誕生日パーティー
馬車に揺られて王都にあるウォルハルトの屋敷を目指していた。
今日はウォルハルト家の長女…ルーファスの妹のセリーヌの誕生日パーティーだ。
セリーヌは私も何度かお茶会で見かけたことがある。たしか年齢は私の1つ下だった気がする。
くりくりの黒目は愛らしく黒いロングストレートの髪の毛は清楚で華憐な雰囲気を漂わせ、おしとやかなお嬢さんの様に見えるが大のお兄ちゃん子で、ルーファスに不快な思いをさせている私が大嫌いなのだ。
ウォルハルト家のパーティーに参加するため学園を休んで屋敷に帰り、そこからウォルハルト家に向け出発したわけだ。
てか何故私が招待されたのだろう?あちらだってほんとは私を招待したくなかったはずだし…貴族の事情なのか色々あるんだろうなぁと渋々納得した。
一応グリアベル家代表で来てるようなもんだし大人しくしとこう。
そうぼーっと考えてるうちに大きな城の様な屋敷が見えてきた。
門をくぐると美しい庭が広がっていた。さすが公爵家、敷地の広さもはんぱない。
昼間は庭でお茶会形式、夜は屋敷内のダンスホールでパーティーだ。土地の広さもだがパーティーの規模もさすが公爵家といったところか…。
多分領地にある屋敷はもっと広いんだろうなぁ…と呑気に考えながら、挨拶をするためこのパーティーの主催者の方へ歩を進める。
「セリーヌ様お誕生日おめでとうございます」
主催者であり本日の主役であるルーファスとセリーヌを見つけ美しいカーテシーをした。
ルーファスもセリーヌも鬼の様な表情をして私に形式的な挨拶をした。
「グリアベル様お忙しいところありがとうございます」
全くありがたくなさそうにセリーヌは答える。
「…大事な妹のパーティーだ。問題起こして台無しにしてみろ?ただではすまさないと心に留めておけ、グリアベル嬢」
周りには聞こえない低い声で…といっても隣に立っているセリーヌには聞こえているだろが…ルーファスは私を睨みながら脅しともとれる忠告をした。
内心恐怖で震えていたが、かろうじてお辞儀をして了解したという意思表示はできた。
1人大人しく色んなお菓子を楽しんでいた私だがふと違和感を感じた。
「……なんだろう?」
何かは分からないがほんと小さな違和感だった。
これ以上考えても仕方ないので考えることを止め、マフィンから目をはなし顔を上げるとセリーヌ嬢がどこかへ行こうとしてた。
このパーティー会場となっている庭は庭で広いのだが、更に奥の方にも庭があるらしい。垣根や木々があってここからはよくわからないのだが。
セリーヌはその奥の方へと進んでいった。
周りの招待客は思い思いにパーティーを楽しんでいて、セリーヌがその場を後にしたことは誰も気づいていないようだった。
パーティーの主役がどうしたのだろうと思って、セリーヌの後を追ってみた。
垣根を越え木々の間を抜け着いた先には大きなプールがあった。先ほどいた庭の賑やかさがほとんど聞こえない。
…もう敷地の大きさには驚かない…
「何か用ですの?」
冷たくも可愛らしい声が少し離れたところから聞こえた。
「今日の主役の方が席を外されたのでいかがしたのかと思い、追いかけて参りました」
「私がどこへ行こうとあなたには関係ないんじゃなくて?」
冷たく言い放つセリーヌに少ししょんぼりしたが、確かに私には関係なかったなと追いかけてきたことを
後悔した。
「あなたとはこうして2人で喋る機会もないですし、ちょうどいいですわ…あなたのせいでクリストファー殿下もお兄様も迷惑しているんです。あなたのことはお兄様から伺っていましたわ。あなたは殿下の婚約者候補とお聞きしましたから、そちらに近づくなと言うのは難しいことでしょうけど、お兄様には近づかないでいただけますかしら?」
セリーヌは憎々し気に睨みながらまくし立てた。
「不快な思いをさせて申し訳ありません、今後私の方からウォルハルト様に近づかないようにいたします。」
…ほんと「リーナス」って色んな方面から嫌われているわね…。
さすがに豆腐メンタルだから傷つくわよ…。
ドクン…
その時、先ほどお茶会で感じていた違和感が大きくなった。
「え…」
セリーヌはプールの方を見て驚いていた。
そこには水でできた魔物のようなものがいたから。
その魔物のようなものが手のひらから私達に水鉄砲を発射してきた。
…はや!!当たる!!
と思った瞬間私とセリーヌの目の前に大きな土壁ができて、水鉄砲を防いでくれた。
「お兄様!!」
役目を終えた土壁が崩れ落ちた時、私達の前にはルーファスが立っていた。
セリーヌは驚きの声をあげている。
「何やら魔力を感じると思い来てみれば…二人は逃げろ。グリアベル嬢、セリーヌを連れて逃げてくれ」
ルーファスは目の前にいる水でできた魔物と1人で戦うつもりらしい、私達にその場を離れるように促した。




