新たな季節の訪れの前に3
「一体何をやっているのかな?リィー?」
私の目の前には相変わらず美しい金髪を靡かせて宝石のように輝いた碧眼の美男子が…クリス様がにっこり笑みを浮かべながら立っていました。
1人になった教室で高笑いしていたらガラッとドアが開き入ってきたのがクリス様でした。ちょっ!!なんつータイミング!!って心の中で焦ってる間にクリス様が目の前に来たではありませんか。
「さてと…私は友人を待たせているのでこれで…」
優雅にカーテシーをして立ち去ろうとしたがガシッと腕を掴まれて逃げそびれた。
クリス様って細マッチョなのよね、結構力が強いんですよ、こう見えて。
「色々聞きたいことがあるけどとりあえず『悪役令嬢』というのはなんだい?」
私の頬を愛おしそうに撫でるクリス様に冷や汗かきまくっていた。
これ絶対腹黒パターンですわよね、目の奥笑ってませんもの。
「クリス様、先ほどの出来事はどこまでご覧になっt「全部見てたよ」…左様ですか」
全部見てただと!!!
「教室にリィーに会いに行こうとしたらエルグリン嬢が教室の前でオロオロしていたからね、何があったか彼女から聞いたんだ。リィーが教室から出て行ってからそんなに時間は経っていなかったからリィーの居場所を探すことは難しくなかったからね」
そして私を助けようと教室のドアに手をかけようとした時に話を全部聞いてしまったらしい。
「まぁ…ご心配おかけして申し訳ございません、ですが心配には及びませんわ。もともと私はあちら側の人間でしたし蛇の道は蛇ですわ」
にやりとまたあくどい笑みを浮かべて大丈夫アピールすると苦笑いされた。
あのーいい加減くすぐったいのでほっぺ撫でるのやめてくれませんかね?
「…それでもリィーのことは心配だよ…君にはいつも笑っててほしいからね」
なんか甘い空気を醸し出して困ったように笑うクリス様に思わず赤面する。
こんな風に女性として大事に扱われたのは初めてでどうリアクションしたらいいか分からない…。
「ふふっリィーはかわいいね」
「やめてください!!」
わちゃわちゃと2人で言い合っていると「あっ…そうだ」と何かを思い出した様にクリス様が急に真剣な顔をしたので私も自然と真剣な表情になってしまった。
「リィーは僕の婚約者候補より貴族の婚約者の方が良いの?」
あああああああ!!そうだよそういえばそんなこと言ってたよ!!クリス様に聞かれていると知らないでそんなこと言っちゃったよ!!
「あっ…あの…」
「いや、リィーの言いたいことは分かるよ、おそらく先程はその場をしのぐ為に言ったんだろうし、たしかに『候補』というのは不確かで不安定な将来だ」
その言葉にホッとした私に衝撃的な言葉を投げかけられる。
「リィーを安心させる為に迅速にリィーを婚約者に内定させるよ」
「へ…」
ええええええええ!!?
「ちょ、ちょっと待ってください」
「あぁ…大丈夫だよ、むしろそろそろ婚約者を据え置きたいと思っていたから。リィーは安心して」
クリス様が微笑みながら私の髪の毛をいじる。
ちょ...ちょっと待って
確か話の流れだと婚約者を据え置くのは来年だったはず!
色々話の流れがおかしくなってる...まぁ私がクリス様と仲良くしてる時点で話がおかしいことになってるが...。
それに来年にはヒロインちゃんも編入してくるし、もしクリス様がヒロインちゃんに乗り換えるとしたら婚約者となってしまった方が事は大きくなる。
「クリス様、待ってください!それは時期尚早というもんじゃないでしょうか!?」
「そんなことはないよ、だって同世代の他の子息だって普通に婚約者を持っている訳だし、それに...」
なんだろう...その後に続く言葉にとても嫌な予感がした。
「まだ色んな手続きが済んでいなかったし、他の婚約者候補のこともあるから言えてなかったけど、国王を含めた上層部ではもうリィーを婚約者とすることを確定したんだ」
...
ぬぁにいいいいいいいい!?(キャラ崩壊
「僕のリィーを婚約者にって意思が固かったことが後押しとなったみたいだけどね」なんて茶目っ気たっぷりに言ってるクリス様に突っ込む余裕なんてない。
「わああああどうしよおおおお」とその場で崩れた私を慌てて支えようとするクリス様。これで大々的に断罪される確率が上がった…どうしよう。
候補の立場だったら残念ながら落選しました!で終わったのに...。
「リィーが領地に帰るって言うから、戻ってきた時に婚約者発表を兼ねたパーティを開こうと思う」
私を少し気遣う様に宥めながら今後の話をするクリス様。
「でも…ほんとに私と婚約してよかったのですか?」
「リィーだから良いんだ。ほんとはきちんとリィーに話したかったのに、こんな風に突然言ってしまってごめん…」
きちんと私に伝えられなかったことに自分自身がっかりしているのか、クリス様がうなだれていた。
そんなクリス様の前で領地から戻ってきてからの予定が増えたわーうふふと現実逃避したのは言うまでもない。




