平和な日常
目が覚めた私はクリス様に意識を失った時の話をした。
あの闇の波動を食らう瞬間、私は魔力が底をつき意識を失ったようだ。そんな訳で闇の波動は食らってたわけじゃないので命に別状はなかったということなのですね!
真っ暗な空間で目を覚ましたときは死んだと思ったんですけど!
邪神が子供の姿となって現れたこと。そこへ闇の神と光の女神が現れて仲直りして神の世界へ帰ったことをクリス様に話した。
クリス様の話を聞く限り、クリス様が宝剣で邪神にとどめをさそうとして深手を負わせた後にあの空間に現れたんだろう。
「ほんとにこれで終わったんだな…」
「えぇ…ある意味一番良い終わり方が出来て良かったと思います。邪神と化した神様は元々は良い神だったのに人間のせいで邪神と化してしまった…。仕方がないとは言え邪神と対峙するのは気が引けましたよね…。ましてやクリス様を失うかもしれないというリスクまで負うわけですから」
「確かにね…ただの悪人ならそこまでの気も引けなかったんだろうけど、色んな背景を考えると戦うのも躊躇してしまうよね」
「神様の弟さん妹さんとも仲直りできてほんと良かったと思います」
私は3兄弟が揃った時それぞれみんな嬉しそうな顔をしていたのを思い出して、こちらまで心が温かくなった。
「そういえばクリス様、神様とのやり取りで最後にこの国の歴史についての真事実を知ったのですけど」
「ほう?」
「私達神様の名前知らなかったじゃないですか。その去り際に名乗ってくれたんですけど、一番上のお兄さんがアランって名前で弟さんがバロン、妹さんがラーニャって名前らしいですよ?」
「まさか…」
「そう!そのまさかですよ!バロラニア王国の名前の由来って弟さんのバロンと妹さんのラーニャから取ってバロラニア王国ってなったらしいですよ」
「歴史ってすばらしい…」と歴女本来のパワーを発揮しうっとりとしてると、クリス様から「神の世界と人間界の狭間にいた人間の感想とは思えないな…」と苦笑いされました。
確かに我ながら逞しいなとは思う。ははは…と笑ってごまかしたら、クリス様からそんなリィーも好きだよと甘々なセリフを頂きリアクションに困るという場面もあったりで、若干甘い空気になりつつもいつもの和やかな時間を共に過ごしていた。
学園に戻り勉学を励んだり友達と他愛ない話をしたりと本来の学生に戻った。
余談だがクリス様が「あんな状況になるのはごめんだけど、城でリィーと部屋が隣同士っていうのも良かったな」等とおっしゃっており…
あのデッドオアアライブ事件後クリス様の甘々具合が元々も甘々なのだが、より一層拍車がかかっていて対応に困る場面が多々あった。
私の友人達は邪神との一戦の際に全魔力を使い意識を失ったことをクリス様から聞いたのか、私に「無茶する女」とレッテルを貼られとても過保護になった。
いやいやもうあんな無茶しませんって言っても中々信じてもらえず、色々と心配されたりする。普通の学園生活でここまで心配される要素もないと思うのだけど!
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あれから月日が流れ私達は学園を無事卒業した。
1学年上だったクリス様は1年前に卒業し既に本格的に公務に携わっている。
私達の卒業式の際祝辞を述べる為に王太子として学園に来ていた。
1年ぶりの校舎で表では仕事モードだけど内心懐かしがってそうだなぁと思うと思わずふふっと笑ってしまう。
クリス様の祝辞を聞き卒業式も滞りなく進み、卒業のダンスパーティの時間となった。
この時クリス様が壇上に上がり、周りの生徒達や生徒の保護者達はクリス様に注目した。
「卒業のダンスパーティーの前に時間を頂きたい」
声高らかに壇上から周りを見渡すクリス様。そのクリス様と目が合った。
なんかいやーーな予感が…。
「リーナス・グリアベル嬢、壇上へ」
嫌な予感が的中し私は表向きは貴族の令嬢らしく堂々としていたけど内心は一体これから何が始まるんだ…と不安にかられた。
ステージの近くまで行くとクリス様のエスコートでステージの階段を上り、今壇上でクリス様と向かい合わせで立っている。
何始まるの…と思ったけどよく考えたらうっすらとこの光景記憶にあるわ。
『リーナス』が断罪される時とかなり似ている。まぁちょいちょい違うところもあるが…実際リーナスが断罪される時壇上じゃなくステージ下でクリス様を見上げる感じだった。
後断罪するときクリス様のそばにはマリアがいたが今はクリス様だけ。
とりあえずぽかんとしながらこれから何が起こるのか、クリス様を見つめる。
クリス様は真剣な表情のままで数秒見つめ合ってる状態だったが、クリス様が跪き、私の手を取った。
私はいきなりのことで目を見開いてクリス様の動向を見ていた。
「リィー…僕は君を愛している。僕と結婚をしてほしい」
真剣な眼差しのクリス様から発した言葉で私は一瞬頭が真っ白になった。
最初プロポーズされてると気づくまで数秒かかりプロポーズを今まさかされると思ってなくて混乱していた。頭の中は混沌と化していた。
フリーズしていた私にクリス様は表向き至って真面目な表情を取り繕っていたが、目が返事がないことへの不安と戸惑いが見えたので、私は内心慌てて「はい」と返事をした。
その途端、会場のホールは歓声に包まれた。




