見えたが、それ以外にどう使うのかは予想できていなかった。しかし、包帯を持っている以上、遠距離から

ナイフを投げることには意味がないことを悟り、彼女は夕来のスマートフォンを鳴らした。


 夕来の後ろにメリーさんがテレポートしてくる。彼女はその瞬間に振り返った。メリーさんがナイフを突き出して、彼女に突き刺そうとしていた。夕来は包帯を伸ばして、相手のナイフに合わせて後ろに下がり、その手に包帯を巻く。ナイフ事包帯を巻き付けて、相手をその場に拘束した。

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