序
シリーズ設定、思ってたのと違った。
そっか、こんな風になるのか。
そのまま、書いても良かったじゃないかΣ( ̄□ ̄;)
(題名を考える手間が増えちった。。。くすん)
シリーズ最初の話は『月と星と雪』です。
「さて、どうやって忍び込むか……」
しんと静まりかった、春の終わりの真夜中。暗闇の中で、三つの影が蠢く。
春の花の甘い香りが、夜風に紛れて、ふわりと舞う。
「ここの主は今晩、藤見の宴へ呼ばれて、ここにはおりませぬ」
ほほほと、声の主は笑う。
「しかし、主がいないとしても、僕どもがおるではないか」
「いいえ! 僕など、主の命なくば、ただの木偶の坊ですわ。……忍び込むには、主のいない、今のうちしかございません」
影のひとつである姮娥は、美しい天女の姿をしているが、その実はガマガエルである。
顔をしかめながら、喉をグルグルと鳴らした。
「確かに、今しかないでしょうね……」
玉兎が長い耳を揺らしながら、困ったように答える。
「そもそも、我らが宝玉を盗んだのは、ここの主。我らはそれを取り戻すだけじゃからな……」
鼻をヒクヒクさせながら、鉄鼠も、二人の意見に同意する。
「ならば、今日、ここへ忍び込むと言うことで、異論はございませんね……?」
姮娥が二人に念を押す。
「しかし、僕が手を出さずとも、結界が張られていては、手も足も出せぬのではありませんか?」
玉兎は情けない声を出す。
「心配には及ばぬ。我らが仲間にかかれば、結界など簡単に齧って見せようぞ」
ガチガチと歯を噛み合わせ、雄牛ほどの巨体を揺すりながら、鉄鼠が笑う。
「おお、心強いこと……」
ほほほと姮娥が微笑むが、目が笑ってはいない。
「しかし、抜け駆けは許しませんわよ……」
ギロリと鉄鼠を睨む。
「鉄鼠はいつもそう! 私達の目を盗んで、一人占めしようとするのですから……っ」
グゲッと喉から、変な音が漏れる。
「そうですよ! この前も、せっかく見つけた蜜柑の木を、全部齧ってしまうなんて!」
玉兎が鼻をヒクヒク動かす。
「ご、誤解だ誤解だ……。あれは我ではない。あやつらが勝手にしたこと。我ですら、食べてはおらぬ……」
「本当ですか!?」
「ほ、本当だとも……!」
「本当、でございますか……?」
姮娥がギロリと睨む。
鉄鼠は、目を泳がせる。
「ほ……本当は、……一口……齧った……」
その言葉に、二人が冷たい目を向け、のけ反る。
「や、やっぱり……どうしてあなたはいつも、そうなのでございましょう……!」
「きっと、前世で騙されたのが運のつき……」
呆れた玉兎の言葉に、鉄鼠は頷く。
「そ、そうじゃ。そうじゃ。……全ては……」
「「あなたが悪い!!」」
鉄鼠の言葉に被せるように、二人は同時に唸る。
「うぐぐぐ……」
「とにかく、一人占めはダメですよ!」
「わ、分かった。ちゃんと、分かっておる!」
「二回言うのは、分かってない証拠です! 姮娥! やはり鉄鼠は信用出来ません!」
玉兎が自分の、ふわふわの尻尾を怒りに任せ、ビシバシと振る。
「そ、そんな」
情けない声を出す。
「しかし、鉄鼠がいなければ、結界は解けませんわ……」
「その通りだ! その通りじゃ、姮娥!!」
鉄鼠に、冷たい目を送りながら、姮娥が提案する。
「もしもまた、裏切ったら、この家の柱に縛って置いて帰りましょう」
「……えぇ!?」
「裏切らなければよいのですよ……? それとも、出来ないと……?」
玉兎からも冷たい眼差しを受け、鉄鼠は唸る。
「そ、そんなことはない……っ! それならば、我は宝玉には触れぬ!」
「「!?」」
二人が純粋に驚く。
「我らは、結界を解いたらその場に留まる! 後は主らに任せる!」
腕組みをし、ぐうんとのけ反る。
長い尻尾をバシバシと振る。
姮娥と玉兎は顔を見合せ、頷き合う。
「了解しましたわ……。それでは、今回は鉄鼠が結界を解き、私と玉兎で宝玉を取り返しますわよ?」
姮娥の言葉に、二人が頷く。
「追手に捕まりそうになったら、どうしますか?」
玉兎は不安げに訊ねる。
「それでしたら、玉兎と私で、宝玉を交代に持って逃げて、追手を巻きましょう」
二人が頷く。
「五条大橋まで逃げ切れれば、後は私の僕達が、どうにか致しますわ」
ニヤリと笑う。
雲の合間から月が顔を出し、辺りを煌々と照らす。
「ふふふ。お月様も、私達を見守ってくれていますわ……」
姮娥が、ぐげげと喉を鳴らした。
ただいま爆走中w
もう、他の人は関係ないのです。
私が楽しんで書ければ、それでいいじゃない!
……と、思うことにしました(゜ー゜*)
うん。図太くあれ……!!