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夢から醒めて

「え…私…ですか…?」

私は驚きを隠せなかった。

前世の私はごく普通の残念女だ…いや、残念女はごく普通なのかはわからないが…。

少なくとも特別な力を持ってるなんてことは感じたことはなかった。


「それはまだその時ではなかったから力は開花されなかったのでしょう。今のあなたは4属性持ちですよね?それは精霊王の力の影響です」


「でも私魔力の量は人並みですよ?こんなことで邪神を倒すことはできるのですか?」


「このままでは無理でしょう…あなたはまだ完全には力を開放していません。ひとまずあなたの眠っている本来の魔力を起こしましょう」


そう言って光の女神は私の額に手をかざした。その途端暖かな力がぶわっと全身からみなぎってきた。


「わあぁ…」


「あなたは本来の魔力を取り戻すことはできました。しかしこれでもあなた本来の力ではありません…。あなたが本来の力を取り戻すにはもう一つのことをしなければなりません……それは光の魔力を体に浴びることです。」


「光の魔力?」


「えぇ…光の魔法を体に浴びることで眠っていた光の力も刺激されて呼び起こされるでしょう。今から光の魔法をあなたに行使します。」


そう言って再び私の額に手をかざす光の女神。



その時ーーーーー



……サセヌ…


恐ろしく低い声が響き私と女神の間に稲妻を落とされた。


いきなりの稲妻もとても驚いたけど、穏やかでおっとりしてるイメージの女神がそれを軽やかに避けたことにも驚いた。


「…ここの存在を気付かれましたか…。ひとまずあなたを元の世界に返します」


その女神の言葉を最後に世界が暗転した。





「……!!!はっ!!」


ガバリと起き上がったら上品な天蓋付きのベッドの上だった。

周りはまだ暗く小さなルームランプの明かりが周りの上品な調度品をうっすらと形どっていた。


ここは最近ようやく慣れてきた王宮の一室。屋敷や寮から1回1回通うのは大変だということで王宮の一室を借りている。ちなみにクリス様は私がここに来てから私の隣の部屋を使用している。王太子の本来の部屋があるにも関わらず…。



しかし…先ほどの出来事は夢だったのだろうか…。

夢にしてはとてもリアルで軽く考えてはいけないような気がした。さっきの出来事を振り返る。


眠っていた力というのは今どうなっているんだろう。


目を閉じ体内の魔力に意識を集中させれば、今までとは比較できないほどの魔力を感じた。




あぁ…やっぱりさっきのことは夢ではなかったのか…。



そういえばこれでも本来の力ではないって光の女神が言ってたな…なんだっけ?光の魔力を浴びれば更に眠っている魔力を起こすことができるんだっけ?


そういって光の女神から光の魔力を与えてもらおうとしたら邪魔が入ったのよね…。あれがおそらく邪神であろう…。


邪神…元々は良い神様で光の女神と闇の神のお兄さんだったんだよね…。

多くの人間の汚い部分を見て見限って邪神と化した神様。それでも切り捨てるのは駄目だと人間をかばい力を託した闇の神と光の女神。そして命を懸けて邪神を封印した…。



話をまとめたころには何とも言えない気持ちになった。


人間にとって邪神は倒すべき存在なのだろうけど、どうにかできないものなのか…そもそもただのか弱い人間の分際でどうにかしようと考えること自体おこがましい話なのか…。




二度寝しても差し支えない時間帯なのだが、なんだか今は寝る気分になれず窓際に椅子を置きカーテンを開いた。


窓からは月明かりが差し込んでとても神秘的な雰囲気があった。

今日は月がとても綺麗だ。



ぼーーっと月を眺めていたらコンコンっとドアをノックする音が聞こえた。


…こんな時間に誰だろう?


ドアを開ければガウンを羽織ったクリス様が部屋の外に立っていた。



「先ほどからリィーの部屋から大きな魔力を感じてね、何も変わりはないかい?」


あぁそうか、傍から見たら魔力がいきなり増えたように感じられるのか。



「クリス様、先ほど…」


さっき夢の中であった出来事をクリス様に話した。



「なるほど…、信じられないが現にリィーの魔力が格段に上がっているし、リィーが見た夢は実際に起こった出来事だろう。しかし…邪神は本来良き神で闇の神や光の女神と兄妹だったとは衝撃的だったな…」


クリス様が眉間に皺をよせて考えていた。


「実際邪神を封印したのは王族ではなく実は闇の神で、闇の神が王族の先祖に力を与えてくださったのだな。そして光の女神の力を引き継いだのはリィーだったんだね。それじゃ僕達が頑張らないといけないね。」


「はい、ただ…私の力はこれでも本来の力ではなくて…光の魔力は邪魔が入って結局受けずじまいだったし…」


「それなら問題ないんじゃない?」


「へ」


「君の身近にいるじゃないか、強力な光の魔法の使い手…マリア嬢が」


「ああ!!!」


そうかマリアがいるじゃない!!

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