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Shall we dance?

振り返るとクリス殿下が満面の笑みを浮かべこちらに近づいてきた。

後ろにはルーファスとセリーヌもついてきた。


王太子と今日の主役でありこの屋敷の主達がこちらにきたことで自然と注目も集まる。



「リィー、学園外でも会えて嬉しいよ」

ほんとに嬉しそうに私を見つめる。


「…そう思われて光栄ですわ」

苦笑いしながら答える。


「…リィー、今日は大変だったみたいだね?ルーファスに聞いたよ」

更に近づきドキッとしたが、こそっと耳元で言った内容にあぁーーさっきのアレねって納得した。



「リーナス、今日はありがとう」

ルーファスも穏やかな笑顔を浮かべてこそっと言ってきた。

「礼には及びませんわ、ウォルハルト様」


「…リーナス、俺のことは名前で呼んでくれ」

まさかのお願いだった。


「ル、ルーファス様…」

「うむ」


ルーファスは満足そうに笑った。その様子を見て面白くなさそうなクリス様が私を引っ張った。


引っ張られた方に倒れるうううと思ったけど、すっぽりとクリス様に抱き込まれた。ひえええええ!!最近何気にスキンシップ激しくないか?


「リィーは俺の婚約者だ」


「婚約者『候補』な?それならまだ俺にもチャンスはあるな?」


何やらクリス様とルーファスがにらみ合ってるーー。これじゃ私を取り合ってるみたいじゃないですか。

そのうちヒロインちゃんが編入してくるのでそれまで待ってください。

てかクリス様一人称「俺」に変わってる。




会場に音楽が流れ本日の主役であるセリーヌがルーファスのエスコートで会場の真ん中に進み出た。

セリーヌはまだ婚約者がいない為、お兄さんにエスコートをしてもらったらしい。


公爵家のご令嬢なのに婚約者がまだいないことに驚いたが…それよりも公爵家令嬢だしクリス様と2つしか年も違わないのだから、それこそクリス様の婚約者候補になってもおかしくないのだろうが…?



「どうしたの?リィー」

クリス様が私を覗き込む。

パメラは気を使って他の貴族に挨拶に行ってしまっていた。



私は先ほどの疑問をクリス様に投げかけた。


「あーー…ウォルハルト公爵家はこの国でも1,2を争うかなり有力な貴族だからね、パワーバランスを考えると力がありすぎる家との繋がりを持つのも慎重にならないといけないんだ」


「なるほど…貴族間のパワーバランスを考慮してのことなんですね」

力があれば良いってわけではないのか。確かに今ウォルハルト公爵家は人望のある家柄だとしても未来のことはわからないもんね。

何代も先の公爵がもし悪の化身みたいなやつだったら、それにストップをかけれる貴族はいなくなるかもだし下手したら王族すらも手に負えないことになっているかもしれない…。


力を一点に集中させるのも問題あるのね…と頷く。



考え事をしていた私にクリス様が手を差し出した。

「リィー、僕と踊ってくれるかい?」


あっ…「僕」に変わった…と呑気に思いながら「私でよろしければ」と手を重ねエスコートをしてもらう。



ダンスは緊張はしたけど普通に楽しかった。

さすがはクリス様、ダンスはとても上手で私も踊りやすかった。


その後ルーファスにもエスコートされ一緒に踊ることになった。

ルーファスはルーファスでダンスが上手くて驚いた。

クリス様の時もそうだけどルーファスに笑顔を向けられることも今までなかったので、それはそれで新鮮だったし、まさかこの2人と踊る時がくるとは夢にも思わなかった。


何故か知らないけどルーファスもまだ婚約者がいないという情報を本人から聞いた。


「はぁ…まぁルーファス様なら素敵なご令嬢と婚約できると思いますわ」

とありきたりな返答をしたらあからさまにがっかりされたけど。セリーヌがルーファスを慰めていたので、とりあえず良しとしようか。




そんなこんなで夜のパーティーの方は無事に終わり、私は帰路についた。


帰るときウォルハルト一家1人1人と握手した。周りは私の好待遇に驚いていて私自身は少し気まずい思いいたが表立って頭をさげることができないウォルハルト家からしてみたらこれぐらいの見送りしか出来なくて申し訳ないという思いだったらしい。

ウォルハルト兄妹には当初冷たい対応を取られていたわけだが、公爵家なのに穏やかで身分関係なく真面目に対応する姿には好感が持てるし、今回の一件でウォルハルト家が好きになった。



「リーナス、また学園でな?」

「リーナスお姉さま!また遊びにきてください!」

ウォルハルト兄妹とその親御さんに見送られ、馬車の外を眺めていた。



今日は屋敷に帰り、明日は学園自体休みなので明日のお昼あたりに寮へ向かおうか、と今後のスケジュールを考えていた。



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