日常の中の小さな出来事
最近はマリアとも仲良くさせてもらっていて、といってもマリアはマリアで仲の良い友達がいるからヘレナやパメラほどではないが結構お喋りしたり一緒にいることが多くなった。
マリア経由でマリアと仲良くしてるアンナとも仲良くなって前世の高校時代よりも友達が多くてそれが少し嬉しかったりする。
よく考えたらマリアってヒロインよね?クリス様たちと接近するイベントってないのかな?とふと思ったけど、よく考えたらこの前のサンドイッチ事件もイベントだったことを後から思い出して色々申し訳なく思った。
でもマリアとクリス様が接近したらちょっと複雑だなぁ…いやぁ結構ショック受けるかもしれん。
…と内心ため息ついていると隣に座っていたクリス様がどうしたの?と顔を覗き込んだ。
ここは桜のご神木があるベンチでクリス様と2人で座っていた。
「いえ…私ってクリス様のことすごい好きだなぁと思ってただけです」
そう言えばクリス様が顔を真っ赤にさせて一瞬フリーズしたが、我に返った時私を抱きしめてきた。
「リィー…可愛すぎ…」
私の耳元で甘く呟かれれば今度は私が真っ赤になる番だった。
顔の赤みがようやくとれた頃、そういえばクリス様何か用事があったんじゃなくて?と思って聞いてみた。
放課後生徒会がない時はクリス様と今日のように桜のところのベンチで寛いでたり、生徒会専用のサロンで一緒にお茶したり…と結構一緒に過ごしてたりする。
ヘレナやパメラは暖かい目で見られる頻度も多くなり、最近だとマリアからまで「仲がよくて素敵ですね」なんて言われるもんだから照れくさくて仕方がない。
そんな感じでいつものように一緒に寛いでいたのだけど、今日は何やらクリス様が話したいことがあるらしく寛ぎつつもクリス様の話を聞こうと思いクリス様の方を向いた。
「リィーは最近魔力の歪みが増えてきているのは知ってるかな?」
「えぇ…ウォルハルト家にお邪魔した時も魔力の歪みを見ました」
クリス様が先ほどの甘い雰囲気とは打って変わって真面目な表情になったので、私も真面目に答えた。
「その魔力の歪みが以前よりも明らかに増えてきたから、城の方でもその原因を究明するチームを立ち上げたんだ。僕はそこに入って指揮を取ることになってね。学園の関係者からも優秀な人員を確保したいと思って、協力を要請しようと思ってるんだ。…リィーもそのメンバーに入ってほしくてね」
クリス様は文武両道で騎士の様な強さと学者の様な知識の深さを併せ持ち、魔力もとても強く歴代の王族の中でもずば抜けているらしい。
そんな人がリーダーとなり指揮を取ってくれるなんてとても心強い。
そんなクリス様を陰ながら支えることが出来れば…と思い、そのメンバーに入りたい旨を伝えたら、クリス様は安心したような笑顔を浮かべていた。
「リィーがいれば僕もとても嬉しい」
クリス様いわく学園の生徒はルーファスとマリアを勧誘したいらしく、マリアに話をする場を設けてほしいとのことだ。マリアとクリス様は接点もないし、マリアの友人である私にお願いしたいようだ。
「ルーファスにもまだ話してないからマリア嬢に話す時一緒喋ればいいか、そこにルーファスも呼ぼう」
「わかりました、マリアにもお伝えしますね」
そこで一旦解散した。
ここは城内の一室。
あれからクリス様と話した結果学園内で話し合ったりするのも気が引けるとのことで、ルーファスとマリアをここに呼ぶことにした。
今日は他のチームメンバーとの話し合いといった本格的なことまではせず、あくまで学生同士の軽い話し合いも交えようということになった。
応接室のような作りのこの部屋で、私とクリス様が隣同士で座りローテーブルを挟んで私の前にマリア、クリス様の前にルーファスが座った。
ルーファスは何度か城にきたことがあるのでいつもの通り堂々としていたが、マリアは初めての城内に緊張で委縮していた。小動物のように小さく震えている。
クリス様は2人にも魔力の歪みの話をし、私に頼んだことと同じことを頼んだ。
2人ともチームに入ることを了承してくれてクリス様と私は互いに顔を合わせ安堵し微笑み合った。
「我が屋敷の敷地内にすら歪みが出ているくらいだからな…騒ぎになる前に解決した方がいい」
ルーファスは前に起きた出来事を思い出し、表情を歪めていた。
「あぁ…以前は人の住む場所の近くに歪みが発生するなどありえなかった…。地域に寄っては歪みが起きて被害も出始めてるし、早急に対応しなくてはならない。君たちも僕も学生で学業が一番重要だが、場合によっては学園を休みこちらの問題を対応してもらわなければならない。だから敢えて学生への応援要請は少人数に留めたんだ。」
クリス様の話を皆気を引き締めて聞いていた。
「すぐに解決できると良いですよね…」
マリアが心配そうに呟き私も頷いた。
だがその願いが叶うことはなかった。




