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おとぎ話の真実

「さて…どこから話しましょうか…」

光の女神はお茶の入ったカップを置き遠くを見るような目で見ていた。



「昔昔…1人の心優しい青年がいました。」

女神が話し始め、私は静かに耳を傾けた。


「大地は荒れ果てどこまでも荒野が続き、水も枯れ暖かさを失った世界にその青年は嘆き悲しんでいました。もっともっと昔にも生命はあったのです…しかしその生命もこんな世界では生きてゆけず、結局この有様となってしまった…生物を愛していた心優しいその青年はその有様に絶望し、なんとかこの世界に生命を蘇らせることはできないか…と悩んでおりました。」


「その青年には弟と妹がおります。彼は兄妹で力を合わせてその世界を蘇らせようとしました。その時彼は生命が維持できるように命を潤す水の源を造り、命を癒す自然の源を造り、命を広げる風の源を造り、命を温める熱の源を作りました。それが後に言われる四属性の精霊王なるものへと姿を変えました。」


「青年含め3兄弟と青年が生み出した『子』というべき精霊王4人の働きもあって世界は生物が生きれる環境が出来上がりました。青年は本来人間や生物が大好きな性格も相まって再び息を吹き返した人間の生活圏に入って色んな触れ合いをする機会を持ちました。そこでたくさんの人間と親しくなりました。」


「それが嬉しくて青年は何度も何度も人間の世界に入っていきました。しかし青年含め世界を作った者達とは違い人間の生命には時間に限りがあります…素敵な出会いも多いですが悲しい別れも沢山経験しました。それでも人間が大好きだった彼は別れで傷を負うと分かっていても人間との交流を止めたりしませんでした。」


「しかし彼は…あまりにも人間というものの色んな部分を見過ぎてしまった…。命に限りある人間達は余裕というものを持たず人を蹴落とし裏切り…そして憎しみが生まれ争いも生まれてしまう…。もちろんその様なことを今までもありましたし今までも彼はその状況を見てきました…何十年何百年も……彼自身も裏切られ精神的物理的に傷つけられることもあったそうです」


「そして彼はとうとう人間というものを見限りました。こんなものの命を生み出すんじゃなかった…と後悔していました。彼は最初大好きだった人間ですが大嫌いになりました。そして…彼は生み出した責任は自分にあるということで人間を滅ぼそうとするのです…」


「彼は滅ぼそうとする前に兄妹に相談しました。相談…は語弊が生じますね…彼の中ですでに決まっていましたから、一応生命を蘇らせた同士に事前にこれからすることを一言言おうと思ったのでしょう。そこで彼には1つ誤算が生じたのです。滅ぼそうとする行為を弟と妹に猛反対されました。彼らも人間の汚い部分も知ってるであろうに…と信じられないと驚きを隠せないようでした。しかし弟と妹は生むだけ生んで汚い部分があるから滅ぼすというのはそれこそ身勝手だという考えだったのです。」


「彼らはたくさん…本当にたくさん話し合いましたが話し合いは平行線でした…しかし青年の心は決まっていたので、弟妹の反対を押し切って強行手段にでました。色んなところにたくさんの魔力を施しあるところでは津波を起こし、あるところでは地震を起こし、あるところでは台風を巻き起こし、またあるところでは日照りを起こし…明らかな魔力の偏りでたくさんの魔力の歪みが生まれました。」


「それを見ていた弟はそれではいけないと思い、妹と四大属性の精霊王を呼びました。弟を中心にこの顔ぶれで兄を倒そうとしたのです。ただ兄の力は強力過ぎて6人が力を合わせても倒せる可能性は少なかった…そこで6人は考えました。倒すまではいかなくても封印をしてしまおう。そして…」


そこで光の女神は一呼吸おいた。

私はその後の言葉を待った。


「封印ということはいずれかはその封印が解き放れてしまう…そうなった時の準備もしなくては…と」


「弟に妹の力、四大精霊王の力を付与しました。たくさんの力を得た弟は自分の身を犠牲にして兄の封印に成功しました。」

光の女神はカップに口をつけた。そういえばお茶の存在を忘れていた、と思い私もそれに倣ってお茶を飲む。カップを置いた私は静かに聞いた。

「なるほど…おおまかな話は分かりました。邪神と化したあなたのお兄さんをもう一人のお兄さんである闇の神が封印したのですね?四大精霊王や妹さん…光の女神のあなたの力を付与させて…でも封印が解き放った時の準備の話はどうなったのです?」


「準備はすでにした状態で兄に対峙しました。兄…闇の神は私達の力を手にした全属性を持った状態である人間に力を分け与えました。それが王族の先祖にあたる人間です。おとぎ話では兄…邪神を倒したのは王族の先祖にあたる英雄となっておりますが、実際は闇の神で今後に備えて力を後の王族になる人間に継承しました。」


「あとは私と四大精霊も世界も時空をも越えてとある人間に力を託しました。そしてその時がくればこの世界に現れるように…と…。」



その後の言葉で私は驚きで目を見開くことになる。


「リーナス、あなたに力を託したのです…いえ正確にはリーナスの前世の人間に、ですね」



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