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征服者 3

 菜乃花の戦いを見ながら、猩花は一般人を森の外に逃がしていた。猩花はまだ、あのロボットには気が付かれていない。敵の中では逃げ惑う一般人にしか見えていないだろう。しかし、彼女も姉たちの力になりたい灯っているのは間違いない。一般人の誘導もそこそこに、後をにゃむとハチに任せて、彼女は小太郎と共にロボットと戦おうと、皆が戦っている場所に向かった。




「竜花と協力すれば、少しは戦えますかね」


 彼女は少し離れたとことにいる竜花の方を見て、そう呟いた。彼女の中ではその作戦が成功するかはわからなかった。何せ、相手は未知の相手だ。しかし、竜花の操る影の持つ特性は相手が影を持っていれば、影を利用して実態に干渉することが出来るのだ。しかし、円盤を影の中に引き込もうとしていた時に、彼女の影があっさり弾かれてもいた。彼女はループしそうな思考を止めて、竜花の元へとテレポートした。竜花の横に唐突に蓮花は出現した。


「姉ちゃん。いつもみたいに何か策はないの?」


 竜花も相手の強大さを理解しているため、いつもの中二病の様子は一切なかった。それに竜花は諦めるつもりはなくても、彼女の中には敵に敵う攻撃も策も思いついていない。影は既に破られている。自身の超能力が無ければ、彼女はただの女子中学生だ。


「勝てるかわからないけど、やってみたいことはあります。乗りますか?」


 蓮花は竜花の好きな漫画のシーンを真似るように手を差し出した。竜花もそれを理解して、ハイタッチするかのように、彼女の手を叩いた。


「乗らないなんて、ありえないね!」


竜花は、この状況を破ることが出来るかもしれない策があるということよりも、蓮花が自分の好きなシーンを再現してくれたことが嬉しくて、元気が湧き出ていた。


「たった一回。そう、たった一回だ。ボクの超能力が破られただけ。それに、次が駄目でも、その次がある。ボクには、姉ちゃんたちも妹も、兄ちゃんだっている。落ち込んでる場合じゃない」


 竜花は深呼吸を一つして、気持ちを入れ替える。蓮花も彼女が元気を取り戻していることに安堵していた。


「それで、ボクは何をしたらいいのかな」


「簡単な作業ですよ。影を延ばし続けてください。私がそれをあれの体の表面にテレポートさせます。そして、どうにか影で覆った部分を回収してください」


 それは一度破られている技だ。竜花の影で物を取り込む力を相手は一度破っている。しかし、今度は心強い姉も一緒のサポートもある。


「大丈夫……。ボクはやれる」


 彼女は自身のそう言い聞かせるように、呟いた。それで本当に大丈夫と言うわけではなかったが、それでもやらなければいけないことだ。彼女は覚悟を決めた。


「やるよ。蓮花姉ちゃん」


 竜花は自身の影を広げるように超能力を使用する。蓮花がその影に触れて、テレポートを使用した。その瞬間に、竜花の元の影以外の黒い影がその場から消失する。移動先は敵の体の表面だった。


「一回じゃ、全然足りない。もっと、もっと影を……」


 竜花は再び影を広げる。広がった影を再び、蓮花がテレポートで相手の体の表面に飛ばした。彼女が今飛ばしているのは背中だ。敵の視界に入らないところに影を広げていく。気が付いたときには、相手の体の一部をごっそり影の中に取り込もうという算段だ。しかし、それはすぐにできるわけではない。何度も影を延ばして、何度も影をテレポートさせなければいけないのだ。


 白希が地面に倒れていた菜乃花の元にテレポートで移動していた。


「大丈夫? まだ戦えるか?」


「大丈夫です。まだまだ、戦えます」


 菜乃花は血を僕にしながら、再び空へと上がる。彼は菜乃花の隣に再びテレポートして、彼女の肩に触れた。その瞬間、彼女の体の傷が全て癒えた。プロイアの超能力を彼女に使用したのだ。


「死ななければ、回復できるから。無茶と無理は禁物だよ」


 彼の言葉に菜乃花は微笑んで頷いた。先ほどよりも元気に勢いよく空に上がる。


「黙ってやられたままなんて、ヴァンパイアのやることじゃありませんね」


 彼女は自身の正面に血を集める。敵も菜乃花が再び空に上がったことに気が付いた。彼女の正面にある血液は球形になる。その直径は、彼女の慎重の二倍ほどだろうか。


「私に泥を付けたお返しです」


 外にあった血液のほぼ全て、血の球に込めていた。血は形を変えて、剣となる。刀身は彼女の四倍ほど。その血の剣が相手に向かって振り下ろされた。相手はそれを手で押さえようと、左手で剣を掴んだ。しかし、血の刃は握り潰すことなどできるはずがない。固形に見えるが、液体を操作して、そうなっているだけだ。液体を掴むことは出来ず、剣身をへし折ることは出来ずに、相手に剣に加わる力がそのまま相手にも伝わるのだ。

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