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かわいいヒーロー1(マリアside)

私は今年魔法学園に編入してきたマリアといいます。


平民の私はまさか貴族の方が多く通うこの学園に編入することになるとは夢にも思わなかった。

私は正直なところ貴族は苦手だった為この自分の転機は素直に喜べるものではなかった。



私の出身地は田舎の小さな村。

小麦等農産物の栽培が盛んで特別目立った観光地でもなければ賑やかなところでもない、のどかな村だ。

私はこの村が好きだったが、1つだけ不満があるとすれば、その村を治めている領主の貴族がとても横暴な方で、私の父も母も圧政に苦しめられている農民の1人だった。


そんなこともあり、その人以外に貴族と知り合う機会も無い為、貴族とはみんなこういうタイプの人間なのだと思ってしまったのが貴族を苦手とする理由だった。




学園に入園して何日か経ち友達もできた。彼女は男爵令嬢なのだが元々平民で性格も穏やかで大人しく付き合いやすい人柄だった為、私もすぐに打ち解けることが出来た。


最初は貴族の子ばかりで正直怖いと思っていたけど、クラスメイト達の大半は気さくに声をかけてくれたりと途中から編入してきた私もなじむことができた。そういえば私と一緒に編入してきた男子生徒も平民の子だった気がする。風の噂で聞いたのだが彼はリーナス・グリアベル様の幼馴染らしい。


リーナス様は侯爵令嬢でクラスの中でも身分の高いお方なのだけど、高圧的な態度を取るわけでもなく、むしろ彼女も気さくに色んなクラスメイトに話しかけてくれる方で、そういう方がクラスの中心にいるからクラスの雰囲気的に身分が下の者も過ごしやすくいれるのだろうと思った。



ただクラスメイトが全員私に対して友好的かと言えばそうではなく、特に私が光属性の魔力と検査で分かってから一層刺々しさが増したクラスメイトもいた。

だが私自身目立つのは好きでもないし引っ込み思案なところもあるので、ひっそりと大人しく生活していれば目の敵にされることもなかった。



それで平和は保たれると思っていたが、その考えが甘いことに後々気が付いた。





ある日の放課後気が付けば私は普段使われていない空き教室に4,5人の令嬢から呼び出されて囲まれていた。

クラスメイトではない彼女達から身に覚えのない理由で罵られている。

別に特別な力が欲しかったわけでもなければ、この学園にも入りたいわけでもなかった。


なのになぜ私ばかりこのような目に合わなければならないのか、少し理不尽に感じてしまった。

やったことと言えばクラスメイトと世間話をするくらいだ。基本は大人しく過ごしていたはず。


だが理不尽な生き物がこの貴族という生き物だと納得すれば、不快だが仕方ないのかな…と諦めかけていた。


その時ガラッと教室のドアを開ける音がした。振り返って見ればリーナス様がそこに立っていた。


私は驚いてリーナス様を見ていたけどリーナス様は私を呼び出した令嬢達を見て驚きの表情を見せていた。

「あなた達…いつだったか私を呼び出したご令嬢じゃない…」


「え…」

私は驚きのあまり思わず変な声が出てしまった。


私はともかくリーナス様レベルのご令嬢を呼び出すって一体どんな神経してるんだろうって本当に驚いた。



リーナス様が私が前に言ったことの意味を理解していなかったのか?というようなことをご令嬢達に言えば、ご令嬢達は顔を真っ赤にして否定し先ほどのように私の身に覚えのない所業をリーナス様に語りだした。

私は思わずクラスメイトと喋ってただけだとご令嬢達の話を否定した。



リーナス様は少し考えた後、ご令嬢達に私の親切は男性に対してだけだったのか?と聞いてきた。

その質問に対して令嬢達がたじろいだのが分かった。


リーナス様は親切にするということ自体勇気のいる行動で、それが私の様な平民の立場から貴族相手に親切するのは更に勇気のいる行動なのだと相手を戒めた。

私はその言葉に自分が認められたような気がして胸が暖かくなっていくのを感じた。



リーナス様はご令嬢達を追い払って私に向き直れば私を安心させるように微笑んだ。


私はお礼を言った後失礼は承知でリーナス様をまじまじと見てしまった。

リーナス様とはクラスメイトだし挨拶程度はしたことあったが相手は侯爵令嬢。私は特別用事も無ければ絡むこともないし、そもそも彼女とは無縁だと思ってたからこんなに真正面からリーナス様を見るのは初めてだったりする。


赤みがかったブラウンの髪の毛は緩く巻かれ気の強そうな顔立ちだが綺麗でもあり可愛らしさもある。

背は私と同じくらいか私より少し低めで本人に言ったら怒られそうだけど小動物みたいな愛くるしさがあった。



しばらくリーナス様を見つめていると教室に人が入ってくる気配が感じた。


そちらの方を向けば同じクラスの生徒3人と、生徒会のメンバーであり普段ならば平民の私が決してお目通りできない身分の王太子様と公爵家の子息様が焦ったように入ってきた。

もっと言えば本来ならばリーナス様も気さくに話しかけてくれるとはいえ、私が馴れ馴れしくして良い方ではないのだけど。侯爵家の令嬢だし王太子様の婚約者だし。


生徒会のメンバーでもあり今来たクラスメイトとも仲の良いリーナス様を心配してきたのだろうと納得していると、リーナス様がクラスメイト3人に私と一緒に帰るようにお願いしていた。


本当はリーナス様が直接私を送りたかったのだが生徒会の仕事もあるし…と泣く泣く彼女の友人に頼んでくれてるようだ。

ここまで私なんかに配慮してくれるとは嬉しいし申し訳なかった。


そう思いもう一度お礼を言えばまた良い笑顔で答えてくれた。

私はリーナス様の生徒会室に向かう背中が見えなくなるまで見送っていた。



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