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決定的に何かが違う世界でも  作者: リクルート
33 森の中の人の檻
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森の中の人の檻 5

 竜花が集中している間、蓮花は大人しくしていた。しかし、彼女が目立つ行動をせずとも、列の流れと違う動きをしてしまっている時点で、彼女たちは流れの中では目立つ方になってしまう。それに、灰色のエイリアンを殺してしまったことでより警戒させていた。そして、ついに蓮花の方へと視線を向けたエイリアンがいた。蓮花はそのエイリアンがこちらに来ていることに気が付いた。この近くで戦うよりも、少しでも彼女から離れた方が良いだろうと考えて、彼女は近づいてくる灰色のエイリアンの後ろにテレポートして、エイリアンの半身を床に埋めた。彼女はその知覚の床に触れて、テレポートを使用する。彼女の掌が隠れる程度の大きさの正方形で床が繰りぬかれた。そして、それのテレポート先は灰色のエイリアンの頭の中だ。彼女が切り出した床がエイリアンの頭からはみ出していた。エイリアンは半身を地面に埋めたまま絶命していた。


 彼女がエイリアンと戦闘したせいで、彼女にかかっていた影が薄くなる効果は消滅していた。近くにいた三人のエイリアンが彼女に近づいていく。先ほどとは違い、その手には銃のような物を構えている。銃の先端には小さな球体が付いていた。その先端が彼女に向けられている。幸いなことに、エイリアンは彼女の正面にしかエイリアンがいないことだろう。一人のエイリアンが何かぶつぶつと言っているようだが、何を言っているまでは聞き取ることが出来なかった。もしかすると、地球のどこかの地域の言葉で話しているわけではないのかもしれない。


 蓮花はすぐには動けなかった。相手が銃を撃てばそれを簡単に回避することが出来ない。彼女の後ろには竜花がいる。それだけではなく、他の人も沢山いるのだ。彼女は相手の攻撃を回避するわけにはいかない。少なくとも、竜花がやろうとしていることが完了しないことには、簡単に移動することが出来ないのだ。


 しかし、思考し続けて動けないままというのは、状況が停滞していて、その間に相手の行動が完了してしまうかもしれない。時には感覚で動くべきだとと言うことを官女は竜花を見ていて思っていたことだ。


(竜花から借りただけだけど、漫画も面白かったですし。竜花も真似となると、結構恥ずかしいですね)


 彼女は手に持ったカッターの先端を相手に向けた。エイリアンたちは銃のトリガーに手を掛けていた。すぐにでも射撃できる態勢になっている。


「少し、悪戯が過ぎましたね。この私たちの守る町に手を出したことを後悔させてあげましょう!」


 彼女が相手に向けたカッターを単純に強く下に振り下ろした。ただそれだけの動作だが、その瞬間にエイリアンの中の一体の体が切り刻まれた。エイリアンはどこからそんな攻撃が飛んできたのか、全く理解できていない。しかし、攻撃した本体がどこに居るのかは視界に映っているのだ。攻撃の理屈は胴でもよく、エイリアンは蓮花を狙って、銃を放った。光る実体のない弾丸が彼女へと飛んでいく。短い熱光線とでもいうべきそれが、彼女に直撃したように見えるその瞬間に、彼女はトンカチを真上に振り上げる。その衝撃が熱光線を消滅させた。それも敵が理解できる物ではなかった。振り上げたトンカチを振り下ろすことで、エイリアンの一体を潰した。残ったエイリアンが銃を連射して、熱光線がいくつも彼女に向かって飛んでいく。しかし、そのどれもが彼女に当たることはなかった。斬撃や衝撃を増やすテレポートの使い方で、熱光線のエネルギーを何分割にもして、その熱光線を消滅させているのだ。何もトンカチで跳ね返しているわけではない。


「この町の住人は返してもらいます。貴方は地へと還りなさい!」


 彼女はしゃべりながら、ポケットの中に入れていたカッターの替えの刃を辺りに放る。放ったそれは全て、彼女の届く範囲にある。彼女は全ての刃に触れていき、テレポートさせる、その先はもちろん最後に残っているエイリアンだ。彼女の周りにあった刃は全て、エイリアンに突き刺さっていた。防御不可の大量の刃。理論も思考もせず、単純に感覚だけで、テレポートを使用した結果の攻撃だ。


「無限刃縛陣。認識できない攻撃の中で死になさい」


 彼女は竜花のように恰好つけて、カッターとトンカチを振るう。エイリアンはその場に倒れた。あっと言う間に三体の敵を片付けることが出来た。一般人にも、もちろん竜花にも傷をつけることなく、敵を倒していた。


 この大講堂に続く廊下から、タコ型のエイリアンが来ているのが見えた。彼女はエイリアンに突き刺したカッターの刃を全てテレポートで回収していた。だが、タコ型が大講堂に着く前に竜花が超能力を使用した。

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