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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
39 それぞれの決闘
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それぞれの決闘 4

フレイズのおかげで猩花は八尺様の攻撃を受けることはなかった。それどころか、相手にダメージを与えることができたようだった。八尺様はカウンターを食らったせいか、猩花たちから距離をとる。だが、小太郎の脇を抜けて彼女に近づいたため、八朔様の後ろには、小太郎が待ち受けていた。


 小太郎は、既に相手をそれ以上後ろに進ませないように待ち構えている。八尺様はそれ以上後ろには下がれなかった。相手は何とか追い詰められているその状態を何とか打開しようと、猩花の方へと向き直った。大きい小太郎を相手にするよりは彼女の方が倒しやすいと思ったのだろう。だが、先ほどの炎の壁がある以上は簡単に抜けられるわけがなかった。しかし、八尺様はあくまでオカルトだ。オカルトは試行して動いているわけではなく、人の語る噂に沿って動くのだ。そして、その存在には試行する能力はほとんどない。ほとんどのオカルトが学習することもない。だからこそ、日の壁が自身の施行を妨げるように使われるとは考えていなかった。


 相手は猩花に向かって走り出す。猩花は攻撃が来ると思って、小太郎と呼び戻そうとした。しかし、それよりも八尺様の方が早い。だが、それよりも八尺様の速度よりもフレイズの判断の方が早かった。猩花の前に先ほどの火の壁を作り出した。八尺様はそれに突っ込んでいく。ダメージを気にしていないかのように走り抜け、猩花に攻撃しようとしている。しかし、その攻撃が彼女に届くことはなかった。小太郎が相手を殴り飛ばしたからだ。相手は壁に叩きつけられて、怯んでいた。


「小太郎! あれ、燃えてない?」


 小太郎は平然の火の壁の中に突っ込んだため、猩花は小太郎が燃えてしまうと思っていたのだが、彼の体には火はついていない。それどころか、相手に追撃するためにもう一度壁に叩きつけられた相手に向かって再び拳を叩きつけた。猩花は一瞬だけ見えた腹部のあたりがジグザクに光っているのが見えた。それは夕来が彼を直した糸だ。夕来と共にいたミストが彼女の糸に水の魔気を混ぜたのかもしれない。


 小太郎は壁に追い詰めた八尺様を殴り続けていた。もはや、相手はそこから逃げられる状況ではなく、猩花もそれを止めることはなかった。


 やがて、小太郎は殴るのをやめた。八尺様の姿はそこにはなく、黒い塵が残るのみだった。


「疲れたけど、勝てました!」


 フレイズと小太郎とハイタッチをして、猩花は笑っていた。




 蓮花は商店街で口裂け女と対峙していた。相手はナイフを振るうが、そのナイフの攻撃範囲は見た目以上に広い。蓮花の服には切れ込みが入っていて、その服には少量ではあるが血がにじんでいた。攻撃範囲が正確には読めないため、回避し続けるのは難しい。それでも、彼女にはテレポートがあるため、何とか攻撃も回避している回数の方が多い。テレポートがあっても攻撃を回避しきれないのは、相手がテレポート直後を狙ってくることがあるからだ。彼女だけではなく、白希も同じだが、テレポートはかなり便利な超能力だが、使用者自信をテレポートしたときには、使用直後はどうしても周りの状況を認識しきれいていないため、隙が生まれてしまう。そこで攻撃されると、どうしても回避が間に合わず、攻撃を受けてしまうのだ。それでも、致命傷を受けていないというのは、彼女はその隙を理解していて、攻撃される方向をテレポートする前に考えているからであった。


「いい加減、飽きてきませんか。この戦いに意味があるとは思えませんが、それに綺麗だと言ったのは嘘ではありませんよ。白い肌も黒い瞳も十分きれいではないですか」


 彼女は口裂け女を撃退せずに、何とかしようとしていた。それは白希がクロカミサマにしようとしていたことと同じで、この口裂け女というオカルトは、相手と会話して、正しい選択をしなければ襲うという存在である。つまりは、話をするだけの余地はあるということだと彼女は考えていた。蓮花は、口裂け女に対してある程度の知性があると考えていた。それは人の子供と同等かもしれないが、子供でも話し続ければ、理解する。つまりは、このオカルトとも話し合いがしたいと考えている。


 猩花の時と同じだが、口裂け女はあくまで人の語る噂話をなぞっているに過ぎない。口裂け女が会話を理解しているようなそぶりを見せるのは、そういう噂があるからだ。しかし、長い間、噂が残っていると、オカルト自身に自我が生まれることが多くある。メリーさんはまさしく、その影響を受けているため、会話ができる。口裂け女にはまだ自我はなかった。つまりは、彼女の考えている話し合いで解決というのは無理な話だった。

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