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対峙

「来るべき時が来たか…」

クリス様が何かを決意したような顔つきで兵士の報告を聞いた。


「民の被害を最小限に抑える為、邪神をここおびき寄せるぞ」


「一体どうやって…」


私は思わず質問を投げかけた。そんなに都合よく邪神の方から動いてくれるのか皆目見当もつかなかった。


「嫌でもこちらに来るさ、何故ならここに闇の神の力を引き継いだ一族と光の女神の力を引き継いだ者がいるのだから…邪神からしてみたら自分を裏切った憎むべき相手だろう?

ほんとなら僕1人で解決したかったが、僕だけでは力不足だ…リィー、僕に力を貸してくれないだろうか?」


「そんなの当たり前ですわ!私はこの国の王妃となる者…その前にクリス様の妻となる者ですわ!あなたに守られるのではなくあなたの隣で戦いたいですわ!」


助けとなる力を手に入れたのにどうして我関せずとしていられようか…



そう言えばクリス様は嬉しそうな顔をして私の頬にキスをおとした。


「嬉しいこと言ってくれるね、リィー。んじゃ共にいこうか」


クリス様に手を引かれ邪神と対峙する場所へ向かった。







ここは王城にある巨大な庭園。


花々が咲き誇り噴水が中央にある、とても美しい庭園。



「この位の広さがあれば戦うことも難しくはないだろう」

庭園を見渡してクリス様が呟いた。


「それで…どうやって邪神を呼び出します?」


「…そうだな……僕が闇の魔法を打ち上げてリィーが光の魔法を打ち上げるのはどうだろう?闇の神と光の女神2つの力を感じればあちらから来るかもしれない」


「わかりました!やってみましょう!」



私達は両手を天にかざし、クリス様が闇の魔法を、私が光の魔法を空に打ち上げた。





ブワァァァァ


巨大な魔力の歪みが出来上がり、放出される魔力が膨大で私達は立っているのがやっとだった。



そこから黒い影が出てきた。


おいでなさったか…



黒い影が人の形に縁どられ、長身の男の姿が生まれた。


黒髪に切れ長の黄金の目、鼻筋はスッとしていて薄い唇…美男ではあるが表情はなく冷たさを纏っているような雰囲気だ。



「…この私を呼び出す為の魔力の放出か…いつの世も人間とは驕り高ぶっているのだな」


長身の男…邪神が私達を見下すように冷たい視線を送る。



「そもそも人間の命を繋げたのが間違いだった…。ここまでの愚かな生物の生を何故守ろうとしたのか…私もまた愚かで驕り高ぶっていたのかもしれんな」


私達から視線を外し昔を思い出すような表情で男は言葉を紡いだ。


「昔は人間とは友として共に生きていたんだ、私だって。だが人間というものは欲深い生き物で力があればそれを使わずにはいられず、それを止めようものなら例え友であろうと排除し傷をつけることもいとわない。

己の欲望を満たす為ならどんな手段もいとわない。私はこれまでそんな人間を数多く見てきた。」


「私にはその人間達の後始末の責任がある。私の浅はかな考えで繋いでしまった命…ここで断ち切る責任がある。それを叶えるまで私は死んでも死に切れんのだ…たとえ我が弟や妹と意見が分かれたとしても、弟や妹に刃を向けられたとしても、それを迎え撃ち全てを終わらせる責任がある。



お前たちにそれを止める覚悟があるのか!!!!」


先ほどと同じ無表情なのだが目には殺気がこもっていた。



殺気がすごい……!!


先ほどから膨大な魔力に押されていたけれど、そこに殺気まで加わって私とクリス様はそこに立っているのが精いっぱいだった。



どうしよう…このままでは……!



その時、私の魔力の温かさを感じた。


これは光の女神の力…温かな光の力。


その力を放出し私とクリス様の体を包む。それと同じように闇の静かな力強い力も体を包んだ。おそらくこれはクリス様が放出したのだろう。



「確かに人間は愚かな生き物だ。だがそれを悔い改めることもできるのも人間だ!」

クリス様が大きな声で言い返した。その表情には怯えもなく堂々としたものだった。


「なんだと…そんなこと綺麗事だ…お前たちとも愚弟愚妹と同じように話が通じんようだな…ならば力ずくでいかせてもらおう」


邪神が闇の波動を放ってきて私はすかさず光の結界を自分達2人の前に作った。


結界は邪神の攻撃でたちまち壊れ消えてしまったが、私達は怪我を負わずにすんだ。



(私が先に仕掛けます。とどめは頼みましたよ?)

そう思いクリス様に目配せし、クリス様も頷いた。



実はこの庭園に来る前にクリス様は王家の宝の1つと言われている『聖魔の宝剣』を宝物庫に取りに行っていた。この宝剣調べたら闇の神と光の女神の加護が付いているらしい。


私達はそれぞれ神様の加護持ちだから実際の宝剣を見た時、宝剣の性能の確証を掴んでいた。



そこでその宝剣はクリス様が持つこととし、ここぞという時の役目はクリス様にお願いしようと思った。





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