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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
39 それぞれの決闘
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それぞれの決闘 3

 猩花は八尺様から逃げ回っていた。彼女は商店街の近くの道を行ったり、来たりしながら、八尺様の手足から繰り出される攻撃を回避していた。彼女に当たりそうな攻撃は全て小太郎が守っていた。逃げ回っているとはいえ、小太郎のパンチや火の魔法を交えて攻撃しているため、八尺様が圧倒的優位と言うわけでもなかった。しかし、彼女の攻撃で八尺様が退くわけもなかった。だからこそ、彼女は逃げ回りながらちまちまと攻撃を繰り返していた。


 小学生の彼女の体力は他の姉妹に比べて、少ない。小太郎を超能力で大きくしとているいうことは、彼女は体を動かすことに加えて、超能力を使用するための体力も消費していることになる。このままちまちまと攻撃していても、彼女の体力がなくなるのは間違いない。彼女は小太郎には彼女を守るように行動させていた。小太郎が本気を出して攻撃しているわけではないのだ。


 そして、彼女がに逃げつつ攻撃していると、そこに小さな赤い妖精が飛んできた。猩花はすぐに、その妖精がフレイズだとわかり、彼女を揃えた両手の上に乗せた。フレイズ以外の人は見えず、彼女の近くには必ず近くにいるはずの白希の姿は見えなかった。猩花の姉たちも近くにいるわけではないらしい。猩花も白希が近くにいないことには今気が付いたようで、彼女も周りを見渡していた。


「みんあ、どこ行ったんだろう。シラキはついてきてくれてたはずなのに」


 二人は暢気に会話を始めようとしていたが、八尺様はすぐそこにいて、彼女たちの会話が終わるのを待ってくれるはずがなかった。小太郎が相手にパンチしたり、体を抑えたりしながら、二人のことを守っている。猩花は小太郎が戦っていることをすぐに思い出して、彼女との会話を中断した。フレイズは彼女が今戦っている相手について情報を聞いて、彼女も猩花と共に戦くことにした。そもそも、そのために彼女は猩花の元に来たのだ。彼女が魔法を使っていることを感じて、彼女が戦っているとわかった。それがわかれば、加勢するのが当然だと、フレイズは考えていた。いや、考えてそうしたわけではなく、彼女がピンチかもしれないと思うと、体が動いていたのだ。だから、白希を置いて、彼女の下に急いだ。その結果、はぐれるとは思わなかったが、白希を探すよりも猩花に加勢する方が優先するべきだと彼女は思っていた。白希なら自分でどうにかできるかもしれないが、猩花は白希よりも弱いことは確かで、彼女に加勢るるのを優先するは当然で、白希だってそう言うだろう。


 フレイズが着たことで、猩花も元気が出てきていた。フレイズが助けに来てくれたことが嬉しい。


「フレイズ、れっどどらごんぶれす!」


 フレイズが近くにいるということは、魔法をほぼ際限なく使うことが出来るということでもある。一人で使う時よりも威力も強くなる。彼女の前に出現した火球は最初に八尺様に放ったものの二倍ほどの大きさだ。それでも、掌よりは大きくない。その火球から火炎が放射された。八尺様はその攻撃を避けることなく、全身でh所の尾を受けた。八尺様がオカルトでなければ、衣服は燃えて、体も灰になるような温度の火だ。


 火が消えると、八尺様はそこに立っていた。動きを止めて、彼女を、見つめている。


「ぽぽぽぽ、ぽぽぽぽ、ぽぽぽぽ!」


 ぽ、と言う言葉に聞こえる音を発して、八尺様は急に動き出した。地面を蹴り、ジャンプして、猩花を空から攻撃するかのように飛び掛かった。しかし、敵は彼女に飛び掛かることは出来ずに、小太郎に空中で殴り飛ばされた。相手は空中でくるりと三度ほど縦に回転して、地面に葦を付けて、立ち上がる。今度は地面を蹴って走り出る。小太郎は未だに相手を殴った腕を戻しているところで、次の動きには入ることが出来ない。その隙を突いて、小太郎との脇を抜けて、猩花に急接近した。その勢いのまま、彼女の横から蹴りを入れようと素早く足が出る。ダッシュの勢いも加わりその蹴りに当たれば、猩花は大怪我をするだろう。だが、その蹴りは彼女には当たらない。相手が蹴ったのは彼女の近くに出現した炎の壁だった。


「うっ!」


 猩花は蹴りに当たってはいないが、蹴りを受けたと思い、そんな声を出していたが、彼女に攻撃が当たらないようにしたのは、フレイズだ。彼女が炎の壁を作り出して、相手の攻撃を防いだ。一般的には火の魔法を利用して壁を作り出すということはまずない。それは土の魔法の方が確実に守ることが出来るというのもあるが、土以外の魔法で壁を作っても、物理攻撃を防ぐのは難しい。物理攻撃を防ぐためには、魔気の密度を上げなければいけない。それは効率がかなり悪く、土を司る妖精以外が使う魔法だった。だが、その魔法も効率が悪いというだけではない。火の壁である以上、その性質は火だ。近くにいるだけで熱を感じ、触れれば火傷を負う。八尺様は火傷はしていないようだったが、相手にダメージを与えているのは間違いなかった。

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