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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
40 望みの結果
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望みの結果 2

 メリーさんと夕来は一瞬だけ相手の出方を伺い、どちらも動かなかったが、それも一瞬の話で、次の瞬間には二人は同時に動き出す。メリーさんは自身の体に括り付けていたナイフを外して、体の近くに浮遊させた。夕来はそれを見ても特に驚くこともなかった。


「ミスト、防御をお願いしてもいい?」


「任せて。ユキには傷一つつけさせないから」


 ミストはポケットに入りながらそう答えた。そうして夕来の周りに自身の操る水の魔気を散布する。ミスト以外には誰も感じることができないほど薄い魔気だが、その魔気の中に少しでも攻撃が入れば、それを即座に彼女の魔法で防ぐことができるというわけだ。


 先に攻撃を仕掛けたのは、メリーさんだ。彼女は自身の近くに浮遊させていたナイフを彼女の方へと仕掛ける。ナイフは真っすぐ彼女の方へと飛んでいき、彼女は単純に回避した。夕来はすぐに相手が後ろに移動してくると思って、すぐに攻撃しなかったが、彼女の読みは外れ、メリーさんは後ろに来なかった。そもそも相手が後ろにテレポートする前には必ず、スマートフォンが着信するのだ。着信がないという時点で、相手が後ろにテレポートしてくる可能性はほとんどゼロといっていいだろう。しかし、相手が近づいてこないということは、反撃するのが難しい。彼女は魔法を使わなければ、遠距離から攻撃する手段を持っていない。ミストには防御に徹してもらうために魔法をむやみに使うことはできない。彼女はあくまで相手の攻撃に対してのカウンターを狙っていた。相手の攻撃からの身を守るのはミストに任せて、ダメージなしでカウンターで攻撃をぶつける。魔法でも一撃で仕留められないことは、前に戦った時にわかっていた。彼女はまだ魔法を覚えたばかりで、使いこなしているわけではない。水の槍の威力を上げたり下げたりする程度にしか使えないのだ。それ以外も彼女であれば使いこなせるかもしれないが、メリーさんとの戦いで練習もなしに使うのは怖すぎる。魔法を使いこなせるのはミストだけで、相手からの攻撃を確実に

防ぐことができるのが、ミストの魔法だけ。ならば、役割を完全に分担した方が戦いやすいだろうと考えたのだ。


 現実は彼女の意図の通りにはならず、相手は三本のナイフを自在に操って、攻撃してくるだけだ。彼女はそれを難なく回避し続けていた。相手の単調な攻撃に本気で戦う気がないのかと疑ったが、相手がそういうことをするタイプだとは思えない。その攻撃にも何かしら意味があって、そうしているのだろうと感じていた。それは彼女が相手の理解者であるからだろう。だが、相手の細かい狙いまでは理解できない。何を待っているのか、彼女は相手の攻撃を回避し続けて、反撃することはしなかった。わざわざ、様々な点で敵わない相手に近づいて、自分たちを危険な場所に飛び込むなんて無謀なことはしない。今は回避し続けるしかないのだ。




 白希はピエロのような恰好をした猿と戦い続けていた。彼は魔法で応戦しているのだが、猿にはあまり効果が内容だった。服にすらほとんどダメージを与えられていないところを見ると、魔法は意味がないのだと理解する。そもそも、ただの勘違いかもしれないが、彼自身が体が動かしにくいと感じていた。いつもとあまり変わらない動きができてはいるが、そのために使う筋力が多いとでもいうのだろうか。おそらく、それが相手の超能力なのかもしれない。超能力者の中には、空間自体が相手の有利になるようにするようなものもあるらしい。フレイズの崩壊も使い方次第では、相手の用意した全てを崩すことすらできる。だが、そういった超能力の効果も制限を受けているようで、テレポートを何度か使用したが、目的の位置に移動することができなかった。目的の位置から半分くらいの場所に出現して、猿の攻撃に当たるところだったのだ。


(僕らの力が減衰させられてるってことかな。それでも、これだけの超能力を使えるってことは制限にも限界があるってことだよね)


 彼はある程度の自身の状況を理解した。しかし、相手の超能力の詳細もまるで分らないため、それに関してはもっと情報がいるだろう。だが、制限されているというだけで、使えないというわけでないことがわかれば、やりようはあるのだ。


「ファス、プロイア。トラストバレット!」


 彼が魔法名を唱えると、ファスが土のつららのようなものを作り出して、その土の塊の周りに風が吹く。ファスが回転させる力に加えて、風の力でさらにつららは回転数を増やしていく。そして、それが大小の差はあれど、大量の出現した。それから、それらは猿めがけて飛んでいく。

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