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ただいま

美しい花々が咲き誇る庭園。


その真ん中にある噴水の近くに金髪をなびかせた美しい青年が茫然と立ち尽くしていた。


青年の視線は自分の足元にさ迷わせ、宝石の様な碧眼は驚きなのか怒りなのかはたまた悲しみなのか…色んな色を滲ませているような気がした。


彼の足元にはレッドブラウンの長い髪の美しい女性が横たわっていた。

瞼は閉じられたまま、ぴくりとも動かずにまるで眠っているようだ。だがその傍らに立つ青年の表情から見てただ眠っているわけではないということは明らかだった。


青年はその女性を見て口を開いた

「君はーーーーーー」









あの時邪神が闇の波動をリィーに向かって放ってきて、ぶつかる瞬間に魔力が切れたリィーが意識を失って倒れた。

おかげで闇の波動を受けずに済んで良かったと思う反面、大丈夫なのか近寄って安否を確認したかったが、先にやるべきことがあると思い一瞬の隙が生まれた邪神に宝剣で切りかかった。



グオオオと苦しそうにうずくまる邪神を見てとどめを刺そうとした瞬間、大きな魔力の歪みが生まれ邪神はその中に入りその姿を消した。


「チッ…逃がしたか…」


一応深手を負わせたとは言え相手は邪神。油断はできない。


しかし消えてしまってはどうにもしようがないので、倒れているリィーの元へ向かう。




噴水の近くに倒れているリィーを見て途端に不安に襲われた。

一瞬リィーの近くで呆然と立ち尽くしていたが、呼吸があるか確認し息をしていることに安堵した。

まるで眠ってるようなリィーを見てこのまま目を覚まさなかったらどうしようと不安にかられる。


「リィー!リィー!!」

僕はかがんでリィーの背中に手をまわし体を支えて声をかける。


体内の魔力が足りないなら自分の魔力を分け与えようと思い実行したけども目を覚ます気配もない。


治癒魔法を扱える者を呼んだが彼らが来るまでずっと魔力を与え続けていた。が依然眠ったままだ。



「リィー…頼む…目を覚ましてくれ…」

リィーの目元や唇にキスをしながらリィーを抱きしめている。



「……ん」

するとリィーが僕の胸でもぞもぞと動き出した。



うっすらと目を開けた彼女は僕を見て微笑んだ。


「…クリス様…全て終わりました…。邪神も元通りに戻って他の神様と一緒に神の世界に帰りましたから…」


「え…」


今言ったことを理解しようとする。

ということは問題は解決したのか…?


僕がちゃんと理解してないと思ったのか、リィーはもう一度、今度ははっきり同じことを言った。


「神様たちは神の世界に帰りました…もう何かに怯えることはなくなりました…」


「そうなのか…?一体何が…」


「すいません、もっとちゃんと色々話したいのですが…」


「あぁ…大丈夫だよ?リィーはゆっくり休んで」


いくら魔力を分けたとはいえ魔力空っぽだったリィーの疲労感は想像以上のものなのだろう…。僕の顔を見て微笑んでから彼女は再び目を閉じた。


お疲れ様…という思いをこめて僕はリィーの額にキスを落とすとちょうど治癒魔法を扱う者達が到着した。




一応目が覚めたことを伝え、一応彼らからも治癒魔法を施してもらい問題がないことを確認すると、僕はリィーを横抱きにしてリィーがいつも使っている部屋に運んだ。









「…んっ」


うっすらと目を開ければ今や慣れてきた豪華な部屋。


既に日も昇っているからか厚めの遮光カーテンは綺麗に束ねられ、白いレースのカーテンから日の光が燦々と差し込んでいた。



ようやく視界もクリアになって動こうとするが体が重く動きづらい。


「リーナス様!」

入り口の方で控えていたらしいメイドさんが私が起きたことに気が付き、私が起きるのをフォローしてくれた。ベッドの上に座る形を取らせてもらい背中にクッションを差し込んでもらい楽な体勢にしてもらった。


「今、殿下をお呼びしますので少々お待ちください」

メイドさんが一礼して部屋を退出してから程なくして廊下から人の気配を感じた。


ドタバタと効果音が付きそうな感じで廊下の騒がしさがここまで聞こえてくる。



「リィー!!!」

バァン!!!とすごい勢いでドアが開かれたと思ったら、クリス様がバタバタとベッドの方まで駆け寄ってきた。


「リィーの目が覚めたと聞いて飛んできたよ!」


メイドさんからベッドの隣に置いてもらった椅子に座り私の方を心配そうに見つめる。

「リィーは丸二日眠ったままだったんだ…具合はどう?大丈夫?」


「そうだったのですね…私は大丈夫です」と言いかけたが声が掠れてちゃんと出ない。


メイドさんがミントの入った水をグラスに注いだ。

クリス様がそれを取り私の口元へ持ってきてくれた。


恥ずかしながらクリス様に飲ませてもらって、介護気分を味わっているとグラスがいつの間にか空っぽになっていた。


「クリス様ありがとうございます」


「この位お安い御用さ、リィーの目が覚めて良かった」

パアアと花が咲いたように喜ぶクリス様を見て、私は改めて生きているんだと実感した。


「ご心配おかけしてすみません。ただいま戻りました」


「おかえり、リィー、頑張ったね」

私の手を握るクリス様の手はとても力強く温かかった。





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